「PH-08《海神の巫女》、RDS-JP005《創世神》、PH-14《ゴラ・タートル》、301-029《名推理》、302-002《弾圧される民》、303-032《ビッグバン・シュート》、304-041 《トークン収穫祭》、305-049《炸裂装甲》、306-019《インフェルノ》、307-028《海竜−ダイダロス》、308-034《大天使ゼラート》……」
 読み上げられた情報。それは彼女の――西川瑞貴の――異能を証明していた。

 西川瑞貴。彼女は天才である。もっとも天才と一口に言った所でこの世には様々な天才がいる。哲学的な英知をもたらす天才、物理学の大発見を成し遂げた天才、複雑怪奇な公式を独力でくみ上げる天才、将棋の対局中に巨大化する天才、テニスの試合中にオーラを出す天才、独楽回しでブラックホールを作り上げる天才……様々な天才がいる。彼女はその中で頭脳に関する天才だった。『ブレイン・コントローラー』それが彼女の持つ『異能』に付与された型式番号である。彼女は俗に言う『完全記憶』の持ち主であり、その異能を持って、周囲の人々の常に一歩先をいく思考能力を手に入れた。否、手に入れていた。
 そんな彼女の周囲への影響力は大きい。現に西川瑞貴がデュエルボックスに入ると、試合会場に屯っている他の決闘者と思しき連中の何人かが驚きの声を漏らしている。『ブレイン・コントローラー』西川瑞貴の名はそれほどの『力』を持っていた。もっとも彼女はそれを善とも悪とも捉らえたがっていない節があるのだが。そんな彼女に与えられたデュエル課題。それは『カードナンバーPH08からRDS-JP005の間にリリースされたカードでデッキを作れ』だった。彼女にとってそれはあまりに容易い課題だった。

「み、見ろ。村坂の奴。物凄いスピードでカードを区分けしてやがる。腕の動きが見えねぇ!」
「成程な。あれなら有用カードを使いもらさずに済むってわけか。なんてやつだ!!」
「あの動きは魏の張遼にも劣らねぇ。流石は福岡代表村坂鋼。千手観音の再来とまで言われる、そのデッキ構築テクニックは去年から全く衰えてないぜ! いやむしろ……進化している!」
「やつは、あの超スピードで大会直前にデッキを変更、そのまま九州を制したって話だ。『千のメタゲームを11秒台で走り抜ける男』村坂鋼。Aブロックで西川瑞貴を殺れる決闘者は奴を置いて他にいねぇ!」

 その動きはまさに『超高速のマーカー捌きによって参考書にキーワードチェックを施す末期の受験生』と呼ぶにふさわしい、鬼気迫る動きであった。限られた時間内のデッキ構築。その中の大半を占めるであろうカードプールの確認作業を大幅に短縮する腕の『振り』。福岡代表・村坂鋼の動きはそれこそ圧倒的と呼ぶにふさわしいものであった。

