そこには1人の決闘者がいた。見るからに屈強な、長身の大男。身体には怪しげな、紫色の数珠を巻きつけている。彼は携帯用の線香入れを開けると、そこか ら一本の線香と……一個のデッキケースを取り出す。彼は左手に持った線香をデッキケースに擦り付け、その摩擦で火をつける。その後、デッキケースを地面の 上に置き、ケースの隙間に線香を捻じ込ませる。そこまでの準備を終えると、彼は両の握り拳をぶつけ合い、彼独特のポーズで祈る。それは彼が、決闘の前に行 う儀式に他ならなかった。彼の名は寺門吟。予選リーグ2回戦、山田晃の対戦相手である。彼の精力は、今最高潮に達していた。

さあ、 成仏 ( デュエル ) の時間だ

 そこには1人の決闘者がいた。遠目にはその男の特異性などわかろう筈もない。彼は、試合場の整備の間、デッキケースに入れておいたデッキを一瞥、邪悪な笑みを浮かべる。彼は一端目を瞑り、大会が始まって以来の、今までの決闘を振り返る。勝った試しなどまるでない。来る日も来る日も負け試合。だが、不思議 と辛くはなかった。彼は空気中から酸素を吸い込み二酸化炭素を吐き出すぐらいの自然な動作で、今日使う、40枚のデッキをくみ上げることができた。今、彼 の手は、溜まりに溜まった鬱憤の類を晴らすべく、暴虐の限りを尽くしたくてウズウズしている。彼の殺気は、最高潮に達していた。

さあ、 自殺 ( デュエル ) の時間だ

【予選二回戦】
アキラ(無所属)―寺門吟(茨城)


  

第34話:自殺決闘者(スーサイド・デュエリスト)


「森勇一……だったな」
 突然、後ろから声を掛けられた森勇一は、一瞬戸惑った様子を見せるもすぐに立ち直る。その顔は以前見た顔。近い将来、彼の敵として立ち塞がるやも知れぬ男の顔。
「ディムズディル=グレイマンとか言ったな。或いは、グレイ・ブラックマンとでも呼ぶべきか」
 灰色の髪の男。『灰色の魔王(グレイ・ブラックマン)』とさえ、伝え聞いた男。
「ああ。灰色の黒。日和見主義の(グレイ)人格破綻者(ブラックマン)とは僕のことを指すらしい」
「謙遜か? そういうタイプには見えないぜ」
「なんだ。自慢して欲しいのか? そういうタイプには見えないな」

「……何の様だ?」
「用はないさ。ただ……アキラの決闘を見るんだろ。僕もそうなんだ」
 奇遇だな、とでも言いたげである。わざとらしさを隠そうともしないのがわざとらしい。
「……まぁ、見ることは見るさ。たいした試合にはなりそうもないがな」
「それはわからないさ。そう、わからない。僕も、君も、今から何が起こるかがわからない」
「だから見に来たのだ、そう言いたげだな」
「結果の見えた闘いなど一々見ないだろう?」
「まぁ、そういうことにしておくさ」

「面白くなるような気はしている。この対戦カード」
「……構築の時からアキラのことを見ていたのか?」
「ああ。見ていたよ。傍目にも、中々面白い構築だった」
「面白い? 課題のことか?」
「ああ。デッキの構築中、黒板を鍵爪で定期的に引っ掻くという、ユニーク極まり無さ過ぎて、作った人間のセンスと人格を一度に疑えるような、画期的な特殊ルールだ」
 勇一、発言内容へ一瞬疑いを抱くも、そのままスルー。冗談交じりに、話へのりかかる。
「成る程な。それは面白い。で、あいつらは呻き声をあげながら構築したってわけだ」

「いや、アキラは構築前から日避けの帽子をかぶりっぱなしでな。偶然脱ぐのを忘れてたんだ」
 勇一、内心で溜息をつきつつも話にのる。言葉の差し合いは、そう嫌いではない、と。
「話が繋がらないな。帽子如きで、あの黒板の猛威から逃れられるってのは無理があるだろ?」
「いや、帽子は隠すのに役立った。アキラは、こっそり数枚のコモンカードを破って耳に詰めたのさ」
「はっ、本気で言っているのか? そろそろ『実は嘘でした』が許されない空気だぜ」
「哀しいことに事実だよ。帽子を深くかぶっていれば耳元はばれない。加えて、あのアクシデントだ。中断中、あの即興の耳栓はどこか遠い世界―例えばその辺のゴミ箱の中―に消えたって寸法だ」
「で、数日後には夢の島行き、か。完全犯罪だな。で、もう一方は? あの大男が泣いたのか?」

