ある世界、ある時代、そこでは決闘(デュエル)という競技が久しく行われていた。《A・O・J ディサイシブ・アームズ》《ライトニング・ボルテックス》《聖なるバリア−ミラーフォース−》……『カード』に込められた情報(テキスト)を衝撃波として実体化、互いに競わせ勝敗を決する人類の到達点。

 『カード』の実体化にあたってはそれなりの道具を必要とした。ベースボールにおけるバット、サッカーにおけるスパイクのように、競技者には相棒が付きもの。『決闘盤(デュエルディスク)』と『決闘宝珠(デュエルオーブ)』がそれである。決闘盤は決闘者(デュエリスト)にとって武器であり防具であり矜持である。利き腕でない腕に決闘盤を装着、決闘盤に『カード』をセットすることで全ては始まる。敵対者を薙ぎ払うモンスターカードも、約束された奇跡を演出するマジックカードも、時に観客をも出し抜くトラップカードも、全てはこの決闘盤を通じて発現される。そう、モンスターカードは『投盤(ディスク・スローイング)』によって、マジック・トラップカードは『放札(カード・リバレイション)』によって。



 『投盤(ディスク・スローイング)』とは文字通り『決闘盤(デュエルディスク)』を投げること。『気』と『力』を必要なだけ込め決闘盤を勢いよく投擲、フィールドに叩きつけられた決闘盤……に装填されたモンスター・カードは魔獣となって『召喚』される。カードに封じられた魔獣が強く、気高く、気難しい程、召喚の難易度は跳ね上がり、それ故に決闘者は日夜『投盤』に励むのだ。『放札(カード・リバレイション)』はより直感的かもしれない。決闘盤に装填されたマジック・トラップカードの情報(テキスト)を、通常、掌に装着される『決闘宝珠(デュエルオーブ)』を通じて発現する。あたかも魔術師のように。言うまでもなく、こちらにもそれ相応の技量が要求される。人はそこまであっさりと魔術師にはなれない。



 何故彼らがこのような競技に勤しむのか。それを一度に答えることはできない。決闘者の数だけ答えがあるのだから。これは、そんな決闘者達が手腕を、構築を、運気を、才能を、努力を、戦術を、戦略を、野望を、欲望を、矜持を、金を、魂を、命を……あらゆるものを注いだ決闘の物語である。





【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
読了有り難うございました。
↓匿名でもOK/「読んだ」「面白かった」等、一言からでも、こちらには狂喜乱舞する準備が出来ております。

□TOPへ戻る










































































inserted by FC2 system