「《岩石の巨兵》で《カードガンナー》を攻撃!」
「《ネクロ・ガードナー》の効果発動。受け止める!」

 ―― 結局のところ、この決闘は随分と前から始まっていた

                     ―― 3年前 ――

(いける)
 少年のデュエルフィールドは持て余すほど広かった。当時13歳のパルムがゆっくり呼吸を整える。あと少し、あと少し。はやる気持ちと格闘しながら "子供の戦場" へ足を向け、
(何度も地雷を踏んだ。今ならいける。……いけるんだ)
 前方の様子をうかがう。焦らない。急がない。最高の召喚を、
「《火の粉》を捨てて……《召喚僧サモンプリースト》の効果発動!」

召喚僧サモンプリースト(800/1600)
@召喚・反転召喚の成功時、守備表示になる。
A1ターンに1度、マジック1枚を捨てて発動
⇒デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する(このターンは攻撃できない)
[効果] [4] [闇] [魔法使い]


 少年の宣言を聞き届けるや、年老いた召喚僧がバチンと合掌。《火の粉》1枚を火種代わりに唯一最大の得意呪文を唱えると、六芒星の魔法陣がモンスター・ゾーンの真ん中にぶわんと浮上。マッチ一本分の火炎魔法を召喚魔法に置き換える。
「行け! 決闘孤盤(ソリタリオ) !」
 腐腕の少年パルム・アフィニスが始まった。小さな身体を大きく振ると、拾い物の 決闘孤盤(ソリタリオ) を投げ入れる。決闘盤がぐるぐると回り、念入りに構築したデッキから ――

「ワンパターンなんだよ、おまえは!」
 対岸からの一喝でパルムが怯む。重低音のブザーが鳴り響き、着盤したはずの 決闘孤盤(ソリタリオ) が弾かれた。 "Chain" "Error" "Special Summon" OZONE空間内に浮かび上がる不穏な文字。まさか。まさか。まさか。小さな六芒星が打ち消され、代わりに何かが光を描く。
 目には目を。歯に歯を。僧侶には僧侶がトレンドか。対岸に立つもう1人の決闘僧が封印の曼荼羅を上書きしていた。互いのモンスター・ゾーンを覆い尽くす封魔の曼荼羅。
「サモプリに割り込み《リミット・リバース》を発動。攻守はクソカス。この俺様まで特殊召喚できねーが、効果範囲はイカしてる。墓地から《昇霊術師 ジョウゲン》を特殊召喚!」

昇霊術師 ジョウゲン(200/1300)
@フィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない(以下略)
[効果] [3] [光] [魔法使い]


「1発目を止めちまえば後は簡単」
 ジョウゲンの使い手はジュニアデュエルの有名人。人呼んで "天丼のアルマッサ" が不敵な笑みで威圧する。他方、サモプリの使い手は劣等生。簡単呼ばわりにパルムの目元がググッと歪む。反論するには曼荼羅の使い手が邪魔だった。昇霊術師の攻撃力は《ワイト》もびっくりたったの200。今すぐぶち殺し……できない。サモプリは守備表示。召喚権も使ってしまった。手札をジッと眺めるがこれ以上できることは何もない。
(あいつのデッキは打点自慢ってわけじゃない。特殊召喚ができない今なら。頼む……)
 神様に念じて目を瞑る。ビクビクしながら次のターンを……大地を駆ける音がした。ビクッと震えながら目を開けると、前方から迫り来るのは光の剣。《スター・ブラスト》に後押しされた奇襲の一振り。四つ足の上級騎士がさし迫る。
「パーシアス!?」
 天空騎士(エンジェルナイト)の間合いは広い。一刀両断で召喚僧を斬り裂くが、それで終わらないのが光の刃。後方に控えるパルムもろとも、必殺のオーラ・ブレードが大いに伸びる。
(貫通効果か!)

