猛者荒れ狂う決闘者の祭典。必要なものは何か、不要なものは何か。決闘は事実を暴きだす

 だるい。なにこのテンション。これから栄光と名誉と賞金をかけたカードゲーム大会の予選突破をかけた闘いに臨むとは自分でも思えない。待ってる間が退屈過ぎる。しょうがない。デッキでも……あれ? ない? どこに……ああそうだ。そういえばデッキはシンヤ君にあげちゃったんだっけ。いくらその場で調整したり新たに組み直したりする必要に迫られるとはいっても、そんなことすら忘れてカードゲームやろうっていうんだからお笑い沙汰っていうかさ。あーあ。な〜んか朝早かったからいの一番に会場入りしちゃったけど本気でなんもやる気がしない。偏差値50しかないのに68ぐらいのところに願書出して朝早く試験会場入りしたらこういう気分になれるのかな。あれ? 次の相手って18も開きあったっけ? 北海道からやってきた決闘者。北崎弥生。不幸にも同郷の決闘者2人が同じブロックに入ってしまうが現在二勝。守備に定評アリ。そりゃ向こうもこの大本番には自分のプライドだか故郷の名誉だかをかけて本気で向かってくる筈。強いことは強いだろうけど、でも、頑張れば勝てない相手じゃない。勝てない相手じゃない筈なんだけど……なんでこんなにテンションが低い? 予選を突破すれば一応の面目は立つんだから頑張らないと……あれ? なんか、あれ? なんだろうこの優先順位。言うに事欠いて最初に考えるのが一応の面目って私はいつからそんなことを後生大事にしてるんだか。そりゃあ……。

「サツキか。こんなところでなにしてるんだ? もうすぐ試合だろ」
「よく覚えてるわね。裏切り者」 「いい響きだな」 「別にどうでもいいけど。言ってみただけだから」
 アキラ。私に用があるようにはみえない。ああ、そうか。私の後ろの自販機か。
「お疲れの様子だけど大丈夫?」 「俺の試合は最終戦だからな。それより自分の心配、だろ」
「強豪どころだけれど倒せない相手じゃない。さくっと攻めればどうにかなるんじゃない?」
 なんかふわふわしてる。なんでだろう。喋ってても実感がない。
「調子はどうなんだ? 上にはあがれそうなのか?」 
「興味あるの? 自分のことだけでしょ、今のアンタは」
「……」

「あんたはいいわよね。気楽で。誰かの後を追っかけてればいいんだから」
 あれ? 今私なんて言った?
「俺が……楽をしてる?」
 ああ、”気楽だね”って言ったんだ。そうさ。あんたは幸せだよ――
「私の前には姉さんがいる。追ったってどうせ追いつけない。姉妹だからこそはっきりとわかるのよ。何かを目指したところで姉さんのようにはなれやしない。下位互換は下位互換。私に目指すものなんかない。だったら保つしかないじゃない。自分が必要とされそうなポジションを探して、必死で周りのレベルに可不足なく合わせて、大して好きでもないデッキを使って、頼ってもらえるように、一目置かれるように後輩の面倒とかもみて!」
「かもな。確かに俺は気楽な身分かもしれない。目の前に壁があって、それを前にもがいていれば退屈もしない。たまに誤爆したって、挑戦者ってことで周りは流してくれる。確かに気楽かもな」
「少しは反論しなさいよ。だいたいあんただって、勇一に挑む傍ら、好きでもないサポート役をふられて、こなしてきたんじゃない。言いなさいよ。私が言いすぎたって言えばいいのに」
「どうしたんだよ。らしくないぜ。もっとクールにやるのがおまえだろ」
「私だって……私だってくだらないことを言いたくなるときもあるわ」
 むしろ最近はくだらないことしか考えていない気がする。
「そーかよ。じゃあ言うだけ言えばいいんじゃねえの」
「私には倒すべきライバルも、目指すべき目標も、私の勝利を喜んでくれる人も、全てを帳消しにする実力も、カードゲームを愛する心すらない。ただ一緒にいたいだけなのよ。みんなと一緒にいて、前を見て走ってるみんなから適当に頼ってもらえれば自分も走っているつもりになれる。置いて行かれない気になれる……この辺で負けるのが私にはお似合いかもね。後輩ぐらいは『あのサツキさんが!?』って驚いてくれるかも。普段世話を焼いてあげてるんだから、ちょっと早い卒業祝いにそのぐらいはして欲しいかな。あんたはどう?」
「少なくとも、おまえが勝とうが負けようがどうでもいい。だが、俺はおまえの決闘が嫌いじゃない」
「私の決闘。あったっけ」 「ま、敢えて言うなら昔の方かな」 「昔?」
「出会い初めの頃、フリーとかでよくやってた決闘、あの方が俺は好きだった。どんなのかはもう忘れたが
「昔は昔、今は今」 「そりゃそうか」 「必要なことを必要なだけやる。それだけ」 「かもな」
「……そろそろいかないと不戦敗になっちゃうわ」 「1つだけ聞かせてくれ」 「なあに?」
「ショウとエリーの決闘をみて、どう思った?」 「くたばっちまえって思った。くたばっちまえって」
「……頑張れとは言わない。たぶん試合もみない。けどよ……今の会話は当分忘れないと思うぜ」
「ありがと。それじゃあ私は私でやってくる。不戦敗は格好悪いから」
「ああ……ん? その古そうな決闘盤、おまえそんなのもってったか?」
「なんでもね。迷いを断ち切ってくれる決闘盤なんだってさ。笑ってよ。デッキはどっかやっちゃったけどディスクは中古を手に入れたってわけ。いっそのことデッキも中古で購入しよっか」