 だが、村坂が派手な動きを続ける横で、それとは対照的に全く動こうとしない西川瑞貴。デッキ構築タイムが3/5を過ぎても尚彼女は微動だにしない。その動きに何人かの決闘者が遂に不審の声を漏らす。
「み、見ろ。西川の奴、あの場所から一歩も動いてねぇ! いきなり試合放棄か!?」
 それを見て即座ににやける村坂。彼はこの時点で自らの動かぬ勝利を確信する。
「どうした! この俺のスピードの前に臆したか! 『ブレイン・コントローラー』が聞いて呆れ……」
 勝ち誇る村坂。しかし、その村坂の前に帰ってきた『返答』は彼の予想を遥かに超えていた。
「そうね。そろそろかしら」
「何!?」
 そう言うと瑞貴は徐にデッキ構築を開始する。その動きは優雅なれどゆったりとしていた。一見する限りでは特別な何かは見受けられない。だが、時間が過ぎていく内に何人かの決闘者が『それ』に気がつく。
「な、なんだアレは。俺の見間違いか?」
「どうしたってんだ? 何かあったのか?」
「いや、なんていうか。無駄な動きが全くないんだ。まるで、川の水が上から下に流れるように、デッキ構築上の『必然』だけを選び出しているような動きだ。ま、まさか!まさかアレは!?」
「ど、どうした!何がどうだっていうんだ!?」
 その時点における西川瑞貴の動きにはおよそ『無駄』と呼ばれるものが一切存在しなかった。いやそればかりでない。彼女自身が『無』と一体化していたのだ。村坂の荒々しい『動』とは対照的な、洗練された『静』と呼ぶべき空間がそこにはある。決して疾い動きではない。だがそれにも拘らず圧倒的な作業効率によってデッキが組み上げられていく…それほどまでに彼女の動きは研ぎ澄まされていた。その究極の『静』の正体が今明らかとなる。
「西川の奴、たった1回カードを見ただけでデッキに使うカードとそうでないカードを完全に分離している。だからあんな無駄のない動きが……。」
「ば、馬鹿な!そんなことがありえるわけがねぇ。きっと後でもう一回確認作業を」
 だが真実を曲げる事など誰にも出来よう筈がない。西川瑞貴は、全てを終えていた。
「み、見ろ!西川瑞貴が座ったぞ。まさか、もうデッキ構築を終了したってのか!?」
 デッキ構築タイムの3/5が経過してからようやく動き出したにも拘らず、西川瑞貴は村坂鋼よりも8分早くデッキ構築を終了していた。このあまりの異常事態に驚きを隠せない村坂鋼。
「は、ハッタリだ。そんなことできるわけがない。この俺が!デュエルでそれを証明してやる!」

「デッキ構築時間を終了します。」

第2話:完全記憶再び(リターン・オブ・ブレインコントローラー)

【Aブロック一回戦】
西川瑞貴(翼川)―村坂鋼(福岡)

「決闘を開始します。デュエルスタンバイ……OK?」
「OKです」
「OKだ」
 ターンランプが村坂の決闘盤に点灯する。先攻は村坂だ。
「俺のターン、ドロー。俺はモンスターを裏向き守備表示で一体召喚。カードを一枚伏せてターンエンド」
「私のターン、ドロー。私もモンスターを裏向き守備表示で一体召喚。カードを一枚伏せてターンエンド」
 遊戯王には典型的な第1ターン、所謂ミラー・プレイングだが、既に村坂はいきりたっていた。『音速の騎鋼使』とまで謳われたスピード重視の構築屋である彼は、自分よりも早くデッキを完成させた西川瑞貴に対し憎悪にも似た感情を燃やしていたのである。こうなれば自分の手で奴のハッタリを証明する以外にない……彼はそんな風に考えていた。故に彼は仕掛ける。自らの半生が正しかった事を証明せんが為に。
「俺のターン、ドロー。《シールドクラッシュ》!」
 2004年3月PREMIUM PACK6にてリリースされた《シールドクラッシュ》によって、瑞貴の裏向きモンスターが物も言わず除去される。下準備は整った。村坂はここでデッキのキーカードを一枚発動する。
「《名推理》! さあレベルを宣言しろ。」
 《名推理》。対戦相手にレベルを宣言させてからデッキをめくり、最初に出たモンスターのレベルが宣言されたレベルでなければそのまま特殊召喚ができる、運と読みがその成否を左右する通常魔法。瑞貴は少し考えて8を選択するが……。
「残念だったな。俺の引き当てたカードは《モイスチャー星人》だ。攻撃!」
 思わぬカードの登場にミズキが0.2ミリ程表情を崩す。罠カードの発動は、ない。

