【桜庭遥VSエリザベート】
決闘課題:デッキトップオープン
概要:デッキトップを晒したままお互いプレイする。
特別禁止カード:《デーモンの宣告》《徴兵令》《マインドクラッシュ》《異次元の指名者》《世紀の大泥棒》
《大逆転クイズ》

【デッキトップオープン】
 デッキトップとは決闘者にとって『可能性』を意味する単語である。それはある意味で『神の領域』とすら言い得る神聖不可侵な領域であった。デッキトップは古来から様々な方法で祭られてきたと言われている。しかし何故にデッキトップは崇められてきたのか? もし疑問に思うならちょっと頭を働かせてみるといい……『未来予知』に付き纏うネガティブイメージの数々を。確定された未来という名の可視現実が如何に忌避されてきたのかを。
 そうなのだ。人間は縄文土器の時代より可視の現実よりも不可視の未来を崇め続けてきた愚かにして哀れな生命体だったのだ。わからないからこそ彼等は希望を持てたのだ。わからないからこそ彼等はそれを『未来』と名付けたのだ。わからないからこそ『何時か私の胸にトップ=デッキ様が舞い込んで来るかもしれない』等と乙女チックな甘い空想を胸に抱けたのだ。だがそのデッキトップも遂に解禁の時を迎えてしまった。
 ここで決闘者に要求されるのは一見すると残酷とすら思える一歩先の未来を甘んじて受け入れた上でその先を掴み取る『覚悟』なのだ。最早デッキトップは『未来』であって『未来』ではない。それは『現実』の相互互換とすら言える領域に変わってしまった。絶望の中どれだけ現実に抗いきれるか。決闘者の本質が垣間見える。

「オイ嬢ちゃん、どうかしたか? 俺の顔に何か付いてるか?」
 桜庭遥がそう問いかけるのは当然というべきだった。彼の目の前にいる今日の対戦相手・エリザベートは先程から遥の方ばかり見て一向にデッキを作ろうとしない。
 遥が個々のカードをきちんと伏せている事を考えればこれは何処をどう考えても無駄な筈…そう考えるが故に遥は多少困惑していた。だがエリザベートの返事には天真爛漫な響きが込められている。其の様子は実に楽しげだった。
「そのカード捌きが凄いなぁって。もしかしてそういう系のお仕事かなんか……ですか?」
 成る程確かに桜庭遥のカード捌きは、華麗とすらいえるレベルに達していた。
「『仕事』と『趣味』の両方だ。カードに通じると色々便利なんでな。さっ、お喋りはこの辺にしとかないとデッキ構築タイムが終わっちまうぜ。そうなったら嬢ちゃんも困るだろ?」
「ハーイ」

 何処か『抜けた』調子のままデッキ構築が終了。試合開始の時間が訪れる……この間の抜けた光景を、山田晃はやや呆れながら見守っていた。このとき彼は、この決闘がこれから、どう変容していくのかを予想だにできなかった。 

第20−2話:覗かれる『未来』の欠片(デッキ・トップ・オープン)

(今日は朝から調子がいいな。なんでだろ。アキラと一緒に歩いたからかな?)

【Gブロック二回戦】
桜庭遥(東京)VSエリザベート(無所属)

「今日は宜しく。いい決闘を……しましょう」
「しっかしアレだな。随分と日本語が上手いじゃねぇか嬢ちゃん。こっちに住んでたのか?」
「え〜と、頑張って勉強して、話せる人と沢山話して練習……しました」
「へぇ。頑張るじゃないか。その調子で決闘も頑張ってもらおうじゃないか。じゃ、俺の先攻だ。俺はデッキトップから《ブローバック・ドラゴン》をドロー。そんじゃ、まずは手札から永続魔法を発動、《ショット・ガン・シャッフル》だ。面白い決闘にしようじゃねぇか」
(初手に《ショット・ガン・シャッフル》。そう来る……)

 初手《ショット・ガン・シャッフル》。無論それは、デッキトップを公開したまま決闘する今回のルールを見据えての選択に他ならない。たった300ライフ支払えば自分のデッキの不要カード或いは相手のデッキの有用カードのドローを高確率で阻止できる。俗に言う“ディステニードロー”の確率をある程度操作できるこのカード。単純な手札枚数に捉われないアドバンテージ戦略を遥が好んだことが窺える。遥は更にモンスターを1体裏向き守備表示で召喚。カードを一枚伏せてターンエンドをはかる。
(俺のデッキトップは《首狩り狂戦士》か。こっちはこのままでいい。で、あの嬢ちゃんのデッキトップは《リビングデッドの呼び声》か。強力だが、序盤ではそうそう暴れるカードじゃない。1ターンに1度しか使えない《ショット・ガン・シャッフル》をこんなところで使って、コンボデッキのキーパーツでも揃えられようもんなら、たまったもんじゃない。ここは様子見でOKだな。あの嬢ちゃんの初手がどうなるか……)