 ダサい。滅茶苦茶ダサい。自分がダサい。言った一語一句を反芻すればするほどダサい。たぶんアキラは今のやりとりを誰にも言わない。あいつには弱い人間の気持がわかる。だけど1つ違う。あいつは目指してる。だけど私は目指さない。保持するだけ。保持できる? それも怪しい。決闘紳士ゴライアス=トリックスター。あいつの決闘は私の存在を歯牙にもかけず通り過ぎて行った。それも、本気ですらない。あいつは試しているだけだ。進化すべきものと遅れていくものを。私は後者?

「サツキじゃん。どうよ調子は」
「ヒジリ。まあまあってところかな。ヒジリはなんでこんな時間から?」
「フリーよフリー。折角の機会なんだから。また新しいデッキ組んだの。なんとロックデッキの新境地。これはいけると思うの。なんたってほとんど守らない。名付けて【ノーロック】! 昔の【ノーカオス】を思い出して、『これだ!』って思ったの! 実戦投入が今から楽しみ! きっといけると思う」
 たぶん負けるんだろうな。きっと負けるに違いない。
「あのさ。ちょっと聞きにくいことなんだけど、いい?」
「なになに?」
「ドツボにはまってない? それ。路線として」
「う。ズバッというわね今日のサツキ。だけど心配御無用! ドツボ上等! 折角全国から名うての決闘者が集ってひしめきあってるんだからそれこそやるだけやって玉砕を勝ちとる!」
 玉砕したら駄目でしょ。だけど……あーあ。また気がついちゃった。
「うん、まあ、それもいいんじゃない。いつかまかり間違って実るかも」
「まかり間違っては余計よ。いーい。いつか私のやり方が世界を席巻するんだから」

 聖は立派だよ。少なくとも私よりかはさ。本当は悔しいんだろうに。自暴自棄にならずに、むしろ失敗を前提として試すことをやめてない。私ならたぶん聖には勝てる。勝てるけど……知らない。

「ユウイチ」
「お互い二連勝中。この勢いで本戦まで突っ走ろうぜ」
「さっきアキラに会ったけど調子は上々っぽい。どう? 勝算は」
「んーそうだな。昔とは別物だろうさ。だが、アキラはアキラだ」
 そう言いつつ、実は警戒心を緩めてないからあんたは強い。
「そ。それじゃあ本戦で私とぶつかったらどうする?」
「どうするっておまえいつもどおりだろ。いつもの、個人戦でぶつかったときとおんなじだ」
 はい、そうでした。聞いた私が心の底からバカでした。普通はそう言う。勇一からすれば私を相手とするのに普通じゃない事情などない。これが智恵や瑞貴ならもう少し含むものがあるのかもしれない。自分に真っ向から挑んでくるアキラにも無視できないなにかがあるだろう。チームクルセイダーズや裏コナミの妖怪変化が相手ならそれはそれで一種独特の緊張感を持つだろう。しかし私に何があるというのか。むしろどういう答えを期待してそんなことを聞いたのか。ああバカバカしい。

「あ、サツキさん」
 信也君だ。私は彼が最近怖い。壊れかけの筈の、彼が怖い。
「僕はもう駄目かもしれません。もう、時間がないっていうのに」
 もしかして私、信也君がこのままへたってしまえばいいとか思ってる?
「あんまり短気を起しちゃ駄目よ。どうしてもどうしてもって思うと逆に毒だから」
「だけど……」 「そりゃ復調してガンガンやれるのが最高だけど、ね?」 「確かに……」
 嘘だ。私は気遣ってない。全然気遣ってない。私はむしろ敬遠している。信也君の、あの、たとえ相手があの姉さんだろうと万屋だろうと『電獣』だろうと裏コナミの化物だろうとその身一つで順応していくあの精神性っていうかおかしな部分。どこにでもいる普通っぽい感じとは裏腹にどこか、なんていうか、一言で言うと『歪んだ向上心』みたいなものに脅威を感じているのかもしれない。
「それじゃ、私行くから。あんま根つめちゃ駄目よ」
 だけど本当に怖いのは信也君等の背後にある大きな流れかも。身一つで流れにのろうとする信也君をみていると、漠然とした不安を覚える。彼に。そしてたぶん、自分に――