「最初は戸惑っていたが、一度座禅を組み、妙な呪文を唱えること約1分。その後は見事なものだったよ。おもむろに立ち上がると鬼の形相でデッキを組み始めた。その後は、まるで黒板などこの世に存在しないかのような立ち振る舞いだったよ。中々の男だ。彼の念仏は、アキラの耳栓に優るとも劣らない効果を発揮したといえる。つまり、デッキ構築では全くの五分。お互い相譲らぬ、好ゲームと呼ぶにふわさしい内容だった」
「黒板の罠は両方ともクリアした。後は実戦次第……ってわけか」
「そうなるな。おっと、どうやら始まるようだな。2回戦、最後の決闘が」

「デッキスタンバイ……OK?」
 決闘者2人は審判の御前で向き合っていた。
「OKだ。何時でも何処でも誰とでもってな」
 彼らは既に、戦闘体制に突入している。
「我が寺院に遅滞の時無し……豪!」
 戦いの火蓋が、遂に切って落とされる。
「レディー……Go―――――!」

「デッキからカードを5枚ドロー……」
 遂に2回戦最後の試合が始まる。コイントスの結果、先攻を務めるのはアキラだ。
「デッキからカードを1枚ドロー……カードを1枚セットして……発動! 《手札抹殺》ゥ!」
 穏やかにターンを終えるかと思われた、アキラの眼が瞬間風速的にぎらつく。
「アキラめ、いきなり《手札抹殺》か。翼川でチームを組んでいた時には見せなかった手だが……」
 アキラの眼光は相手を食い殺しかねない勢い。昔の彼とは、どこか違う。
「だが、それは悪手だ。寺門吟が、一回戦同様得意デッキで勝負を挑むならばな!」
 勇一の予想は当る。寺門はアキラの威嚇を軽く受け流すと、豪快に笑い出した。
「ハーハッハッハッハッ!いきなり《手札抹殺》とは中々豪快。だが、それは我がデッキにしてみれば願ったりかなったり、寺に賽銭を投げるような真似だということを、若いお前は未だ知らんようだな」
「知るかよ。知ったことかよ……」
「ならば! 教えてくれよう。私の、【テンプルドラゴンズ】が抱えし、38の閃光を!」
「テンプルドラゴンズ……」
 寺門は、体中に精気を駆け巡らすと、『印』を描きながら手札5枚を墓地に送る。
「行くぞ! 私は手札から―テンプルドラゴンズNo.16―《スピア・ドラゴン》、―テンプルドラゴンズNo.18―《ドル・ドラ》、―テンプルドラゴンズNo.38―《神竜ラグナロク》、―テンプルドラゴンズ・アウトナンバー―《ロード・オブ・ドラゴン―ドラゴンの支配者》、そして《スタンピング・クラッシュ》の5枚を墓地に送る! 感謝するぞ山田晃。お前のその不用意な一手がぁ、我が寺の陣容を万全にしたぁ!」

「なぁ、森勇一」
「馴れ馴れしいな。ま、別に構いやしないが、フルネームで呼ぶのはやめてくれ」
「じゃあユーイチ。アキラの相手、あの面白い男はどういう決闘者なんだ? 1回戦で当ったんだろ?」
「ん? ああ。アイツは茨城代表・寺門吟。奴は【ドラゴン族】を縦横無尽に展開して相手を押さえ込むタイプの決闘者。その大胆かつ緻密な戦いぶりから、ついた渾名が『北関東のドラゴン寺院―38種のドラゴン族を駆る破戒僧―』。予選リーグ1回戦、俺もアイツの【寺院龍】には思いの外苦戦させられた。此方のカウンターの嵐を掻い潜って登場した《F・G・D》によるダイレクトアタックは効いたな。あの、《龍の鏡》のトップデッキさえなければあのまま完勝できたんだがな」
「さりげなく自慢が入っているな」
「ま、アキラには少々荷が重いかもな。アイツのデッキは、ドラゴンの猛威を受けきるには薄過ぎる」

「私のターン、ドロー。私は手札から《封印の黄金櫃》を発動! 《未来融合−フューチャーフュージョン−》をデッキからサーチする……おっと、底の底だったか。そぅら除外だ!」
 寺門は慣れた手付きでデッキの底に沈んでいた未来融合を引きずり出して除外。その眼には、相も変わらず自信の色が滲んでいる。そう、未来融合こそ彼のデッキのキーカード。その効果によって特殊召喚されるフィニッシャーも勿論だが、真に恐るべきは墓地に送られる多種多様なドラゴン族の群れ。墓地から必要に応じてドラゴン族を使いまわす寺門の、シルバーバレット・テンプル・ドラゴンズの前に敗れ去った決闘者の総数を今更提示する必要があるだろうか。最強の高校生とまで謡われた、あの森勇一すら後一歩の所まで追い詰めた、寺院龍の脅威がアキラに迫る!
「手札から……いでよ! ―テンプルドラゴンズNo.8―《ブリザード・ドラゴン》! 当然バトルだ! 迂闊なる決闘者に罰を下せ! 《ブリザード・ドラゴン》でダイレクトアタック!」
「……」