西川瑞貴:5200LP
村坂剛:8000LP

「どうだ。これが俺の実力だ!」
 先手を取ったのは九州代表村坂鋼。彼の一撃は瑞貴のライフを1/3程一気に削り取った。このデッキの動きを見た観客席の浩司はあることに気がつく。彼曰くこうだった。
「《モイスチャー星人》を使う九州代表か。間違いないな。あのデッキは【MMR】や」
「【MMR】? 知ってるんですかコウジさん」
「アイツとは以前に何度かやりあったことがあるからな。で、【MMR】ってのは、最近実績を残しつつある九州発祥の地雷デッキ。【推理ゲート】の亜種や。その本質は《名推理》やそこらで特殊召喚したところで単なるバニラアイスクリームにしかならない《モイスチャー星人》まで投入することによって、とにかく全レベルのモンスターを揃える……つまり相手の裏をかくっちゅーわけや。因みにデッキ名の由来は、《名推理》の相棒を務める《モイスチャー星人 /Moisture Creature》の『M』と《モンスターゲート/Monster Gate》の『M』、そして言わずと知れた《名推理/Reasoning》の『R』からきていたんだよ。なんだってーっ!」
「なんだってーっ! そんな高度なデッキをこの狭いカードプールの中で組み上げるなんて、あの人只者じゃない。流石は全国から選りすぐられた決闘者達……って先輩。やけに余裕ですね。もう少し……」
 焦る信也に対し、浩司は小学生をあやすかのように語りかける。その表情は本当に余裕だった。
「お前さ。1回だけミズキとデュエルしたことあったよな」
「あ……ハイ」
「だったら思い出せよ。あそこにいるのは『ブレイン・コントローラー』西川瑞貴なんやで」
「コウジさん……(他人事だと本当に悠然としているなこの人は……)」

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」
村坂がターンを終了し、瑞貴の持つ決闘盤にターンランプが点灯する。
「私のターン、ドロー。《撲滅の使徒》」
「チッ。気がついてやがったか。」

「アレ? 《撲滅の使徒》? キャプテンがさっき言ってたカードプールやと……アレ?」
「コウジ。おそらくは再販パックだ。ホントによくやるよ瑞貴は」
「かなわんなぁ。除去一枚把握できてないなんてそんな決闘嫌ですよ」
「そうだな。だが……」
 その時伏せられていたカードは《炸裂装甲》。瑞貴と村坂はお互いにデッキを交換し、計4枚の炸裂装甲を除外する。その内訳は瑞貴2枚村坂1枚と瑞貴やや不利と言ったところか。だが瑞貴はそんなことを一々気にする様子もなくデッキを軽くシャッフル、再びデッキを交換した。そんな彼女を村坂は観察する。
(初手《撲滅の使徒》。この俺が《名推理》や《モンスターゲート》等通常魔法をキーにしたデッキ構成であることを把握した上での運用ってわけか。《王宮のお触れ》等もこのタイミングでは使いづらい。そこら辺はソツがないってわけか。だが……潰し合いなら俺は負けん!)
 だが瑞貴の行動は潰し合いという単語ではとても説明しきれない、より惨いものだった。
「ターン続行。《強奪》で《モイスチャー星人》のコントロールを奪います」
(チッ……さっき罠が来なかったのはこっちが本命……生贄か?)
 だが瑞貴のアクションは村坂の予想を常に一段飛ばしで駆け上がる。
「《突然変異》!」
 瑞貴の発動したカード。それは生贄に捧げたモンスターと同じレベルの融合モンスターを召喚する突然変異だった。このアクションに村坂は困惑する。無論、かって制限カードにまで指定された強力カード《突然変異》が対戦相手のデッキに入っていることぐらいは一応想定の範囲内である。だが問題は《突然変異》によって生贄に捧げられたカードのレベル。これが村坂にとっては一種の事件だった。
(馬鹿な。《モイスチャー星人》はレベル9。コイツに《突然変異》を打ち込んで召喚できる融合モンスターなど、それこそ2〜3体程度しかいなかった筈。いや、このルールならもっと絞られている可能性すらある。アイツはあんなふざけたデッキ構築でソレの存在に気がついていたってのか?)
「《マスター・オブ・OZ》を特殊召喚します。それでは直接攻撃……よろしいですね。」
 攻撃力4200の怪物が特殊召喚され、即座に村坂のどてっぱらを抉る。一瞬にして形勢が逆転した。