「私のターン、《リビングデッドの呼び声(コール・オブ・ザ・ハウンティッド)》をドロー。私は手札から《タイムカプセル》を発動します。その効果により、デッキからカードを1枚除外……」
(おいおい。初手から《タイムカプセル》か。お後が激しそうじゃないか)

 初手《タイムカプセル》。この一手は遥に多少の考察を強いた。遥は数秒の間この初手の意味を考察。そして彼なりの答えを弾き出す。
(この場面で《封印の黄金櫃》ではなく《タイムカプセル》を使う理由なんざ2つしかねぇ。@両方共入れているA除外するカードを公開したくない、この2つの内の何れかか或いは両方だ。つっても、今回のルールは【デッキトップオープン】。そもそも水面下で動きにくいことを考慮に入れれば、十中八九Aだな。この嬢ちゃん、こっちが《ショット・ガン・シャッフル》で『公開情報』を最大限利用しようとするのに対抗して、《タイムカプセル》で無理矢理『非公開情報』を作り出すってわけか?面白ぇ。やってやろうじゃねぇか。俺だってまだ決勝トーナメント進出は諦めてねぇ。ショウの野郎だって人間だ。足元だって救われらぁ。やっぱ、金ってもんは自分の手で掴まないとな)
 だが、密かな野心を抱く遥の目の前に出されたブレックファーストは中々に嫌らしい代物……
「私は《アックス・ドラゴニュート》を召喚。カードを2枚伏せてターン・エンド」
(《アックス・ドラゴニュート》? 今時そんなレトロなもん使う理由は……チッ、そういうことか。この金髪娘、かわいい見かけに依らず中々嫌らしい戦術を使いやがるぜ)
 《アックス・ドラゴニュート》登場に遥は気合を入れなおす。一方、エリーはアキラの方を一瞥。軽く微笑んだ後、試合に戻る。以後、彼女がアキラの方を見ることは無かった。

―第2ターン―

「俺のターン、《首狩り狂戦士》をドロー……」
「そこっ! 《魔のデッキ破壊ウイルス(デック・デベステーション・ヴィールス)》! 《アックス・ドラゴニュート》を生贄に捧げウイルスを発現!」
(やっぱその戦術か。《ショット・ガン・シャッフル》のスペルスピードは『1』。従って相手のターンには起動不可能。一瞬のタイムラグがあるってわけだが……コイツそこを付きやがった。@俺が1ターン目に裏守備モンスターをセットしたことAデッキトップが攻撃力1500以下の《首狩り狂戦士》だとわかっていたことB初期手札だけは公開されていない以上早めに仕掛けたほうが奇襲効果を見込めることCウイルス効果によって自分だけ初期手札をピーピング出切ること、といった諸々のメリットを考慮した上での奇襲。かわいい顔して随分とえげつないことやってくれるじゃねぇかこの嬢ちゃん)
 エリザベートによって発動された《魔のデッキ破壊ウイルス》によって遥が裏守備でセットした《首領・ザルーグ》と先程手札に入った《首狩り狂戦士》が一瞬にして墓地に送られる……のみならず遥の手札も完全にピーピングされた。遥の言うとおり実に嫌らしい戦術。だが、遥もまた歴戦の強者である。直ぐに必要な作業を実行に移した。この辺、桜庭遥に抜かりはない。あろう筈がない。
「俺は300ライフを支払い、俺のデッキに対して《ショット・ガン・シャッフル》を起動」

桜庭遥:7700LP
エリザベート:8000LP

 そう、遥のデッキトップは今大会において制限カードに指定されていた《異次元の女戦士》。強力な特殊能力を誇る一方、攻撃力は1400。このまま行けば次のターンでウィルスに感染。丸々1枚分のカードアドバンテージを失うのは必定。故に桜庭遥は《ショット・ガン・シャッフル》を起動した。持ち前の鮮やかな手捌きでデッキを淀みなく切り直し、デッキトップを再び捲り直す。そのデッキトップは《聖なるバリア-ミラーフォース-》だった。罠カードである以上、当然《魔のデッキ破壊ウイルス》には感染しない。シャッフル成功と言えるだろう。ただ、今回のウイルスの所為で場に出せるモンスターを失ってしまった遥は、カードを1枚伏せてそのままターンエンド。カウンターを狙う構えに一端切り替える。今度はエリザベートの第2ターン。
「私のターン、《可変機獣ガンナードラゴン(フュージリア・ドラゴン,ザ・デュアル・モード・ビースト)》をドロー。それでは一度、背中で手札をシャッフルして……モンスターを1体裏守備表示でセット。カードを1枚伏せてターンエンド」
(今度は《可変機獣ガンナードラゴン》のドロー。守備表示で出して魔法・罠潰しの効力を持つ《闇のデッキ破壊ウイルス》の餌にする為のデッキ投入ってわけか。だがそうそう上手い事デッキが回っているとは思えねぇ。あの嬢ちゃんの初手に《闇のデッキ破壊ウイルス》までもが入ってる……なんてのは幾らなんでも出来すぎだ。つまりあの伏せカードは十中八九《リビングデッドの呼び声》かその辺りと考えて問題ない……筈だ。だが……あの嬢ちゃんは第1ターンに《タイムカプセル》を発動している。この手のデッキには大抵投入されている必須カード……《突進》や《収縮》といった『帳尻合わせ』のことも考慮に入れれば、初手《タイムカプセル》を経由したウイルス・サーチの可能性はある。手札に《サイクロン》が欲しい所だが、生憎だな。ない袖は振れねぇ。そんじゃ……殺られる前に殺っちまうか)
 落ち着いて戦略を練りこむ遥。そんな遥の様子を観察してたエリーは、その確かな強さを感じていた。
(あのハルカって決闘者には一種の場慣れを感じる。初日に戦ったあの人、斉藤聖が持っていたような気負い、遥からは全然感じない……)