スター・ブラスト(通常魔法)
500の倍数のライフポイントを払って発動できる。
自分の手札または自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選び、そのモンスターのレベルをエンドフェイズ時まで、払ったライフポイント500ポイントにつき1つ下げる。


天空騎士パーシアス(1900/1400)
@守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ戦闘ダメージを与える。
A相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、デッキから1枚ドローする。
[効果] [5] [光] [天使]


「喰らったな! 《天空騎士パーシアス》の効果発動!」
 天使の祝福によりデッキから1枚授かると、 "天丼のアルマッサ" がニヤリと笑う。
「 "あの" フェルティーヌ・オースが天使族をやめたってんなら、No. 1になるのは俺様だろ? おまえの分まで勝ってやっからさっさと逝きな!」
(強引にいけばジョウゲンを潰せる? けどその後は? せめて最上級を使えれば、)
 ジュニアデュエルのMAXはレベル6。ゆえに、四つの足を持つケンタウロス型の天空騎士(エンジェルナイト)はトップランカーの座をほしいままにしていた。一旦、走り出したが有頂天。天空騎士は止まらない。斬って、斬って、斬りまくる。
「《六芒星の呪縛》で《クリッター》を封じ込める。もういいか? もういいか? だぁったら行くぜ! 天空騎士で《クリッター》を斬り裂く! 手札が増えるなお互いに!」
(ぼくのは腐ってるだけ。あいつだけ使える手札が増えていく。あるんだ。こっちにもあるんだ。ハンドにもデッキにも喚びたいやつがいっぱい。ぼくの決闘はまだ)
「余所事を考えてる暇はないぜ! ゾンビマン!」
「……っ!?」
 不意の衝撃波が華奢な身体をぐぃっと押した。なんとか体勢を整え眼前の様子をうかがうと……OZONEの空に何かが浮かんでいた。その正体は羽根を生やした白い獅子。
(光神機か!)
 生贄要らずの特攻部隊。すなわち、羽根を生やした真っ白な獅子が光のオーラを纏って一直線に特攻。そして衝突。安全対策のデュエルガードが悲鳴を上げて、身体を守っていたバリアが脆くも決壊。 "Guard Crash" の文字がOZONEに浮かぶ。

光神機−桜火(2400/1400)
生け贄なしで召喚できる(この場合、エンドフェイズに墓地へ送られる)
[効果] [6] [光] [天使]


「俺様が相手なら割れないとでも思ったか?」
「ガードクラッシュ? 例え上級が使えなくても……」
「 『呪文が使えなくても』 ? そういうところがウザいんだよ!」
 激昂が風を喚んだ。アルマッサの右手に風の渦が集まって、
「あれは……高等呪文(サイクロン)!? ぼくの場に破壊するようなカードなんて」
「ああそうさ! 張り合いのなさは折り紙付き。わかってんだよハナっから! 俺様の《リミット・リバース》を破壊するぅっ!」
「《昇霊術師 ジョウゲン》を墓地に……まさか!」
「そぉのまさかぁっ!」
 天使族使いのアルマッサが両手にデュエルオーラを集中。バッと両手を左右に広げ、白獅子の周囲に光の輪を造り出す。天使の輪ではない。決着を早める時空の輪。
「遊戯王の醍醐味を教えてやる。《亜空間物質転送装置》を発動!」

亜空間物質転送装置(通常罠)
自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その自分の表側表示モンスターをエンドフェイズまで除外する。


「《光神機−桜火》が消えた?」
「もうおまえは終わってんだよ!」
 天使とは! 運命を伝えるメッセンジャー。時には優しい言葉で丸め込み、時にはメリケンサックを握りしめ、地を這う虫けら共にやさしく現実を叩き込む。そしてこの時 "天丼" のアルマッサが運ぶのは…… "Trap" "Remove" "Special Summon" ……《光霊術−「聖」》を突き付ける。

光霊術−「聖」(通常罠)
自分フィールド上の光属性モンスター1体をリリースし、ゲームから除外されているモンスター1体を選択して発動できる。相手は手札から罠カード1枚を見せてこのカードの効果を無効にできる。見せなかった場合、選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。


「《光霊術−「聖」》。そんなカード……」
「止めるのは簡単。トラップ・カードを見せりゃいい」
「……」
 突き付けられた現実。パルムは彫像のように固まっていた。主力となるモンスターなら沢山いる。燃料となるマジックもあるにはある。……トラップはない。いつか 『幻凰鳥』 を飛ばす。その為に搔き集めたトラップ・カード。デッキの中には1枚も。
「ぼくは……トラップを……」
「知ってんだよ! 全員が!」
 真正面から向かってくるのはまばゆいばかりの現実だった。OZONEを構成する空間の一部がパリンと割れて次元の裂け目から光の獅子が……代金着払いでやってくる!
「ラストアタックだ! 行け、《光神機−桜火》!」
 天使の郵便に受け取り拒否という概念はない。着払いを求める光の獅子が疾風(ハヤテ)の速度で迫り来る。 「……!」 何もできない。何も。
 "天丼のアルマッサ" が無慈悲に告げる。
「昨日も、今日も、明後日も。終わってろ!」


光神機(ライトニングギア)−聖火!