西川瑞貴:5200LP
村坂鋼:3800LP

(なんなんだコイツ。デッキ構築の時といい今回といいわけがわからねえ。この俺ですら《突然変異》は融合デッキにまで気を払う時間がないという理由で回避したってのに、アイツは平然と使いやがった。それも《マスター・オブ・OZ》だと? レベル9なんてそれこそ俺が【MMR】を使わなければ一生変異できないような代物にまで注意を払ってたってのか? くそ! 偶然だ。アイツはカードプールの上の融合モンスターカードを片っ端から融合デッキに放り込んだだけ……いや違う!? アイツの融合デッキ……とんでもなく薄い! ということは……アイツは《突然変異》を使うにも拘らず必要最低限のカードしかいれなかった。この俺に《突然変異》を意識させない為に? そしてその内の一枚が《マスター・オブ・OZ》だった? いや、違う! そんな馬鹿なことがあってたまるか!)
 困惑する村坂をよそに、瑞貴が尚もターンを進行する。
「通常魔法《タイムカプセル》。デッキからカードを一枚除外する。カードを一枚伏せてターンエンド」
 リスキーなサーチカード《タイムカプセル》を発動し、悠々とデッキからカードを一枚除外。シャッフルを行う瑞貴。この光景を目の当たりにし、遂に村坂が本当の意味でキレた。彼はそれまで溜め込んでいた憤懣を瑞貴に叩きつける。彼はデッキ構築の時から既に爆発寸前だったのだ。
「こんどは《タイムカプセル》だと!? ふざけるのもいい加減にしやがれ!」
「ふざける?」
「当たり前だ! あんな適当な構築をしていた奴にそんな難しいデッキが組める筈がない!」
「適当?」
「そうだ。アレ以上の適当があるか!」
「そうですか。なら……」
「!?」
 西川瑞貴はゆっくりと語りだした。ゆっくりと…村坂に語りかける。その姿はさながら死神の様であった。彼女は読み上げる。村坂の蒙を啓く為に読み上げる。それはあまりに残酷な『力』を有していた。
「PH-08《海神の巫女》、RDS-JP005 《創世神》、PH-14《ゴラ・タートル》、301-029《名推理》、302-002《弾圧される民》、303-032《ビッグバン・シュート》、304-041 《トークン収穫祭》、305-049《炸裂装甲》、306-019《インフェルノ》、307-028《海竜−ダイダロス》、308-034《大天使ゼラート》……」
 読み上げられた情報。それは彼女の―西川瑞貴の―異能を証明していた。
「まだ……続けますか?」
「な……」
 驚愕する村坂の前にして、瑞貴は静かに語りだす。
「誤解させたなら謝りましょう。ですがこれだけは『覚えて』おいて下さい。私はカード全体を見ずともカードナンバーだけでデッキを作れます。私の通り名は知っているでしょう?これが私にとってもっとも効率がいいデッキ構築方法だった。それだけのことです。そこに他意は……一切ありません」

「か、【完全記憶】。そうだ。ミズキさんにはこれがあったんだ。だから皆安心して…」
「瑞貴は今までリリースされた全てのカードについて名称、能力、効果、カードナンバー、イラストに至るまで全てを記憶し、頭の中にカードリストを作っている。その収録内容ときたら、大勢の人間によって編集されている筈の遊戯王wikiですら特等席を譲るほどだ。それがあいつの力……【完全記憶】。」
「姉さんにとって現実のカードを一々区分けするなんてそれこそ時間の無駄でしかない。既に頭の中で全てのカードが整理済みなのだから。後はそこから該当箇所を拾ってデッキを作ればいい。姉さんは、傍から見たら何もしていないように見えても、現実にはちゃんと頭をフル回転させてデッキを作っていたのよ。」
「一々手でカードを掻き分けてカードを作る場合どうしても身体的限界が出ちまう。一度にもてるカードには限りがあるからな。だがミズキの脳内はそれより遥かに広いってわけや。どこぞの研究者には『無限の世界(アンリミテッド・ワールド)』と絶賛されたらしいで。要するにミズキにとってこの程度はそれこそ朝飯前。番号をアトランダムにするぐらいでやっと昼飯分や。あの野郎には気の毒だが……」
「この勝負……見え……ましたね」
「そやな。初手《撲滅の使徒》。そしてさっきの《タイムカプセル》。瑞貴のアレが…出るで」
 彼らの語る『アレ』。それは村坂にとって絶望の相互互換であった。瑞貴がターンエンドを前にして村坂に語りかける。その表情を言語に直せばサヨウナラとでも言ったところか。彼女の表情は冷酷そのものだった。
「私のターンを終える前に一つだけ言っておきます」
「な……なんだ」
「貴方の次のカードは……《モンスターゲート》です。それではターンエンド」
「ば、馬鹿な!?」
 瑞貴の言葉に動揺した村坂は急いでカードを引く。無論瑞貴の言葉が妄言である事を確認する為に…である。だが其処にあったのは間切れもなく《モンスターゲート》。村坂の血の気が引いていく。
「引きましたか。それでは終わりにしましょう。罠カード発動《マインドクラッシュ》。《モンスターゲート》を指定します。その右手に握られたカードを捨ててください」
「ば、馬鹿な。お前の脳には未来絵図すら記憶されているっていうのか!? そんな馬鹿な」