―第3ターン―

「俺のターン、《聖なるバリア−ミラーフォース−》をドロー……」
 遥は考える。
(ミラーフォースは牽制として使えるな。このルール、引いたカードがばれても、伏せるカードまでがばれてるわけじゃない。ブラフと本物の両方を嬢ちゃんに意識させる。そうすりゃ、手札のバレを逆に利用できるってもんだ。だが、問題はこっちの手札だな。《ブローバック・ドラゴン》《貪欲な壺》《サイバー・ドラゴン》……《魔のデッキ破壊ウイルス》の所為でこっちの小回りが利かなくなっちまったか。だが、かといって、ひいた攻めじゃあ自分から「苦しんでます」って言ってるようなもんだ。《タイム・カプセル》を前にしてチンタラしてんのは、向こうに余裕を与えちまう。やっぱ、攻めの姿勢の1つや2つくらいは見せておくべきか)
 遥は、更に考える。
(生憎、俺のデッキは攻撃力に偏重した構成を取っていない。俺デッキに投入された下級モンスターの大半は、《魔のデッキ破壊ウイルス》の下で使い物にならなくなる。もし仮に、ここで攻め急ぎすぎた場合は……っと。、向こうの除去を必要以上に呼び込んじまい、最悪、こっちの場が空っぽになる可能性もある。《ショット・ガン・シャッフル》に出来るのは、更なるウイルス感染を防ぐ事だけだ。1500以下の下級を手元に呼び込めるわけじゃない。この3ターンは、常に『弾切れ』の危険と隣り合わせになる。そいつが一番やべぇ。となれば……だ。手は1つだな。折角《聖なるバリア−ミラーフォース−》を引いたんだ。攻めの姿勢で適当にあちらを牽制しつつ、フルハウスを狙う!)
 遥は、決断する。
「俺は手札から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚だ!そのままバトルに直行するぜ!《サイバー・ドラゴン》で裏守備モンスターに攻撃だ!」
 思考を取りまとめた後の、遥の行動は迅速極まりないものだった。一度こうと決めたら、『間』が空くまでは初志貫徹。それが成功の秘訣である。遥は、そのままの勢いでエリーにブラフを仕掛けるつもりだった。だが!

「リバース……《メタモルポット》。一緒にお付き合いします(地獄の、底まで)」
「チッ、そうきやがったか。随分と黴臭い決闘がお好みなんだな」

 この瞬間『起こりうる未来絵図』が前倒しされた。一手先の未来が公開されつづければ、現在もまた透けてくるのが当然の理。ある意味、地獄絵図ともいうべき未来が、《メタモルポット》の起動によってあっさりと実現された。彼等は、今まで抱えていた手札を全て墓地に送り、新たに5枚の『可視』カードをドロー。エリザベートが《クリッター》《突進》《貪欲な壷》《アックスドラゴニュート》《ダークゾーン》を手札に入れ、一方の桜庭遥が《魂を削る死霊》《D.D.アサイラント》《リビングデッドの呼び声》《風帝ライザー》《スナイプストーカー》を手札に加える。この時、両者伏せカードは一枚づつ。決闘の風が加速する。桜庭遥は軽く舌打ちしていた。一つはこの黴臭い決闘そのものに対して。もう一つは己の手札に与えられた損害に対して。
(クソッタレ。《首狩り狂戦士》といい、《スナイプストーカー》といい、除去を一通りモンスターに頼ったのが裏目に出たか。どーも、ショウの奴とやり合ってからツキがまわってねぇ。さってと、どーやってゆり戻すかな……っと)