アキラ:6200LP
寺門吟:8000LP

 寺門のファーストアタックがアキラを襲う。だが、アキラは押し黙ったまま指一本動かさない。
(成る程。リバースカードを温存。その正体、マスデストラクションか、或いは《龍の鏡》を警戒したカウンター罠か。いずれにしろ大戦果を狙っていると見える。だが、そんな荒いプレイングが通じるものか!)
 寺門の頭脳が冴える。彼は見かけほど力押しな決闘者ではない。多種多様なドラゴン族を用い、慎重にして的確な一手を繰り出すことこそ彼の真骨頂。それ故に彼は強豪なのだ。
(強い。確かに手強い相手なんだろう。だが……だがよ……)
 だが、アキラはそんな寺門をどこかイラだたしそうに眺める。
「私はカードを1枚伏せさせてもらう。ターンエンド」

 ――――

 激戦が繰り広げられる丁度その頃、『彼』はそこにいた。
「ぐはぁっ! て、てめぇっ! あんま調子に乗りやがると……」
 そこは、決闘場に通じる通路。そこに響く声は決闘者のもの。
「なっ、4000ダメージだと? ま、まだだ! まだ戦力は……」
 決闘は場所を選ばない。何時でも何処でも加熱する。
「そんな馬鹿な。俺の新型六属性デッキ【風氷火陰山雷】が」
 だが、その決闘は既に収束していた。圧倒的大差で。

「どうした? 弱すぎるな。それでも決闘者か?」
(なんなんだこいつのデッキは。攻撃の出所が全く読めねぇ)
「終わりだな。そろそろ消えてもおうか。目障りだからな」

「くっ、だがなんだって俺を襲う! お前には関係ねぇだろ!」
 2人は初対面。しかも、その内1人は、どう見ても非日本人。
「シャークトレードのシャークは……鮫だ」
「それがどうした!」
「鮫は強くないとな……悪人が正論に逃げるな。」
 そこには2人の男。やられる鮫とやる何か。

「まぁ、恐喝ぐらいしか牙を持たない、似非鮫に何を言っても無駄か」
 “恐喝程度しか牙のない似非鮫”。だが鮫は、あくまでそれを武器とする。
「お、俺は『構築的懐疑』の幹部だぜ! それと知って……」
「『構築的懐疑』? ああ、西日本最大のチームの正式名称だったか」
 やる側の男がピクリと反応する。鮫は、それを見逃さない。

「その反応を見るにどうやら知っているようだな。驚いたか。俺は西日本最強、いや、今や日本最強のTCGチーム『構築的懐疑』の主要メンバーなんだぜ! 俺に手を出したら、総勢1354人の会員が黙っちゃいねぇんだよ。さぁ、この国で命を保ちたいなら、まずは土下座だ!」
 付け上がる男。だが、彼はあっさりとこう切り捨てた。
「お前、チームの中でも下っ端も下っ端だろ。名前さえ上には覚えられていない」
「ぐっ……」
 図星。
「何処にでもいる。虎の威を狩り、セコイ商売をなす奴が」
「う、五月蝿ぇっ! この……ぐぇぇっ!」
 だが、彼は最後まで言い切ることができなかった。
スタンガンモード起動……
 女性の声と共に、走る電撃。
「俺が構築した自家製の決闘盤。名前は『MIR』だ。気を失わない程度に手加減してやった」
 もっとも、彼が手加減したのは優しさからではない。言いたいことを言わんがため。
「お前は下っ端だ。だが、もしお前が下っ端でなければ俺は逃げた、そう思われるのも癪だな……」
 その男は、軽くこう呟いた。
「まぁ、暇つぶしには悪くないか」
「お、おまえ……何を考えて……」
「明日はその『構築的懐疑』と遊ぼう。もし弱ければこの世からチームが1つ消える。それだけの話だ」
「て、てめぇやめ……ぐがっ!」
スタンガンモード……出力30%UP……
 感電で気を失う鮫が1匹。いや、この場は漏電とでもいうべきか。
「退屈な反応しかできないやつはさっさと消えろ。いい加減空しくなる」
 年は20過ぎぐらいか。その男の身体は、危険な雰囲気を醸し出していた。