「姉さん」 「や」
 出た瑞貴。精が出ること。らしくないんだからしいんだか。
「ここの空気が段々気に入ってきたのかな。そんな感じ」
 包み隠さず言ってくれるのが嬉しい自分が少し嫌といえば嫌。だけど別に応援してほしいわけでもない。むしろいない方が清々するのだからこれでいい。
「あ、そうだそうだ。そういえばまだいってなかったけれど予選突破おめでとう」
「サツキだってもうちょいでしょ。予選の後がどんな形式かは知らないけどあたったときはお互い悔いの残らないよう精一杯……」
 別に何も思いやしないでしょあんたは。あんたの目はあんたを破ったあの灰色頭とそこに辿り着くまでの強敵達にしかいってない。でもってその強敵達に私がカウントされてるわけがない。一番破りやすい相手だって本当は知ってるでしょ。上位互換でミラーマッチをやれる強みをまさか知らないわけでもあるまいに。それとも気がついてない? ま、少し天然入ってるから、アレは。

 変態は変態同士仲良く遊んでろ。できれば私のみえないところでさ。
「アイツとはどうなったの? 会った?」
「色々。色々あるけどやっぱり負けたくない。アイツに勝ちたい。今は素直にそう思える」
 この双子の姉は、ひと思いに『死ねばいいのに』と本気で思わせてくれないのが腹の立つ。
「がんばって。私もがんばるから」 「ありがと」
 なんでだろう。どうしてもこの姉が嫌いになれない。自分と同じ姿をしてるから? それならもう私が私自身を嫌いになりかけてるんだからさ。ホントなんでだろう。ああヤダヤダ。そんなことを考えている自分がまず嫌だ。誰かを嫌いになれない自分が嫌になるとか脳が腐ってるんじゃないの?

 劣等感を持つことからは随分前に卒業した。あれは私とは違う。マジで競う気もしない。だから私はミズキがそんなに嫌いじゃない。むしろ好き。むしろ憧れるじゃない。身内にあんなできる子がいるとかさ。だからどうせなら遠くへ遠くへいって欲しかった。遠くへ行けばいくほど自分も周りも色々と麻痺して余計なものを背負う必要もなくなる。私は自分と同じ顔をした姉さんが嫌いじゃない。だけどたまにいらっとくることもある。ミズキは私達の目の前に片足だけ残したがる。学校とかももっと選べたのに敢えて私と一緒だったり。なんの嫌がらせ。

 あんにゃろうは、自分が一時的に他と変わらないかそれ以下になったときちょっと……なんていうか……体育のときとか、体力ないから跳び箱1つ満足に飛べないけど、そういうとき、普通の学校の普通の授業で普通の跳び箱を飛べないとき「あ、普通だ私」みたいな。あのときの顔が私は嫌い。嫌いというかウザい。はっきりいって目障り。死んでほしい。早く死んでほしい。可愛いとでも思ってるのかそおいうの。いや、百歩譲って可愛いとしよう。だけど私の前ではやるなと言いたい。そりゃ余裕あるもんね。姉さんには確固とした個性がある。だから堪能できるんだそういうの。あの灰髪に敗北感を感じる以上に、下から上に挑む自分にまんざらでもないんでしょ? アレにはそういうところがある。1人で明後日の方向に行くのは寂しい? それはいいから私の目の届く範囲以外でやればいいじゃない。同じ姿をした普通じゃない方。特別な方。ミズキは特別な方なんだから、特別じゃない私にふさわしい場所を舐めるように上澄みを掬うように堪能しないでほしい。できる人間のできない自慢なんて聞きたくない。自分と同じ姿をしたできる人間のできない自慢なんて聞かされる方はどういう表情して聞けばいいのよ。

 とか思ってみたり。まあでも私にとっての瑞貴は昔から特別だった。最強だった。むしろ瑞貴には最高であって欲しかった。だって瑞貴が一番ならいいじゃない。なんか。

 そりゃ、本音を言えば私だって無敵になりたいけどさ。誰にも負けたくないんだけどさ――


第55話:五月病患者は壊れ死ぬ(前編)



 いつからだっけ。

 最初は森勇一と東智恵。ミズキとは違うタイプの強い人達。勇一の頭の回転の早さと智恵の賢さは度々瑞貴と五分以上にわたり合っていた。なんか嫌な予感がした。だけど私は結局一度握ったカードを捨てることなくそこにいた。幸いにして、うちは強かったけど私の居場所はあった。たぶん。

「《神の宣告》!」
「チッ、その程度でやられるか! こっちは手札から《天空の聖域》を発動」
「日本選手権決勝! 幾多の強豪達が集い火花を散らしたこの宴もいよいよ最終局面。ここで王手をかけているのは少数のモンスターと多数のスペルで固めるカウンターデッキのダイヤモンド、森勇一。しかし対する村坂もこのまま終わる決闘者ではありません。勝負の行方はまだまだわからない!」