 《魔のデッキ破壊ウイルス》の効果は未だ継続中。桜庭遥が《メタモルポット》の効果でドローした5枚の内、《魂を削る死霊》と《スナイプストーカー》の2枚が《魔のデッキ破壊ウイルス》に感染。瞬時に墓地へ送られるが、この時、遥の元にはもう1つの被害。
 遥は、先程の《サイバー・ドラゴン》による攻撃の結果を見届けてから、《聖なるバリア−ミラーフォース−》を実際に伏せるか、或いはブラフとして相手に意識させるに留めるか、その処遇をメインフェイズ2において決めるつもりだった。だが、結果はご覧の通り。《聖なるバリア−ミラーフォース−》は場に伏せられることも、手札で温存される事もなく、墓地送りにされてしまった。それは、「まさかこのルールでアレの類を使う馬鹿はいないだろう」と、潜在意識レベルで油断していたが故の失策だった、と或いは言い得るかもしれない。この一連の流れによって、エリザベートやや優位の状況が築かれると共に、遥の眼が徐々にギラつきだす。
「俺はカードを1枚伏せる。ターンエンドだ」
 遥は思う。ここまで強かな相手が、この機を見逃す筈がないと。そして、その予感は現実のものとなる。エリーの仕掛けは、やはり早かった。
「私のターン、《D-HERO ディアボリックガイ》をドロー。スタンバイフェイズ、《タイムカプセル》の効果で除外されていたカードを手札に加える。さあ……行くよ!」
「何処からでもかかってきな!嬢ちゃん!」
「リバースカードオープン! 《サイクロン》を発動。右端の伏せカードを破壊します。次に、手札から《クリッター》を通常召喚。そして! 《リビングデッドの呼び声(コール・オブ・ザ・ハウンティッド)》をリバース……召喚!」

 

Fusilier Dragon, the Dual-Mode Beast!!

 

「更に《ダークゾーン》を発動! バトルフェイズに移行します! まずは《可変機獣ガンナードラゴン(フュージリア・ドラゴン、ザ・デュアル・モード・ビースト)》で《サイバードラゴン》に攻撃! 通ったなら……《クリッター》で追撃! ダイレクトアタック!」
 攻撃力3300の可変モビルアーマーに加え攻撃力1500の黒い悪魔が遥に襲い掛かる。
「ああ、通すぜ。これぞまさしく予定調和ってやつだ」
「そんなに余裕でいいの? 私はこのままターンエンド」

桜庭遥:4700(ウィルス2ターン目)
エリザベート:8500


 《サイクロン》によって、遥の『非公開情報』であった右端の伏せカードを潰した上での速攻。このルールならではの強攻策と言える一手。だが桜庭遥には、まだもう一つの『非公開情報』が残されていた。エリーは、そんな遥の、心の余裕の様なものを感じ取る。エリーはまだ、自分の優勢を確信していなかった。
(やっぱり……この『ハルカ』には何処か違う要素が混じってる。私は……私に出来る事は……)

―第4ターン―

「俺のターン、《収縮》をドロー。よぉ、嬢ちゃん……」
「ハイ、なんでしょう……」
「強ぇなぁ。一つ一つの戦術と、その影響力を計算した上でのデッキ構築にプレイング。いい感じじゃねぇか。常にこっちの一歩先を走り、危険との噛み合わせを外す。中々だぜ。お陰様でよ、『序盤は』いい感じに振り回されちまったな」
「あ、どうも。これぐらいしか取り柄がないので……」
「だがな嬢ちゃん。『ウイルス』に『ドロー加速』に『リアニメイト』……色々やりたい放題やってくれたようだが……もうこれで仕舞いだ!悪いが嬢ちゃんはコイツの可能性を見落としてるぜ!俺は《リビングデッドの呼び声》を発動! 《首狩り狂戦士》の復活だ!」

《首狩り狂戦士》
効果モンスター
星4/戦士族/闇属性/攻1000守1200
自分のターンのメインフェイズ(1・2のどちらか)に必ずコイントスを2回行う。2回表が出た場合、相手のフィールド上のモンスターを1体ゲームから除外する。1回表が出た場合、自分のフィールド上のモンスターを1体対象とし、それを墓地に送る。1回も表が出なかった場合、自分のフィールド上のモンスターを1体対象とし、それをゲームから除外する。

「そのカードはさっきデッキトップで見たから覚えてる……『ギャンブルカード』」
「悪いな嬢ちゃん。今から、俺のスキルを見せてやるよ。《首狩り狂戦士》の効果を発動!さぁ、この10円玉の平等院鳳凰堂の側が表だ。さあ、目ん玉引ん剥いてよーく見てろっ!」
「ビョードーインホーオードー?……あっ!」
(喰らえ……)

 

気紛れでない女神(アンチェンジブル・ヴィーナス)

 