 ――――

「ドロー……俺はモンスターを1体セット。ターン終了だ」
 寺門の表情が曇る。彼は知っている。アキラがフルセットタクティクスを得意とすることを知っている。
「ターン終了、そう申したか若者」
 寺門は、1ターン目のアキラが、ワンセットでターンを終えた時から一種の不信感を抱いていた。そして今、アキラがモンスターを出したことによって、彼の不信は確信に変わる。
「お前の領域は【オフェンシブ・ドロー・ゴー】だった筈。 フルセットに加え、ノーモンスターまで捨てたのか。信念を持った男とのとの闘いをそれなりに楽しみにしていたのだが、これでは興ざめだな」
 アキラに対する失望の色を隠そうともしない寺門。彼は尚も言う。
「自分の戦術を信じられないような男に……」
 だが、この時アキラのイラつきの度が上がる。
「ノーモンスターは、別に拘ってやってたわけじゃない。その方が手札を0にしやすかった、ただそれだけだ。勝手に人の拘りをあーだこーだ言ってるんじゃねぇよ」
「だが、百歩譲ってそうだとしても、お前の【オフェンシブ・ドロー・ゴー】は……」
「イチイチ五月蝿いんだよお前は。仮にも僧侶畑ならもう少し黙ってろ。それが嫌ならさっさと墓に入れ」
「き……さま。私のターン! ドロー! 仕方ない。貴様には仕置きをくれてやろうか」
 アキラの言を、宣戦布告と受け取った寺門。彼は、烈火の剣幕で決闘に臨む。
「仕置きだと?」
「【テンプルドラゴンズ】の本領を見せてくれるわ! ぬぅぅぅぅううう!」
 寺門吟の本領発揮。彼は体中の精気を脳髄に集め、阿修羅の如き決闘を開始する。
「最早是非も無し! 手札から通常魔法《龍の鏡》を発動! 墓地より、―テンプルドラゴンズNo.38―《神竜ラグナロク》と、―テンプルドラゴンズ・アウトナンバー―《ロード・オブ・ドラゴン―ドラゴンの支配者》をゲームから除外! 出でよ!テンプルドラゴンズ No.1!」

 

竜魔神−King Dragoon

 

「最早これにて万事絶頂!」
「デカぶつの大将が……ノコノコと……」
「天の白龍地の黒龍! 龍の気脈を見せてくれよう!」

 ――――

「暇だな。“黒板”は……流石にもう始まっているか」
 鮫を退治した男は、ふらふらと通路を歩いていた。
「探しましたよローマさん。ここにいたんですね」
 男の背後から声。男は、ゆっくりと振り返る。
「どうした? 何か事件でもあったのか?」
 “ローマ”に声をかけたその男の声は、少々怒りのニュアンスを含んでいた
「決闘のルールを無理矢理変更。黒板まで事前に準備、無駄に凝った用意周到……」
「なぁに、ほんの悪戯だ。おままごとみたいなルールだったからな。別にいいだろ?」
 審判を、オーロラビジョンを捻じ曲げ、彼は、“取るに足らぬ悪戯”に手を出していた。
「他にも聞こえましたよ。『構築的懐疑』に手を出すとか出さないとか。悪趣味な」
「暇だろ。お前も俺も」
「私はそれなりに忙しいつもりですが。まぁ、暇といえば確かに暇かもしれませんね」
「俺がここに居ること、ディムズディルにはまだ言っていないな」
「はい。私も……悪趣味ですから」
「ふっ。そうそう。面白いやつがいたな。“黒板”で遊んでるやつのデッキだ」
「寺門吟対山田晃の一戦と記憶しています」
「レンズ越しに3枚ほど見たんだが、ガキにしては面白い」
 たった3枚でわかるのか。どうやら、わかるらしい。
「見に行くか? お前も……確か中條幸也だったか」
「人の名前は覚えましょう。ちゃんと……」
 “ローマ”は、中條の文句を意に介さず、話を続けた。
「そうそう。残りの連中にも声をかけておいた」
「まったく。貴方という人はどうしてそう悪趣味な」
「待ち合わせの場所を考える手間は取らんさ。さっき決まったからな」
 2人の男は試合場に向かって歩いていった。そう、彼らの戦いを見る為に。

 ――――

「テンプルドラゴンズNo.1。龍を集め龍を守る、ドラゴンの王様か。『セコイ』カードだ」
「その減らず口、浄の秒数で封じてくれる! キングドラグーンの特殊効果発動!」
 《竜魔神キングドラグーン》の力、それは龍を纏い、龍を覆う力。
「手札から、―テンプルドラゴンズNo.4―《青氷の白夜龍》を生贄無しで特殊召喚!」
 寺門は一気に3体目のモンスターを展開。必勝の構えに出る。その総攻撃力はなんと7200!
「成仏開始! ―テンプルドラゴンズNo.8―《ブリザード・ドラゴン》で裏守備モンスターに攻撃!」

「リバースカード・オープン!」
 アキラが攻撃に合わせ、リバースカードの使用を宣言する。だが、寺門の眼には余裕の色が。
(この局面でのリバース。ふっ、やはり全体除去を温存していたか。確かに、龍への耐性付与能力を持ったを持ったキングドラグーンといえども、全体除去までは防げぬ。だがその程度は、とうの昔に見えている。お前には見えぬだろうが、私の場には《魔宮の賄賂》が伏せられている。そんなものは効かん!)
 全体除去を読む寺門。だがこの時、アキラは、その予想を斜め上に突っ切る。
「俺は……魔法・罠ゾーンから、速攻魔法《リロード》を発動ォ!」
「なんと!? このタイミングで《リロード》を放つだと!?」
「俺は手札の5枚をデッキに戻してシャッフル。改めて引きなおす。そしてバトルを続行。お前の《ブリザード・ドラゴン》の攻撃で俺がセットしていた《マッド・リローダー》は戦闘破壊される。だが! この瞬間《マッド・リローダー》の効果が発動! 俺は手札からカードを2枚捨て、2枚デッキからカードをドローする!」
「むむぅ! 《マッド・リローダー》と《リロード》を併せた、リローディング・コンボ。さしずめ【双銃再装填(ダブルリロード)】。魅せてくれるではないか。だが! これでお前の守りは全て消えた。 リバースカードも最早ない! お前の場はがら空きと成り果てた!」
「五月蝿いって言ったのが聞こえなかったのか? やるならさっさと……」
「今こそ仏滅! 龍の長《竜魔神−キングドラグーン》よ! そして! その忠実なる守護者《青氷の白夜龍》よ! 連続攻撃! 一分残さず喰らってもらおう!」
「ちぃぃっ! 馬鹿力が……」