森勇一:4500LP
村坂剛:8000LP

(ここでのライフコストは流石に重いが、最後の《素早いモモンガ》が戦闘破壊されれば少しはマシになる。もっとも、それを向こうが選択すればの話だが)
(ちっ、うっとおしい真似を。壁で急場を凌ぎつつコスト分を補填する為のライフ回復。だがそれは態勢が整いきってない証拠だ。やつの残りライフは4500。ならば!)
「手札から《光神化》を発動。《裁きの代行者 サターン》を特殊召喚」
「《光神化》〜〜〜〜! ここで《光神化》を使ってきたあ!」
「……」
「(いける!) 《地獄の暴走召喚》を発動! サターンを三体召喚」
「(甘いな) こちらもモモンガを2体展開、ここで《激流葬》を発動!」
「おおっとこれは凄い! ここまで《激流葬》を引っ張るとは!」
(ちっ、残りライフ1000までならいいと踏んだのかそれとも完全に読んでいたのか。《光神化》のときはピクリともせず、3体揃ってから流すとは。だが、これで終わると思うなよ)
「1枚伏せてターンエンド」

「ドロー」
(あちらには1枚の伏せ。向こうもこちらの常套手ぐらいは読んでくる。こちらにはまだセットがない、か)
「手札からカードを2枚伏せる、ターンエンドだ」 「そこだ! リバース発動!」
「おおっとここで村坂動いた。森勇一のカウンターをかいくぐるエンド発動だ!」
「《リビングデッドの呼び声》を発動。《創造の代行者 ヴィーナス》を召喚。そして俺のターン、ドロー」
「千のメタゲームを11秒台で駆け抜ける村坂剛。この決勝でもその力をみせてくれるのかあ!?」
「その通り! 《貪欲な壺》を発動。デッキからカードを2枚ドローする。いくぞ! 1500のライフを支払い《神聖なる魂》を3体並べる。そしてこの3体を生贄にィ! 現れろ。《モイスチャー星人》。効果発動」

「モイスチャー」 「モイスチャーだ」 「で、でたぁ」 「《モイスチャー星人》」 「動く。モイスチャーが動くぞ」 「ごく……」 「ここにきてモイスチャー」 「遂に……」 「モイスチャー」 「なんてモイスチャーだ」 「モイスチャーが半端ねえ」 「モイスチャー過ぎる」 「なんとお! ここにきて《モイスチャー星人》の登場だあ!」
(成程。いい戦略だ。リバースを全てふっ飛ばせれば最高の結果。そうでなくとも高コストの《天罰》や《神の宣告》を使わせたならそれもよしってところか。そして後者の場合はこちらのアド損を計算にいれ、伏せ1枚に対して《創造の代行者 ヴィーナス》で正々堂々殴りかかるゴリ押し戦術。流石決勝。悪くない。だがな。こういうのはどうだ?)
「リバースはどちらも発動しない。だがその代わり、墓地に送られた《黄金の邪神像》の効果を発動」
「これは森勇一珍しい。村坂得意の、伏せ除去の上をいく戦術だあ!」
(成程。最低限の備えをしていたというわけか。だが最低限過ぎるな森勇一!)
「バトルフェイズ、《創造の代行者 ヴィーナス》で邪神トークンを撃破。そしてえ!」
「森勇一の場はがら空きだ! ここでダイレクトを決めれば王手がかかるぞお!」
「《モイスチャー星人》でダイレクトアタック!」

森勇一:1700LP
村坂剛:6500LP

「決まったあ! 森勇一のライフは大幅に削られ、場もがら空き……な!? あれはまさかあ!」
「《創造の代行者 ヴィーナス》で先に攻撃したのは不味かったな。手札から《冥府の使者ゴーズ》の効果を発動。このカードを場に特殊召喚するとともに、攻撃力2800のカイエントークンを場に特殊召喚する。死なない程度にやられてみせるのがミソだよな。こういうのは」
「今大会初めて見せる森勇一のゴーズ! これは村坂意表をつかれたか!」
(先に一勝した後手番だからな。この方が格好つくだろ色々と。置物多めの構成、ゴーズをメインから外したままデュエル、ここぞというところでのサイドチェンジで裏をかく。悪いがこちらの手を警戒、分析されてるのは慣れっ子なんでな。こちらはこちらで策を仕込ませてもらった。まっ、サイドの仕込みなんてのは結局使わないまま終わることも多いが、いい具合に引っ張れたもんだな)
(くっ、もしも《黄金の邪神像》が場に残り続ければ不良債権となりゴーズは使えない。だがそれが逆に迷彩として機能する? ここでゴーズはないと無意識の内にたかを括っていた? だが、だが奴は、この俺が魔法・罠ゾーンを一掃するのを見越していたというのか!? バカな)
(さあ仕上げだ)
「俺のターン、ドロー! カイエントークンでヴィーナスを撃破。1200ポイント食らってもらう。そして手札から速攻魔法《エネミーコントローラー》を発動。さっき攻撃したカイエントークンをコストにして第二の効果を使用。あんたの《モイスチャー星人》のコントロールを得る。《モイスチャー星人》でダイレクトアタック」
(この野郎。俺のエースを誘い出し最初から自分で使うつもりだったってのか。畜生!)
「合計4000。これでラストショットだ。《冥府の使者ゴーズ》でダイレクトアタック! 合計6700だ。(ぴったりが一番格好いいんだが200も余っちまったな。ま、いっか)」
「決まったあ! 森勇一電光石火の逆転劇で二勝目をあげ優勝! 高校生最強が日本最強に進化した! この勢いはもう誰も止めることができないのかあ!」