 遥の持つ最後の『非公開情報』がエリーの眼前に現れる。コインは見事、表側を見せていた。
(よし! コインも全然問題ねぇな。この調子なら2回目も……行けるぜ)
 あくまで対外的には自慢気にコインを見せ付ける遥。もっとも、遥は予選リーグ1回戦、相方であった筈の新堂翔による妨害工作を受け、多少自信を凹まされていた。その為、多少慎重になっていた部分が亡きにしも非ずだったのだが、それでも、見事に2連続でコインを決める。この時、エリーはコインが決まる其の瞬間を一部漏らさず凝視していた。
「どうだ! (コインさえまともならこっちのもんだ!) コインは2回とも表……ほんじゃ、その《可変機獣ガンナードラゴン》はゲームから除外だ。わかったか嬢ちゃん。人生そう上手くは行かないもんだぜ。客が寄り付かなくてカップラーメンで急場を凌ぐ事もあるってわけだ。さーて、次だ次。俺は、《首狩り狂戦士》を生贄に捧げ……出て来い! 《風帝ライザー》! 当然効果が発動!《クリッター》をデッキトップに戻す。更に《ショット・ガン・シャッフル》を嬢ちゃんのデッキに向けて起動! デッキトップの《クリッター》は無期懲役の刑だ! サーチ系は何を持ってこられるかわかったもんじゃないからな。こういう場合は消すに限るってわけだ」
 一瞬の逆転劇。『コイン』に『シャッフル』といった、ギャンブラー気質の遥ならではの戦法が冴える。
「凄い。コインも……今の戦術も……強い」
「そいつはありがとよ。じゃあ《風帝ライザー》さんで……ダイレクトアタックだ!」

桜庭遥:4400LP(ウィルス3ターン目)
エリザベート6100LP

 エリーの予感は当る。やはり遥は強者だった。一筋縄で勝てる相手ではなかった。
(この動きにこの強さ。ハルカは強引な『力』を持って流れを掻き分けてくる。この力をそのまま無抵抗で受け続ければ……そこに待っているのは……崩壊? 私は……どうする? ディムならこんな時【決闘波動(デュエルグラビティ)】に垣間見えるような激しい決闘で真っ向からプレッシャーをかけることができる。ダルなら、【決闘詐術(デュエルトリック)】で巧みに反撃するかもしれない。なら私は? 私は……最後まで凝視し続ける。それが……)

「どうだい? 中々面白い決闘になってきただろ?」
「ええ。とっても」
「俺がただ、このデッキトップオープンに合わせる為だけに《ショット・ガン・シャッフル》をデッキの中に放り込んで置いたと思ったら大間違いだ。2の手を打つなら同時に3の手を拵える。そういった用意周到が必要とされる仕事に俺はついてるんでな」
「本当に凄いテクニック。でも…」
 この時、遥は一瞬だけエリザベートの気配が変わったと感じた。だがそれはあまりにも一瞬。『気のせいか?』と遥が考えたのも無理からぬ事である。だがエリザベートの気配は確かに一瞬だけ変化していた。
「……行います。私のターン、《ステルスハイド》をドロー……します。」
 エリザベートがドローしたデッキトップ、及び、次のデッキトップを見た遥が軽く笑う。彼は其の瞬間『珍しい物を見た事による笑い』と『勝利を半ば確信したことによる笑み』を同時に発したのであった。

《ステルスハイド》
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。手札から4枚までのカードを選択する。「ステルスハイド」と選択されたカードを裏向きでフィールド上にセットし、相手にその中から1枚を指定させる(モンスターがいるゾーンにはセットできない)。指定されたカードが選択したカードだった場合、相手モンスター全てを破壊し、選択したカードを全て手札に戻す。指定されたカードが「ステルスハイド」だった場合選択したカードを全て墓地に送る。

「あぁん? お前も人のことあれこれいえる身分じゃねぇな。『ギャンブルカード』、それも《聖なるバリア−ミラーフォース−》の下位互換もどきじゃねぇか。随分とアレなもんいれてんだなぁおい」
「《聖なるバリア−ミラーフォース−》は制限カード。アレ1枚じゃ心細いでしょ?」
「にしたって『ギャンブル』だ。つくづく見かけによらねぇ嬢ちゃんだな。面白いもん入れやがって」
 遥は、エリーが引いたカードにそそられるが、その時エリーは思いがけない行動に出る。
「面白い……そだね。じゃあ試してみよっか。私はコレ1枚だけを伏せてそのままターンエンド」
 ここでエリザベートは傍目にも狂ったプレイングに出る。博打札1枚伏せのターンエンド。普段からギャンブル好きを豪語する桜庭遥も、このプレイに対しては、内心驚嘆の声をあげる。

(コイツ、@俺の手札に伏せカード潰しがない事Aデッキトップにもまた伏せカード潰しがないことを見て『ギャンブル』に出やがった。いい度胸してるぜ。これに乗らないのは漢じゃねぇな。乗ってやる!)
 桜庭遥は一回深呼吸してから自己のターンを開始する。既に腹は決まっていた。彼の腹に眠るギャンブル魂に直火が灯される。彼の眼は、デュエリストというよりは最早ギャンブラーだった。 