アキラ:800LP
寺門吟:8000LP

 無抵抗、アキラのライフが無抵抗に削られる。アキラの命は、既に風前の灯。残りはたったの800。
「やはりお前の決闘は仮初の社だったようだな。お前のライフは最早1/10。勝負は既にあった」
 圧倒的な優勢を築いた寺門。彼は遥か高みに居た。
「……」
「私は破戒僧だが、慈悲の心を持たないでもない」
「…………」
「サレンダーしろ。私は4000しか得られんが、特別に認めてやる」
 寺門、慈悲によりサレンダーを促す。最早、これ以上は哀れとばかりに。
「……わかった」
「そうか、それでは……」
 慈悲を見せた寺門に対し、アキラは彼に感謝の意をこめてこういった。
「お前らの、クソ忌々しい口を封じるには、さっさと倒すのが一番だということがよぅくわかった」
「なに?」
「その、人を上から見た態度も、何もかもがイラつくんだよ。クソ……喰ってろ!」
 アキラは寺門に魂の唾を吐きかける。それは確かに、寺門の心に染み付いていた。
「いいだろう。成仏が望みならその通りにしてくれる! 私はカードを1枚伏せてターンエンド」
 『慈悲のサレンダー』をはねつけられた寺門はゲームを続行する。
(これが最後の機会だったというのに。いいだろう。2度とカードを持てぬほどに叩いてくれる!)
 圧倒的優位を確立しても尚、彼に油断は微塵もない。彼は《魔宮の賄賂》でマス・デストラクションに対する警戒を強める一方、《リビングデッドの呼び声》を場に伏せる。そして手札には《早すぎた埋葬》。次のターン、《封印の黄金櫃》の効果で手元に入る《未来融合−フューチャーフュージョン》の効果と合わせればまさしく完璧なシルバーバレット戦略が完成する。そこには油断も隙もなく、万が一の失態すら許さない、寺門の決闘者としての厳しさが垣間見える。攻守を兼ね備えてこそのドラゴン寺院。だが……

「つまんねぇなぁ。ああつまらねぇ」
「なに!? 貴様今なんと……」
「見掛け倒しなんだよお前は。まるでアイツみたいなクソ忌々しい、御堅いプレイなんかしやがって……」
 アキラの眼に殺意が宿る。アキラは、鬼の右手でカードを引いた。
「クソったれが。俺のターンだ……ドロー……スタンバイフェイズ……行くぜぇ!」
「むっ!」
「《手札抹殺》によって墓地に落ちた、《黄泉ガエル》の効果を発動!俺の場に《黄泉ガエル》を特殊召喚する。更に! 今度は《マッド・リローダー》によって墓地に落ちた、《D-HERO ディアボリックガイ》の効果を発動。俺の場に同名カードを特殊召喚する……集え! ディアボリックガイ!」
「ほう……中々……だが、その程度で……」
「メインフェイズ!《おろかな埋葬》を発動!デッキから《ゼータ・レティキュラント》を墓地に送る! まだだ! 手札から《ディステニー・ドロー》発動! 《D-HERO ディスクガイ》を墓地に送り、カードを2枚ドロー。更にぃ! 《天使の施し》を発動!カードを3枚引き、手札から……」
 鬼気迫る勢いでデッキを回すアキラ。だが、寺門は眉1つとして動かさない。
(中々の回転率だ。だが、回転力の高すぎるデッキは往々にして空回りを引き起こす。ドローなど所詮、浮世の金銭ごとき儚きもの。本質は他にある。私はドローの幻想に惑わされず、本質たる、その1枚を《魔宮の賄賂》で切って落とせばよい。それで終わりだ。アキラよ。浮世の夢に沈むがよい!)
 寺門による冷静な分析。この時点で、彼の勝利は九分九厘間違いないかのように思われた。事実、森勇一はそう思っていた。アキラの実力では、軽く捌かれて終わりだ、と。だが、勇一はまだ知らない。修羅場をくぐり抜けてきたアキラが、どれほどの力をもっているかをまだ知らない。