【瞬間記憶操作】
億分の一の人間にしか与えられない類希な記憶能力…一度見た映像を、言語に情報を分解して覚えるのではなく、その映像を一縷残さず丸ごと頭に搭載できる能力。それが『瞬間記憶能力』である。西川瑞貴はその“選ばれた”人間であった。彼女はあらゆる事象を瞬間的にインプットし、更には自在にアウトプットする能力を生来的に身につけていたのである。彼女にとって『完全記憶』はもはや『本能』も同然だった。その彼女が、自身を最ものめりこませたカードゲームにおいて、その能力発揮の場を探した事はもはや必然と言っていいだろう。彼女は決闘中あることに気がつく。シャッフルされるカードの一枚一枚がそれほど細かく分かれていないという事実に―。彼女のその後を説明する必要性が果たしてあるだろうか?彼女は相手のデッキを一瞥しただけで搭載カードの全てを完全記憶する…のみならず、シャッフルされても尚その並びを知覚し続ける事に成功したのだ。まさしく『神の微積分』。彼女はデッキという『全』のみならずドローという『個』すら把握する事に――未来の決闘絵図を描き出すことに――成功したのだ。それが俗に言う『瞬間記憶操作』である。

 村坂が戦意を喪失する。その間たった1ターン。だが…村坂にとっては地獄の審判を髣髴とさせる、永遠にも思われる1ターンだった。最早彼にカードをまともにプレイする気力は残っていない。彼はターンエンドを宣言するので精一杯だった。勝負の行方は…既に決していた。
「試合終了。西川選手の勝利です」

【予選Aブロック一回戦】
○西川瑞貴―村坂 鋼●
得失点差±5200

「ありがとうございました。それではまたいつか」
 完璧な勝利を果たした瑞貴はその肢体を軽やかに反転させて翼川メンバーの元に合流する。村坂には、そんな彼女を見送ることしか出来なかった。完膚なきまでの敗戦である。最初の一撃ですらもはやリップ・サービスに見えてくるほどの……村坂の眼には神或いは悪魔とでも言うべき異能が映っていた。

 以上が『ブレイン・コントローラー』西川瑞貴のデュエルである。だが、この圧倒的な力を目の当たりにしながら、決して気後れしない二人組みが会場のとある箇所を占めていた。彼等の風貌は見て分かるとおり日本人のそれとは違っている。彼らは楽しそうに『それ』を眺めていた。

「おい、エリー。あれが『ブレイン・コントローラー』西川瑞貴だ。どうだ? 勝てるか?」
「さあ? やってみないとわかんない。ダルはどう?」
「そうだな。アレは一種のモンスターだ。表のデュエルじゃ一寸ギリ臭いかな。だが、ディムズディルの奴ならどうにかするだろーよ。アレもいい加減人間じゃないからな。」
「すぐそうやって逃げる。強いんだからもう少し傲慢になったら? そんなんじゃ面白くならないよ。」
「まぁ、適当に面白くやるさ。さて、次は俺のブロックだったな。じゃあ行って来る。なんかリクエストはあるか? せっかくだから面白くしてやる」
「そうね……。『三代に渡って誅殺』なんてどう? ハードルあげすぎ?」
「いいなそれ。それでいこう。ところでディムズディルのやつはどうしたんだ?」

寝坊じゃない?


【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
3秒で思いついた話。「序盤」を書くってのはほんっとストレスが溜まります。しかし西川瑞貴はいつ見ても痛々しい子だなあ



↑気軽。ただこちらからすれば初対面扱いになりがちということにだけ注意。


↑過疎。特になんもないんでなんだかんだで遊べるといいな程度の代物です

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