 大きな音が、鳴った。

――
―――
――――

(負けちゃったか。残念だけど収穫はあった)
 パルムの表情は寸分たりとも変わらなかった。試合が終われば待っているのは反省会。ジュニア・デュエルのフィールドから離れると、そのまま隅っこに座り込む。
(流石はアルマッサ。一瞬でも隙を作ればもっていかれる)
 持参したバッグから1冊のノートを取り出すと、試合の経過を細かく書き出す。真っ先に浮かぶのはアルマッサの立ち回りだった。華麗に闘う同期の勇姿とパーシアス。
(口は悪いがしっかり研究してる。フォームだって凄くキレイだ)
 まっさらなページにデータを書き入れると、余白にパーシアスのイラストをささっと描き込む。オーラ・ブレードは念入りに。研究……研究……最終行まで書き込むと、パルムの指がピタリと止まる。
(上手いには上手いが隙もある。ぼくがあいつなら)
 頭の中を占領するのは夢一杯の白昼夢。 "カウンター・トラップで一刀両断" "迂闊な拙速よりも万全の必殺" "マジック・トラップのチョイスは……
「フィールドが空いてるぞ!」
 突然の大声に妄想が中断する。はてさてフィールド上を一瞥すると、1人の決闘者が藁人形を狩っていた。岩石族の塗り壁魔人(コアキメイル・ウォール)で《抹殺の使徒》を跳ね返し、岩石族の盗っ人魔人(コアキメイル・サンドマン)で《万能地雷グレイモヤ》を取り除き、《守護スフィンクス》をひっくり返して片っ端から薙ぎ払う。その同期の名は、
( "石鍋のガンチャン" は絶好調か)
 若手有望株の地属性使い、その名はガンチャン・ランチャン。その腕前は "天丼のアルマッサ" をも凌ぎ、 『雑に強いが地味に細かい』 『地属性の時代が来るかもしれない』 『顔が怖い』 『地霊術がイマイチ要らねえが全体的に隙がない』 『顔が怖い』 ……などなど、その評価は非常に高い。

守護スフィンクス(1700/2400)
1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
反転召喚成功時、相手のモンスター全てを手札に戻す。
[効果] [5] [地] [岩石]

 
(バウンスもいいけど今は確定除去。《スナイプストーカー》……確定するかな……)
「場が空いてるっつってんだろ!」
 パルムの思考を遮るかのようにガンチャンが躍動。右の拳を大きく振り上げ、拳をフィールドに打ち付ける。割れた。大地が割れた。十八番の《地割れ》が《雷帝ザボルグ》をパクリと呑み込み、無人の荒野を岩石族の守護大名(コアキメイル・ガーディアン)が駆け抜ける。その勇姿をパルムはろくに観ていなかった。デッキの中から《召喚僧サモンプリースト》を取り出すとピカピカになるまで磨き上げる。そうだ。何の為に積んだと思ってる。おまえたちはやれる。誰が相手でも、
「ソリティアなんかじゃ物足りねえ! 誰か引けるやつ!」
 石鍋のガンチャンがこれでもかと声を張り上げる。 "誰か" その言葉を聞き取るや、パルムは下を向いたまま 「大丈夫」 そうつぶやいて手を挙げる。 「ぼくがやります!」 「またおまえか」  "石鍋のガンチャン" が舌を打つ。
「わかってんだろうな。使えようが使えまいが呪文を5枚は入れる決まりだ」
「大丈夫! ぼくがやる!」
 
 その日、パルムは1勝もできなかった。

 制限はあっても遠慮はない。選びに選び抜いたモンスターが片っ端から駆除される。地割れ。地砕き。ハンマーシュート。少年の大地は呆気ないほど良く割れた。《我が身を盾に》したくとも、《神の宣告》にすがりたくとも、少年のデュエルオーブは光らない。必死に召喚したモンスターが犬死にを繰り返し……その度におまじないをつぶやく。
「大丈夫。収穫はあった」