「俺の……は……った」
「ぬぅ!?」
「勝ちを硬めようとするあまり自分で自分の首を絞めた。てめぇに同情の余地はない。この決闘が終わったら潔く……成仏しな。線香ぐらいは立ててやるぜ」
「きさま、この期に及んで血迷ったか!」
 アキラの言葉に猛る寺門。しかし、真に猛るはこの男。
「お前のテンプルドラゴン共は偽者なんだよ。ドラゴンの癖してぐーたら群れやがって。つまんねぇにも程があるんだよ畜生共が。てめぇらに見せてやるさ。この世から詰まらん決闘を片っ端から消し飛ばす、その瞬間をな。俺のメインフェイズはまだ終わっていない! お前の貧弱なドラゴン共のそれとは違う、真のドラゴン道を、ドラゴン・オブ・ドラゴンってやつを教えてやるよ!」
(むぅ! この殺気……あの若者は一体なにをしようというのだ。いや、なにもできはしないはず!)
 寺門は本能的にアキラから恐怖を感じ取る。だが、時既に遅し。アキラは既にキレていた。
「俺は《黄泉ガエル》と《D-HERO ディアボリックガイ》を生贄に捧げ……現れろ……」
 アキラの決闘盤が黒く光る。闇属性。禍々しい殺意が、具現化されていく。
「孤独と! 破壊と! 終焉と! 禍をもたらす破壊の権化! 俺の元に来い!」

 

Crush . D . Gandra!

 

「これがお前の選んだドラゴン……《破壊竜ガンドラ》……愚かな真似を……正気か!」
 寺門の眼前を飛ぶそれは、あまりに協調性のない素性故にテンプルドラゴンズからも破門を言い渡された破壊の権化。一切の慈悲を踏みにじる狂獣。全てを無に帰す虚無の宣告者。その名は……《破壊竜ガンドラ》! 
「クソ忌々しい正気などとうに捨てたさ! 俺はライフを半分支払いガンドラの効果を発動!」
 アキラのアクセルは振り切っていた。己の命を注ぎ込み、彼はガンドラを解き放つ。
「フィールド上の全てのカードを消し飛ばす! 喰らえ! 全てを無に帰す一斉放火ぁっ!」

 

Destroy Giga Rays!

 

アキラ:400LP
寺門吟:8000LP

 破壊の伝道者・ガンドラが全身から業火の雨を降らす。《ブリザード・ドラゴン》が、《青眼の白龍》が、そして【寺院龍】の象徴であった《竜魔神−キングドラグーン》が、2枚のリバースカードと共に異次元の果てに消し飛ばされる。そこには塵芥すら残さない。完全なる破壊劇。
「《破壊竜ガンドラ》の持つ、第2の効果を発動! ガンドラの攻撃力はその効果によって除外したカード×300となる。俺が除外したのは、お前のカードばかりで計5枚。よって攻撃力は1500!」
 ガンドラの、凶悪なる本性。ガンドラは喰らう。消した物に宿る、魂を喰らう。
「くっ! だがいい気になるな。そのような貧弱な攻撃力で我らが【テンプルドラゴンズ】を……」
 予想外の一撃。だが寺門は言う。所詮は仇花。戦況を覆すには至らない、と。だが!
「『いい気』を捨てるのはお前の方さ! 俺の時間をさっさと思い出すんだな! この瞬間! 墓地に置かれた《ゼータ・レティキュラント》の効果を発動! てめぇのコントロール下にあった生物が除外された事で、イーバトークンを場に特殊召喚できる! 俺は、3体のイーバトークンを場に特殊召喚するぅ!」
「なっ!? 3体!!」
「お得意のテンプルドラゴンズを、自分の墓地ばかりを気にするあまり、俺の墓地への警戒がお留守にでもなってたか。俺は《手札抹殺》で1枚、《おろかな埋葬》で1枚、《天使の施し》で1枚、計3枚の《ゼータ・レティキュラント》を墓地に送っている。よって1度の除外で俺は、3体のイーバトークンを手中に収める! だが、これで終わりだと思ったら大間違いだ! 俺は《浅すぎた墓穴》を発動ォ!お互いにモンスターを1体セットする! 俺は《マッド・リローダー》を選択。フィールド上にセット!」
「《ドル・ドラ》をセット……随分と悠長な布陣形勢だな。だが!」
 寺門の高説。そう、アキラのライフは最早500をきったのだ。
「そのような振る舞いは! 己の命の灯火がぁ! 燃え盛ってこその……」

 

五月蝿ぇっつってんだろ!


Destroy Giga Rays!!