「何が『高校生最強が日本最強に〜』だ。フロックで勝ったに決まってる。一回まぐれで獲ったぐらいで誰が認めるもんかよ。村坂の奴も油断しやがって」
「いや、森は本気で強いぞ神宮寺。あの村坂が完封で敗れるとは……」
「最終成績ベスト8を一度も経験していない決闘者など俺は認めん」
「今までベスト4以下に入ったことがないんだから当然だろ。まったく……」
「くそう。俺が本調子ならベスト16でやつを迎え撃ちベスト8にあがったものを」
「日本選手権優勝は最強のカウンター使い・森勇一。準優勝に村坂剛。第三位にはベスト4で惜しくも森に敗れたものの、仲林誠司との熾烈なメタ合戦もとい三位決定戦を制した東智恵。ベスト4にはその、ラストデュエルで壮絶な手札事故をもって我々を魅了してくれた仲林誠司。以下、ベスト8に新上達也、内田貴文、西川皐月……」

「流石うちの大将は違う。まさかこのレベルで!」
「アキラ、あんたどうだった」 「滑り込みで64。ヒジリは?」 「聞くな」 「おい……」
「姐さんかてベスト8や。くぅ〜〜やっぱ先輩の腕は俺等とは違うで」
「ありがと。もう少しでベスト4だったんだけどちょ〜っと努力が足りなかったかな」
「相手のデッキがガンまわりしてたからや。そうでなくてもベスト8は流石っしょ」
「その通り! 西川皐月。おまえこそ高校生最高のベストエイタ―だ!!」
「誰この人」 「九州三強といわれる神宮寺さんや。最近不調やけど……」
「知っているぞ。大中小様々な大会でベストエイトを獲ったと。ベストエイト万歳!」


 高校生最高のベストエイタ―。悪くない響きだった。実際、めぐりあわせが良かったとはいえあそこまでやれた自分には少しだけど誇りが持てた。本も買った(『よくわかる! ベストエイトの民俗学/神宮寺陽光著(※現在絶版)』)。むしろベストエイトを誇りにして何が悪い。私はこのポジショニングで頑張ればいい。確かに私は一回も優勝したことがない。小さな大会でも精々2位で終わる。確かに思い起こせば1位を獲ったことはない。聖ですらあるのに。そういえばあんときの聖は「なんかよくわからんけど全てが自分のいいように進んだ」とか言ってったっけ。いいじゃん。そんなのなくたって。

 この大会に姉がでると知ったときは寝耳に水だった。あんま個人戦は好きじゃなかったからあれは。何かを求めてたのかな。私の知ったこっちゃないけどとにかく姉は担ぎ出された。そして一回戦。相手は村坂剛だった。村坂は相変わらずの実力。『千のメタゲームを11秒台で走る』のは伊達じゃない。だけど所詮は虚仮脅しで止まるレベル。私でも噛みあいが良ければ勝てるかもっていう。このときは、いつもの姉さんをみていて、周りも勝つ人間は勝って負ける人間は負けて、だけど少しづつ何かの違和感には気付いてた。アキラが勇一に最後の勝負を挑もうとしているのも驚いたけれど許容範囲内だった。だけど一回戦二回戦フリーと時間が経つにつれてやつらが本性を現してきたっていうかさあ。ていうかさあ。あのさあ。

「ダーイ・グーレ・ファー!」

 あれ? なんか変態がいる? 色物の癖にやたら強い。なんだろうこの胸騒ぎ。

「瀬戸川流決闘術奥儀!」

 変態だ。どう好意的に捉えても変態。しかも姉さんや勇一とまともに渡り合ってる!?

「ハイパァァハンマァァァヘッドォォォォ!」

 変態だ。しかも相当強い。私より遥かに強いんじゃないのあれ。あれ? あれれ?

「フォーッフォッフォッフォ! 新世紀鳳凰伝説!」

 老人の変態まで? しかも変態の癖に堅実に強い。世界レベルじゃんあれ。

「ピラミッドパワー全開! 朕の前に平伏すがいい!」

 もう意味がわからない。変態だということしか私にはわからない。なにあれ。

「あ、それ義手な」

 なにその「あ、それエンドサイクな」みたいなノリ。変態だから。変態だから貴方。

「カードゲームは脚力だ!」

 帰れ。

 頭がどうにかなりそうだった。ミズキの力がディムズディルには全く通用しなかったという事実。私の中のピラミッドを揺るがす問題。いやむしろ問題はあの歩く都市伝説が連れてきた連中の異様な決闘力。海を越えてやってきた十字軍はこの国にむしろ種子島的な衝撃を与えた。そう、私はみた。