―第5ターン―

「俺のターン、《ギャンブルフィッシュ》をドローするぜ」
 コクンと頷くエリザベートの姿を垣間見た遥は、自分の手札及び場のモンスターに目を移す。それはある種反射的な行動。しかし、この瞬間、エリザベートの視線は遥が意識しない方向を向いていた。それはあたかも、遥の眼線が自分を外れたのを見計らったかのような視線。
「そんじゃあ……バトルだ。《風帝ライザー》1体でダイレクトアタック……胸を貸してやるぜ!」
 遥が攻撃宣言を行うが、そのタイミングで行われる催しは既に決まっていた。
「罠カード発動! 《ステルスハイド》! 手札から4枚のカードを《ステルスハイド》と共に展開!」
「おお! 大盤振る舞いじゃねぇか! モンスターゾーンを全部埋めちまうとはな! 嫌いじゃないぜそういうの! 嬢ちゃんならさぞいいギャンブラーになれるってもんだ!」
「ギャンブル? いいえ違うわ! これは勝利へ向けられた先行投資」
「あぁん? 確率80%は、カードゲームにおいてはギャンブルじゃないってか! ハッ、中々聞かせるじゃねえか! だが、俺は万馬券を当てるのが得意なんだよ!」
 丁々発止のやりとりが場を挟んでかわされる。遥は、思いもがけず白熱していた。

「では……シャッフルを……開始します」
「おぅよ。悔いがのこんねぇようちゃんと切りな」
 エリザベートは、計5枚のカードをその胸の前でシャッフルする。それは、スピードこそ遅かったが丹念なシャッフルだった。30秒くらい経っただろうか。ようやくシャッフルを終えたエリザベートがフィールドの上にカードを並べる。遂に運命の瞬間がきたのだ。だが遥の様子が少しおかしい。彼は既に笑みを浮かべていた。それは……勝利の笑みに他ならない!
「アレ? どうしたの? まさか……」
「そうだな……改めて自己紹介しとこうかお嬢ちゃん。俺は万屋『ヴィーナス』のギャンブル担当桜場遥だ。俺の目の前でカードを繰ったのは失敗だったな。その程度のスピードなら……止まって見えるんだよ! 右から2番目がアタリだ!」
「右から2番目をオープン……このカードは……」
 エリザベートが神妙な面持ちでカードを捲る。其処にあったのは……
「ビンゴだ!」
 1/5の当り。《ステルスハイド》そのものだった。遥のダイレクトアタックが遂にライフ差をひっくり返す。

桜庭遥:4400LP
エリザベート:3700LP

「残念だったな。だが悪く思うな。これも一種の『実力』って奴だ」
「……ハイ。私は……4枚のカードを…墓地に送ります」
「そう落ち込むな。まだ後1戦残ってんだ。三つ巴と行こうじゃねぇか。俺はカードを1枚セットしとくぜ。そんじゃ、ターンエンド……」
 『ターンエンド』。確かに桜庭遥はこの瞬間こう言った。彼は、決闘者達がその生業において、気が遠くなる程何度も何度も発言してきた『ターンエンド』という短いフレーズを軽く口にする。だが、その時だった。





Aurevoir.

 

 

 其処に居たのは『お嬢ちゃん』でもなければ『ギャンブラー』でもない。1人の『決闘者』だった。
「ああん? 何だって? 俺はショウと違って外国語はようわからんぜ」
「あなたは……もう1度《ショットガン・シャッフル》を自分のデッキに向けて発動しておくべきだった。操作され過ぎて、捻じ曲がった運命をもう一捻りしておくべきだった。あなたのデッキトップは《大嵐》。強力なカード、でもモンスターは破壊できない。そして、もうスペルスピード1の《ショット・ガン・シャッフル》は使えない」
(なんだ? こいつは一体何を言っている? 《大嵐》はフィニッシュ用におあつらえ向きなカードだ。当然スルー……モンスター除去? なんだ? あいつの手の内は既に見えてる。この期に及んで一体何が……いや、待てよ。そういえばアイツ、《タイムカプセル》から未知のカードを1枚持ってきたわりに、今まで使うそぶりすら見せなかった。まさか、今がその時ってわけなのか? だが、たった1枚、この期に及んで何が出来る……) 
「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズ! この瞬間、《D-HERO ディアボリックガイ》の効果発動!」
「《D-HERO ディアボリックガイ》……てめぇまさかっ!」
「墓地のこのカードをゲームから除外! その効果により、場に同名カードを特殊召喚。更に! 手札から《デビルズ・サンクチュアリ》を発動! メタルデビル・トークンを特殊召喚……この2体のモンスターを生贄に捧げ……現れて! 傲慢なる絶対者(ハウティ・ディクテーター)!」

《傲慢なる絶対者》
効果モンスター
星7/闇属性/戦士族/攻0守0
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
このカードはスレッショルドを持つ。
スレッショルド―自分の墓地にカードが10枚以上存在している時、このカードは戦闘では破壊されず、1ターンに1度対戦相手に2500のダメージを与えることができる。