アキラ:200LP
寺門吟:8000LP

「お前、いい加減少し黙れ」
「な……にぃ!?」
「ライフゥ? しらねぇーんだよ」
 その蛮行は、寺門が喋り終わるのを待たずに行われた。2発目のデストロイ・ギガ・レイズが、フィールド上に存在するガンドラ以外の全てを再び消し飛ばす。この異常な行動に、流石の寺門も驚きを隠せない。隠すことなどできようはずがない。
「どうした? 知らなかったのか? ライフを半分支払って発動する、《破壊竜ガンドラ》の能力は、ライフを半分支払う限り1ターンに何度でも使用できる。そしてぇ! この瞬間! ガンドラは更に5体分の魂を吸って攻撃力を3000にまで上昇させるぅ!まだだ! このタイミング、再び墓地に置かれた3体の《ゼータ・レティキュラント》がその効果を発動! 次元の狭間から3体のイーバ・トークンを場に特殊召喚するぅ!」
「ま、まさか……まさか……」
「そのまさかさぁ! 俺は、墓地に置かれた2体目の《D-HERO ディアボリックガイ》をゲームから除外! 同名カードを場に特殊召喚! だが、こいつを扱うのは俺じゃない! 手札から《シエンの間者》を発動! そのコントロールをお前に移す! さぁ、自殺の時間だ!」
 1発目は、己のライフ半分と引き換えに寺門の戦力を全て消し飛ばした。2発目は、己のライフ半分と引き換えに己と相手の戦力を全て消し飛ばした。そして今、3発目を撃たんとするアキラの眼前には、アキラの場で生み出された戦力だけが広がっている。寺門の場には最早、《シエンの間者》によってアキラの場から転移された、ディアボリックガイしかいないのだ。加速度的に高まっていった、彼、アキラの自殺率。彼は、何の躊躇いもなく己のライフを半分支払う。決闘場での、狂気的な自殺を完遂せんが為に。
「お、おまえまさか……や……やめ……」
「何もかも……消ぃえぇろぉぉお!!」

 

【Suicide Permission】


Destroy Giga Rays!!






アキラ:100LP
寺門吟:8000LP

 3発目のデストロイ・ギガ・レイズがまたも全てを消し飛ばす。アキラの眼が、黒い光を帯びていく。
「ハーハッハッハッハ! 4体分の魂を吸いとった《破壊竜ガンドラ》の攻撃力は4200ぅ! そしてぇ! 場には3度、3体のイーバ・トークンが並ぶ! 楽しいよなぁ、決闘ってのはよぉ」
 アキラの、己の身を省みない異常な決闘が寺門を圧倒する。だが、それでも寺門は冷静に状況を観察。彼は勝機も見出していた。寺門には《未来融合−フューチャー・フュージョン》と《早すぎた埋葬》のコンボが残っている。次のターンが来さえすれば、貫通能力を持った《スピア・ドラゴン》を未来融合で墓地に送って即蘇生、トークンへのアタックで勝てる。彼の闘志は未だ消えてはいなかった。この勝負勝てる、と。
「く……だがトチ狂った振る舞いもこれで仕舞いだ。お前の手札は後1枚。《浅すぎた墓穴》だろうと、《シエンの間者》だろうと、ガンドラの攻撃力はそれでもう頭打ち。お前の戦術は、ガンドラの攻撃力を出来る限り上昇、一気にこの私を倒そうという目論みだろうが、そんな……」
 『そんなふざけた手が成功するか』。彼はアキラにそう言おうとしたのかもしれない。だが、彼の発言がアキラに届くその刹那、アキラは彼をあざ笑った。彼の決闘は、ふざけているどころではなかった。
「ハハ……本当に詰まらねぇなあ」
「……!?」
「誰が《破壊竜ガンドラ》でてめぇを倒すといった? もうお前は終わってるんだよ。慎重を期すあまり、クソ真面目にカードを5枚も場に出した時点でなぁ! 俺はぁ……イーバ・トークンを……場の悪魔族3体を生贄に捧げる!」
 アキラの決闘盤が再び黒い光を発するや否や、強烈な『闇』が空間を覆う。
「こ、これは……」
 寺門が呻く。その異常なプレッシャーを前には、霊験豊かな彼とて呻き声を漏らさずにはいられない。
「悪魔族……3体……まさか! アキラのやつ最初からこれを狙っていたのか!」
 森勇一が思わず叫ぶ。そこには、破壊者の決闘があった。
「全てを薙ぎ倒す魔界の猛者! その姿を……俺の前に現しやがれ!」

 

Raviel,


Lord of Phantasmas





「幻魔皇……ラビエル……」
「来る日も来る日も負け続け、己の全てを否定され、地獄の業火をその身に浴びて、気がついたのさ。お前らクソ忌々しいクソ共をぶっ殺すために必要なことがなんなのかをなぁ! プライドも、何もかも、必要とあればくれてやるさ。その代わり……俺が地獄に落ちるその時は、てめぇらも纏めて地獄に落としてやる。その肉を抉り、骨を砕き、魂を削って地獄に道連れ……だが! そっからから這い上がるのは! 這い上がれるのは! この俺だけだ! これが俺の……【自殺許可証(スーサイドパーミッション)】! てめぇには、成仏の鐘を鳴らしてやるよ! 《幻魔皇ラビエル》の効果発動! 天上天下唯我独尊!」