光合成体質(ハイパーモード)」 「我錬栽培波動玉輪砲門!」

 おかしい。去年の九州三強とは次元が1つ以上確実に違う。去年の新上は身体から謎の波動を発しはしなかった。恐るべき高等技術。決闘十字軍や裏コナミSCSとやりあったことでぐいぐいと力を伸ばして“なんか変態っぽい”から”ただの変態”の領域に足を踏み入れてる。私にそれができるだろうか。無理だ。私は変態にはなれない。1.5流の変態すら無理だ。そんなの遠い昔に捨てたもん。瑞貴とは競わないと決めたときから捨てたもん。私のランクが崩れる。私の、中の上から上の下ぐらいのスタンスが21世紀、変態民族大移動による生態系のバランスの崩れによって崩壊していく。海外から変態という名のブラックバスが日本の湖に放流される。弱い魚は食い荒らされるかブラックバス並の凶悪な変態魚に進化する。二極化。変態か否か。デッドオアアライブ。だけど私の理想の立ち位置は中間からちょい上にある。やめてよ。ねえ……。

「真・全土滅殺天征波!」

 だいたい裏コナミってなに? 決闘十字軍で既に私の脳はアレを一握りの、変態ピラミッドの頂点に設定していたんだけどまだ上位種の変態がいるの? あれ? もしかして世界は、世界は私が思ってるより無茶苦茶広くて壮大で、もしかして私が今まで変態だと思っていたのは私がゴミクズ過ぎるからそうみえただけ? 今までカードゲームで波動を放って相手にプレッシャーを与えるのは本当に一部の変態のみに許された幻の超高等技術だと思っていたけれどわりと普通? もしかして普通? なわけないだろ。

 嫌だ。認めたくない。私のポジションが、私の居場所が消える。闘わないと……あれ? なにと闘う? 目の前の相手をかろうじて凌げば終わる? 違う。変態の波は大きなうねりを持って私を押し流す。何が『小波』よ。カードゲーム界は、遊戯王界はありえないぐらい『大波』じゃない。変態の巣窟じゃない。そういえば先週アニメをみたらカードゲーマーがダイナマイトで吹っ飛んでた。あれってアニメだからそういうもんだと思ってたけれど意外とよくあることなのかもしれない。そういえば噂になってる。ディムズディルと決闘した相手がダイナマイトでダイレクトアタックを狙ったって。悪い冗談だと思ってたけれど、カードゲーム界にはわりとよくある現象なのかもしれない

 世界が広がる。鎖国の時代は終わりをつげ、黒船来航後の日本のように広がっていく。世界が広がっていく。刺激を受けた意欲と才能ある者がどんどん台頭していく。私はその波にのることができる? 波を生む企業、世界最大の企業コナミ(裏)が生み出すビッグウェーブにのることができる……無理だ。だって私はなにとも闘ってない。隅に置かれた椅子に滑り込んでいたいだけ。

 世界なんか広がらなきゃいいのに。世界なんか広がらなきゃいいのに。

 何も目指さない。ここにいたい。ここが一番幸せ。
 だけどその為には勝利を目指さなくてはならない?

「否認します! 《強烈なはたき落とし》を発動!」
「まだだ! 《ダーク・コーリング》! マリシャス・ゾーン発動!」

 わかる。わかる。フィールドで一際輝いてたあの二人をみてれば。あの二人は持ってたもん。資格を。わかる。強烈にはたき落とされたのは新堂じゃなくてむしろ私だ。あんなオーラ。私がもしもあそこにいれば潰されていたに違いない。エリザベートは正しい……いっそのこと潰してくれりゃいいのに。そりゃわかるよ。私にはあんな輝いた決闘はできっこないって。誰かが言ってたっけ。デュエルフィールドは誰もが主役になれる場所。だけど三文芝居の大根役者じゃ締まらないじゃない。なんだろう。あいつら酷いんだって。一瞬だけ私でも太刀打ちできるかなって夢をみせるんだ。それで一気に突き放される。あーあ。

 あの腐れた決闘紳士の言葉をはねつけることも無視することもできない程度の――

「そういえば1人か。行くところがあれば寂しくもないんだろうけど私がいくとこといったら」
 気づいたらもうとっくに置いてかれてる。予選突破がかかってるとは思えない。まるで消化試合。当たり前かな。そもそも何も始まってない。何も始まらず何も決着しない。だからよかったのに。ただ、周りが動いた。周りが広がったから、自分が一歩も遠ざかろうとしていないことに気付かされただけ。段々と
(《サイクロン》も《大嵐》も《風帝ライザー》も《ツイスター》すらない『無風状態の決闘』か)
 無風。私にぴったりじゃない。気のきいた課題……なんで私は今すぐ全てを放り出して帰らないんだろ。まだ何かにすがる気持ちが残っている? くだらない――。
(必要ないのだ。君達がそんなことを思い悩む……必要はないのだ)
 誰の言葉だっけ。ああそうだ。三下相手にすらドローをみせつけられていた無様な私を救ってくれた人の言葉。そういえばもらった決闘盤をはめてるんだった。古い型だけど補助シュミレーターに接続する上で別に支障はない。ないけどなんでつけてる? どうでもいいや。むしろどうでもいいからつけてるんでしょこういうもんは。携帯につけてる開運ストラップとおんなじ。それ以上でもそれ以下でもない。
「西川皐月対北崎弥生。決闘盤、セットアップ!」
 決闘盤を補助シュミレーターに接続。しかしよくもまあこんなものをこしらえたもの。このでかい箱に線を繋げば、仮にどちらかの決闘盤がお古でクラッシュしたとしても、それまでのデータが消えることもなく、加えて大迫力の決闘が実現できる。いったい誰がこんなものをつくったのやら。迫力が大きすぎて気絶したらどうするのか。事例はあるぞ。……ったく、余所事ばかりが頭に浮かぶ。わかってる。集中、集中。なんだかんだ言ってる場合じゃない。現に今、ここで勝たなきゃずるずる落ちるだけ。今までだってそうして凌いできたじゃない。凌いで凌いで、そして収まる。だから、やっぱり負けられない。