 未知の正体、それは、予選リーグ第一試合、斉藤聖VSエリザベート戦の終盤に登場した《傲慢なる絶対者》に他ならなかった。聖の切り札が遥に迫る。
「最上級スレッショルドモンスター……だとぉ!?」
 遂にエリザベートの『時間』が訪れる。否、今まで紡いできたあらゆる時間の線が一本に交わる。
「《タイムカプセル》《アックス・ドラゴニュート》《魔のデッキ破壊ウィルス》《セーフティシャッター》《メタモルポット》《サイクロン》《ステルスハイド》《突進》《貪欲な壷》《アックスドラゴニュート》《D-HERO ディアボリックガイ》《デビルズ・サンクチュアリ》……12の無念を今こそ晴らす!」

其処に集められたるは死骸の魂!

地に積み上げられし骸達よ……今こそ天に昇れ!

永き雌伏の時を終え、その血と骨を持って燭光と成さん!

死者報恨能力(スレッショルド) 発動! 『弐千五百』の墓石を叩き込め!

桜庭遥:1900LP
エリザベート:2900LP

 その瞬間の桜庭遥は筆舌に尽くしがたい程のショックを受けていた。彼は、混乱の中必死になって状況を分析する。なにが、おこったというのか。
(にゃろう……。どう記憶を探ってもあの《傲慢なる絶対者》は《タイムカプセル》でサーチされたものとしか考えられねぇ。アイツは一度《メタモルポット》を使っている。となればデッキトップが晒されるこのルールの下で俺が認知できなかったカードはアレ以外に考えられねぇ。だがそうだとすると……あの《ステルスハイド》は最初から墓地に4枚のカードを送る事を狙って伏せられたってわけか? だが1/5だぞ? それこそ運頼みじゃねぇか。いや待てよ……畜生!!このクソガキ……敢えて俺に1/5を選ばせやがった!)

「カード捌きが凄い上手だなって……」
「それでは一度背中でカードをシャッフルして……」


(あの嬢ちゃんは俺がカード捌きに自信を持っていることを事前に観察している。いやそれだけじゃない。背中にカードを回してシャッフルするだけの機知をも 備えている。そんな人間があの時に限って俺の目の前でわざわざカードをシャッフルする理由……俺はまんまと正解を選ばされたってのか? あの嬢ちゃんは、俺 ならばきっとあの下手なシャッフルを見切って正解を選び、そのまま地獄に落ちていくと見切っていた……っつーことなのか?わからねぇ。この嬢ちゃんがわか らねぇ。一体、何考えて決闘してやがるんだ)

「おいおい、冗談だろ」
 決闘の一部始終を見守っていたアキラもまたこの光景に驚き呆れている。負けたと思っていたエリーが、ふと、気がつくと逆に勝っていた。アキラは、混乱しつつもこの決闘を理解する。
「前ターン《ステルスハイド》を引いた時点、アイツのデッキトップは《デビルズ・サンクチュアリ》、ここがポイントの1つだった。まっ、《早すぎた埋葬》とかそんなんでもよかったんだろ うが、とにかく特殊召喚によって頭数を揃えられるカード、それがまず必要だった。そしてもう1つ重要なこと、第5ターン、桜庭遥のデッキトップと手札には 汎用単体除去がないという事実がエリーの眼には明らかになった。元々が、《魔のデッキ破壊ウイルス》によって《スナイプストーカー》やら《首狩り狂戦士》やらが落ちてたもんな。遥の場には《収縮》ぐらいしかなかったわけだ。そしてエリーの墓地には6枚のカードが落ちている。ここまでの前提条件を把握仕切った上でエリーは決闘方針を瞬時に切り返した。遥がギャンブル系―ダイスやコイン、カードといった小道具の扱い―に長けていることを逆手にとって、本来なら 『20%』しか当たらない筈の《ステルスハイド》の正解を敢えて選ばせ、図に乗った遥を尻目 に5枚のカードを何食わぬ顔で墓地に送る。良く考えれば遥は外してもそこまで痛くなかったんだ。当っても1:1交換だからな。だが、当てた筈の遥は次の ターン、今度は『100%』のジョーカーを引いちまった。よくやるぜ。得意とする『ギャンブル』を大一番で制したことによって どうしても生じてしまう心の隙を突く?えげつねぇな。桜庭遥という人間そのものを凝視することで、デッキっつーよりは桜庭遥という人間そのものを攻略する。口に出してみれば簡単なことだ……が。今の俺にこれと同じ事が出切るか?」

 アキラが考えを巡らせる一方、既に決闘は詰んでいた。エリーのターンエンド後、モンスター除去を持たない遥は、予定された無意味な《大嵐》のドローだけ でターンエンドを宣告。その先についてはもはや……叙述する必要はないだろう。決着は、ついた。もしも、後1つだけ補足しておく情報があるとすれば、遥の 次のドローが《ならず者傭兵部隊》だったことぐらいであろうか。