幻魔皇ラビエル
コナミナンバー:SOI-JP003
TYPE:一点突破型強襲用MS(モンスター)
WEAPON:漢の拳“天界蹂躙拳”/魂の鼓動“天上天下唯我独尊”

「こ……この上……特殊効果だとぉ!?」
 アキラの叫びと共に、降臨を果たした幻魔皇の両腕がブラック・ホールを生み出す。破壊の為だけに生れ落ちた、殴り合いの権化たる《幻魔皇ラビエル》の特 殊効果、それは、味方を喰らうことでその異常な戦闘能力を更なる高みに引き上げる魔の領域。そして、ラビエルがこの時喰らった餌。それは、数多の魂を喰ら い、無尽蔵に膨れ上がった破壊竜……ガンドラ!
「破壊の二乗計算ってやつだ。喰らっちまいな……《幻魔皇ラビエル》!」
(ば、馬鹿な、奴にはもう、手札も、リバースカードもない。ライフ至ってはたったの100。にも拘らず、万全の体勢を築いた筈の、我が【テンプルドラゴンズ】が敗れ去るというのか!? そんなことが!)
「14つの魂を吸収した《破壊竜ガンドラ》を喰らった、《幻魔皇ラビエル》の攻撃力は……8200ぅ!!」

「なんだ……この決闘はなんだ! これがあの、アキラの決闘なのか!?」
 今まで眼にしたことのない、アキラの決闘に驚く勇一。ディムズディルは言った。
「特殊効果の為にライフを半分支払う。それ即ち、本人の覚悟次第で無限にその効果を発動できるということを意味する。アキラは《破壊竜ガンドラ》とイー バ・エンジンの間を《浅すぎた墓穴》や《シエンの間者》で繋ぎ、何度も地均しを行ってガンドラの攻撃力を上げた。だが、それはガンドラの為ではない。全て はこの、《幻魔皇ラビエル》でぶん殴る、その為だけにある。ラビエルの攻撃力を最強クラスに引き上げ、尚且つ、無人の荒野を駆け回らせる為のな!」
(これがアキラの決闘。これが……俺の相手)
「アキラ! 思う存分その拳をふるってみろ! 君を縛り付けるしがらみなど、もうどこにもない!」

「森勇一ィィ!」
 アキラは叫んだ。そして、右手を勇一の方角に振り上げた
「アイツ……こっちを指差して……チッ! 上等じゃないか」
 森勇一は理解する。アキラが強敵として自分に咬みかかってくることを。森勇一はアキラの方を睨み返す。その眼には彼の、強烈なまでのプライドが浮かぶ。 彼は、アキラからの決闘状を受け取った。否、日本最強のプライドに賭けて受け取らざるを得なかった。アキラのプレッシャーは無下にするには大きすぎた。ア キラはその威を持って、決闘状を森勇一に叩きつけきったのだ。
「この一撃は……俺とお前の、戦いのゴング代わりだ! 行けぇ! ラビエル!」

地獄の鐘を打ち鳴らせ! 天界蹂躙拳!!

「ぐ……ぐぉぉぉぉぉぉおおおおおお!て、テンプルドラゴンズバンザァァァイ!」

アキラ:100LP
寺門吟:0LP


【試合結果】
○アキラ(無所属)−寺門吟●(茨城)


 その一撃は、圧倒的な力を持って破壊の限りを尽くしていた。
「み、みろ! 試合場が、補助シュミレーターがぶっ壊れちまってるぞぉ!」
「今の一撃が……馬鹿な偶然だ!」
 偶然だろう。偶然に違いない。だが、偶然と思わせぬだけの迫力がそこにある。
「残っていて正解だったかもな。アイツと俺、今やったらどっちが勝つんだろうな」
 新堂翔の、眼に留まるほどにその決闘は壮絶だった。壮絶な、あまりに壮絶なアキラの天界蹂躙拳が全てを打ち壊す。それは、ある種の決別でもあった。彼は 自分の積み上げてきた虚構を失い、地獄の底を巡ることで眼を開いていた。自分にとって一番大事なことは何か。自分は何をしなければならないのか。彼は自分 の力でそこに辿り着いていた。この、破壊の一撃をもってして、激動の2回戦が終了する。
「もしかすると、ここからが本当の戦いなのかもしれない、か」
 信也もこの決闘を見ていた。彼は、アキラの一撃を見届けつつ、更なる戦いの予感に気を引き締める。シンヤが、アキラが、この大会の上位争いに参入したこの2回戦。戦いは混迷の一途へと突き進む。

初めてファッティでブン殴ってみたけどよ……気持ちぃ……いいぜぇ


【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
※《幻魔皇ラビエル》の能力について:2/20付けで、一般庶民の記憶に対し遡及的に干渉するレベルのエラッタが裏コナミの陰謀によって出されました……パンピーはおとなしくダブルアタックしてなさいってこった!


↑気軽。ただこちらからすれば初対面扱いになりがちということにだけ注意。


↑過疎。特になんもないんでなんだかんだで遊べるといいな程度の代物です。


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