「西川皐月。最高成績日本選手権ベスト8。大小を問わず大会の優勝経験はないが攻撃型の決闘で常に安定した成績を残す。性格は沈着冷静。あまり冒険しないタイプ……」
 北崎弥生。前に対戦したときから思ってたけれどどことなく不気味な感じな決闘者。メタ系という情報は聞いてないけど。それ以前になぜここでそんなことを言う?
「よく調べてる。だけど性格分析なんかはあてにならないもんよ。長々つきあってみないと」
 一応調べられてるのに一瞬喜んだ自分に腹が立つ。この時点で冷静でもなんでもない。
「道理ね。ならばその半端な成績に敬意を表して新しいフォーメーションを試そうかしら」
 半端って言った。それに新しいフォーメーション? ここで敢えてそんなことを言うということは予想もつかないことをやってくるつもりなのかそれともわかってても防げない自信があるとか。

【Hブロック予選三回戦】
北崎弥生VS西川皐月


 決闘が始まる。この独特の空気。そうだ。この……ああ集中集中。ハンドは悪くない。相手は北海道札幌代表・北崎弥生。守備に定評のある決闘者。しかもルールは『無風』。《サイクロン》《大嵐》《砂塵の大竜巻》《ツイスター》……色々あるっちゃあるけど特に置かれた魔法・罠を割るものが多い。となればこの決闘は置物天国。守備型の決闘者で置物天国とくれば予想される結論はガチガチのロック。
「ドロー……ふふ。貴方のデータは既に揃ってる。勝たせてもらうわ。2枚セット。エンド」
 勝機。そうだ、勝つことは最高の正当化事由。余計な理論操作なんか必要なく、ただ勝つということが次に進むことを正当化して、次に進むということが前向きに生きていることを正当化してくれるんだ。勝てば官軍。勝てる試合なら勝つべき。しかも勝利は『次』をもたらしてくれる。そうだよ。私の座れる椅子なんて減る一方。だけどこの椅子はまだ残ってる。座れるんだ。なら負けるわけにはいかない。そうでしょ?

「手札から《ミラージュ・ドラゴン》を召喚」
「ドラゴン族か。どういう決闘をみせてくれるの?」
 どういう攻撃? わかりきったこと。
「バトルフェイズ」
 当然先制攻撃。間を置く余裕なんて私には……。
「無駄なこと! ミラージュの効果は発動させない。ここで!」
 無風の筈の空間にこの気圧。北崎のディフェンシブ・オーラ!?
「リバース! 《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》! 囲い込め!」
 私の大味なドラゴンでは網を突破できない。やはりそういう作戦で来た。
「流石は姉様! 完璧な守りですわ!」 「私達の分も、あのにっくき皐月に制裁を!」
 姉さま姉さまうるさいわね。一発守っただけでこの騒ぎよう。騒ぎたいのはむしろこっちよ。やはりロック系デッキ。だけどドラゴン族には風を用いない置物殺しがある。確かに北崎弥生の守りは難攻不落。だけどこのルールのおかげで逆に向こうの手の内がガラス張り。そこを丁寧についていけば勝てる筈。
「フフ……一撃でもいれられたなら褒めてあげるわ」
 勝てる、筈。確かに威圧感が増してるけれど守備だけの相手なら。
「カードを1枚伏せる。私はこれだけでターンエンド。もういいわ」

2周目
北崎弥生:ハンド4/モンスター0/スペル2(《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》/セット)ライフ8000
西川皐月:ハンド4/モンスター1(《ミラージュ・ドラゴン》)/スペル1(セット)/ライフ8000