【試合結果】
●桜庭遥(東京)―エリザベート(フランス)○
得失点差±2900

「なあ嬢ちゃん。俺だって馬鹿じゃない。大体は既に飲み込めてるつもりだ。だが…」
 決闘は終わった。だが、桜庭遥は事情をまだ飲み込めずにいた。いや。頭ではわかっているがどうも飲み込みきれなかった、と言ったほうがいくらか正確か。エリーは、そんな遥に向けていくつか語りだした。
「私が……《ステルスハイド》を引いたあのターンのデッキトップ……《デビルズ・サンクチュアリ》を見た貴方は『勝てる』という表情を見せた。貴方は、自分の力で掴んだ、この流れなら押し切れると読んだ」
「状況の変化に思い至らなかったってか? だがよ……」
「ディムが昔言ってたの。『決闘は常に現在進行形。止まった奴から脱落していく』って。それに……」
「なんだ。其の先を早く言って貰いてぇな」
「それに貴方は……あの瞬間デュエリストではなくギャンブラーの眼になっていた」
「……ここは決闘場ってか? はっ、違いねぇな」
「貴方は……強かった。でも……」

「その先は……もういいぜ。無理しなくていい。ありがとよ。全部繋がった。嬢ちゃんは、俺が“あの場限りの”ギャンブラーになると予め見切っていたからこそ、あの決闘絵図を瞬時に描けたってわけか」
「うーん……でも偶々流れがよかっただけかも」

(『流れ』……そうだ。この嬢ちゃんは最初からそれを見てた。序盤のウィルスからのメタモルポッド、更にタイムカプセルによるターンジャンプ。これらの動 きにより自分から未来への大きな流れを掴もうとしていた。俺が《ショット・ガン・シャッフル》でチマチマとやってるのとは対照的だな。俺はあの一貫しない シャッフルによって決闘の流れそのものを逃がしちまったのかもしれねぇなぁ。そして、その流れを嬢ちゃんは無理矢理引き寄せた。やるもんだ。だが……だがよ……)
 だが遥には後一つだけ納得のいかないことがあった。『決闘者』としての差はこの際だ。あっさり認めてしまおう。確かに、遥には決闘者としての純度が足り なかった。だが、そんなことはもう敗退する自分にとってはどうでもいい。遥は、さっきからある意味一番気になっていたことを、エリーに向かって問いかけた。
「何故だ。何故あんな《傲慢なる絶対者》―どうせ1枚挿しかなんかのボンクラフィニッシャー―を、《タイムカプセル》で引っ張ってくるなんて無駄の塊みたいなことをやった! お前なら他に幾らでも……」
 遥的にスレッショルドにはあまり強いイメージがない。そのイメージも手伝ってか遥の疑問は結構な膨らみを見せていた。だが、その答えは……

「大会初日なんだけど、斉藤聖って人との決闘でちょっと興味を持って……なんとなく」
「なんとなく……だと。」
「えーと……誰にも言わないでね」
(……ったく。俺の特性そのものを観察し尽くした挙句それを逆手に取って嵌め殺すなんて、えげつない真似を平気な顔して実行できる決闘の権化みたいな奴が、『なんとなく』だと? ハッ! 読めねぇわけだ)
 桜庭遥は何処か清々しい気分の中にいた。彼は己の負けを素直に認め、挨拶を交わす。これはこれで楽しませてもらった、とでもいうべきか。こういうのも悪くはない――
「じゃあな嬢ちゃん。もう決闘する機会がなさそうなのは残念だが、俺とはこれで終わりだ。だがな……」
「?」
「言っとくが新堂翔は……万屋『ヴィーナス』の頭脳担当は俺より更に強ぇ。ま、これはこれで楽しい決闘だったぜ。あばよ」
「あ、ありがとうございます。それでは……Aurevoir(また会える日を願って).」
(ありがとう……か。それは一体俺のどの部分に対する礼なのかなっと)

 『決闘者』と『賭博師』が5:5程度であった桜庭遥が脱落する一方、未だ進退定かならずの状況に置かれていた1人の決闘者が自分自身を見つめ直す。彼は今決闘者としての分かれ道にいた。彼女達が現実にどうであるかは知らない。だが彼は彼なりに答えを出しつつあった。
「俺は…今まで『決闘』を本当の意味でわかっちゃいなかった。決闘とは『人』と『人』との潰しあい。己の全存在をデッキというナイフ一本に賭けた殺るか殺られるかの潰し合い。そういうことか……」


【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
決闘者4人の人格・能力を考慮したうえで「適度に盛り上げる」というミッションには苦労させられた。
それはそれでムズい、という>Gブロック2回戦。よかった。4人ブロックで。6人とかにしなくて……。


↑気軽。ただこちらからすれば初対面扱いになりがちということにだけ注意。


↑過疎。特になんもないんでなんだかんだで遊べるといいな程度の代物です。



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