 大丈夫。通用する通用する。最近は、相手が変態だったから驚いて駄目だっただけのこと。そうだ。ここで予選を突破すれば少なくとも格好はつく。まだ椅子取りゲームの席は空いている。北崎弥生は私の力ではかりきれない相手ではない。冷静に、落ち着いて勝機をうかがって……。
「西川皐月。おまえを生贄にしてこの最終戦、本戦に向け我々の新たな陣形を披露しようか」
 なに? 言葉とは裏腹にあの虚脱しきった……。だいたい、私を生贄にってどういう意味?
「フフ、そう訝しがることもないでしょ? 翼川高校、デュエルクルセイダーズ、ソリティアの会、裏コナミ……所詮は烏合の衆に過ぎない。それを今ここで証明しようと言うだけ。ふぅぅぅ……」
 似ている。この感じ、エリーやゴライアスのときに感じたものにだぶる。相手の実態を掴めないまま弾き返され翻弄された記憶。これはなに? 『反射』? 違う。『模倣?』 違う。これは……これは『重複』!? 気配が違う。北崎特有の、難攻不落なディフェンシブ・オーラが消えている。別のイメージ。逆のイメージ。間違いない。これはオフェンシブ・オーラ。イケイケな攻撃型の決闘者に特有のオーラ。
「北陸の牙・西野如月の決闘、たっぷり堪能してきなさい……ふっ!」
 これは――
「さあいくぜ! 俺のターン、ドロー! サツキとかいったな。ぶっつぶしてやるよ!」
 違う。北崎弥生じゃない。男性的で、荒々しくて、今にも引き裂かれそうな――
「手札から《アトランティスの戦士》を捨て《伝説の都 アトランティス》をサーチ! 発動!」
 まさかこいつも……まさかこいつらも……。
「《サブマリンロイド》を召喚。小手調べってやつだ。だが俺の小手調べは……気を抜くと死ぬぜ!」
 理解した。理解できないということを理解した。これは、これは決闘狂人の匂い。ヤバい。来る――
「バトルフェイズ、《サブマリンロイド》でダイレクトアタックを仕掛ける!」
 潜った!? そうだ、アトランティスの効果。周りは『海』で満たされている。どこからくる? 右? 左? それとも死角となる後ろから? わからない。どこから……
「正面って選択肢もあるんだぜ! ディープ・デス! イン! パク! トォォォオ!」
 ど真ん中。ミサイル。不意をつかれた。避けきれない!
「きゃあ!」
 この迫力。ソリットビジョンをも味方につけ精神を削るほどの攻撃。減ったライフはたったの800。10分の1に過ぎないのに。これを食らい続けたら反撃の意思すら刈り取られる。間違いない。こっちの方は純正の攻撃型決闘者。まさか、まさかあいつの、あいつらのフォーメーションって言うのは……。
「小手調べで終わるなよな。折角のお披露目会なんだからよおなあ」
「ふふ。西川のやつ面喰ってるみたい」 「そりゃそうよ。1人で2人を相手にするんだからね」
「さってっと。次は姉貴に任せるとするか。そんじゃ、また後で遊ぼうぜ。西川皐月よお」
「ふふ。驚いた? そうよ。貴方が体験した通り。鉄壁の守備を築き上げた私が貴方の攻撃を捌き、そして北海道一の攻撃力を持つ弟、西野如月が爆流のごとき勢いで攻め立てる。だから言ったでしょ。翼川、クルセイダーズ、ソリティアの会、裏コナミ……どれもこれも他人同士が寄り添ってるだけに過ぎない。決闘は1人。だけどその決闘を2人でやれるとしたら? コナミの腑抜けたルールが私達を最強にする。肉体が1つならば2つの精神をもっていても反則にはならない。私達は科学的には認められなかった。脆弱な現代科学では私達の真実を受け止めきれない。でもだからこそ誰も私達を反則としては扱わない。恨むなら、現代の誤った社会常識を恨むのね」

 近年、訓練されていない野生の決闘狂人の数は右肩上がりに上昇しており、その中の一部のものが自らの力を決闘常人に誇示、その結果痛ましき事故に発展する、このような事態が深刻な決闘問題に発展している。そしてこの現象には近年の深刻な決闘権化(訓練された決闘狂人)不足に悩んだ裏コナミが関わっていると言われているがその真偽は定かでない。いずれにせよ、貴方が訓練されていない野生の決闘狂人に遭遇した際、配慮を求めることは山で遭遇したクマに完全平和主義を説くのと同程度には愚かなことであると知るべきであろう。このような事態に対する処方箋は3つしかない。@決闘狂人避けのスリーブをつけて生活するA決闘狂人から逃げるB決闘狂人を倒す。これらどの選択肢を採るにしても、常に考えておかねばならぬことがある。決闘者である限り、その脅威はなくならないということ――

「これが、これこそが……私達が今年から導入した新型フォーメーション【リバーシブル・フィフティ】!」

せめて来年からにしてよ……椅子、なくなるじゃん



【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
遅まきながら新年明けまして読了あんがとうございます!
持病が悪化して酷いときは5分に1回トイレに行く程度の生活だったので遊戯王5D'sを騙し騙し視聴してました。不動遊星はイケメンにも程があると思います。俺、3月の手術が成功したら不動遊星になるんだ……。それはそうと西川皐月物語。そもそもいるかいらんかすらわからないようなアレですが、私なりにやるだけやってみたので皐月の生き様(死に様?)をみてやってください。


↑気軽。ただこちらからすれば初対面扱いになりがちということにだけ注意。


↑過疎。特になんもないんでなんだかんだで遊べるといいな程度の代物です。

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