 一週間後、パルムはいつも通り隅っこで作業していた。日に日に決闘する回数が減っていき、地べたに座ってうつむいたまま作業を続けている。
「おい、負け犬」
 罵倒句の発生源は "石鍋のガンチャン"。 年の割にいかつい顔で近づくと、
「そろそろ二十連敗なんだろ。返事しろよ、負け犬。耳と口まで腐っちまったか」
「……じれよ」
「あぁっ?」
「もっとなじれよ。あれこれ理由をつけて負ける自分に……何もしないでいる自分に慣れちゃいそうなんだ。悪口でもなんでもいい。『勝ちたい』って思わせてくれ」
「やめちまえバーカ。いいか。最近ちょこちょこデッキを弄ってるみてえだが時間の無駄なんだよ。モンスターしか使えないようじゃな」
「 『五枚規制』 の所為だ。時代遅れの規制が未だに残ってるから」
「関係ないな、そんなもん」
「【フルモンスター】なら闘えるんだ」
「 『使わない』 と 『使えない』 は違う。選択肢が少ないやつがドツボにハマるんだ。そんでもって……ドツボに嵌めるのが俺の決闘だ」
「無効化能力で蓋をする。 "石鍋のガンチャン" のセメントデュエル……」
「ハナから固まってるやつとやっても、なぁんも楽しくねえ」
「……! ハハ……それもそうだな。ごめん」
 自嘲気味に笑った瞬間 「……ざけんな」 胸倉をガンチャンに掴まれる。
「ただただひたすら! シンプルに才能がねえんだよ! おまえだけが特別じゃない。そんなやつはゴマンといるぜ。決闘ってのはなぁ、辛気くさい顔でやるもんじゃねえんだ!」
 何かを突きつけられた。何か。何か。何か。はは。あはは。あははははは。全身から笑いが込み上げてくる。可笑しい可笑しい超可笑しい。
「ちっ、遂にトチ狂って ―― 」
「ガンチャン、ありがとう。なんかやる気が湧いてきた」
「……俺達はおまえが嫌いなんだ。さっさとやめちまえ」

 その日の夕方、パルムはゴミ捨て場に潜り込んでいた。今や日課になったゴミ漁り。《召喚僧サモンプリースト》や《デザート・ツイスター》を掘り当てた夢の島。
「ぼくはありふれている。最悪じゃないし最高でもない。変わらなきゃいけないんだ。人事(デッキ)を尽くして天命(ドロー)を待つのが決闘者。待ってやる。満漢全席用意して待ってやる」
 身体が真っ黒になるが知ったこと。通算37枚目の《二つの口を持つ闇の支配者(ツーマウス・ダークルーラー)》をちょっくら小脇にどかしつつ、華奢な細腕を動かし続ける。
(兎に角、修理して使えるカード。何か使い道のあるカード。こんなテキトーが罷り通るいかれた時代……今だけかもしれない。今の内に1枚でも何かを)
 カードやパーツを抱えて歩くこと3時間。家に帰ると修理と構築を開始する。
(前の方に小粒が固まるなら時間を稼げば綺麗に回る。ぼくのデッキに速攻はない。低速環境ならチャージして突っこむ。高速環境なら延命……《バトルフェーダー》でも入れるか)
 組んで。回して。崩して。それらを延々と繰り返す。
「ダメだ。後半の馬力が落ちる。頭数をもっと……そうだ」
 拾ってきた中から1枚のカード・ユニットを取り出す。自分のエースで足りないならば、相手のエースを味方に引き込んでしまえばいい。拾い当てたのは黒鉄の同調者。その名は《レアル・ジェネクス・クロキシアン》。

レアル・ジェネクス・クロキシアン(2500/2000)
「ジェネクス」と名のついたチューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のレベルが一番高いモンスター1体のコントロールを得る。
[同調] [9] [闇] [機械]


(景気良く壊れてるけど、一番大事なコアは無事。なんとかなるかも。だけど……)
 拾ってきた可能性をジッと眺める。レベルは 『9』。 安心と安全のジュニアデュエルでは使っちゃいけないモンスター。 「ぼくは引きたい。ぼくは喚びたい。ぼくは……」
 2つの道がある。1つは途中で行き止まり。通行止めの札が立っているジュニアデュエルの道。そしてもう1つ。パルムは一冊の本を ―― 『決闘の世紀』 を取り出した。
「かの有名な決闘民族学者パトリック・アンダーソンはこう言いました。 『現代の決闘民族は古代人よりも遥かに頑丈。気が済むまで殴り合えばいい。それが決闘というものだ。しかし! 小さくかよわい子供や女性、すなわち、受身検定C級及びジュニアデュエルの参加者を保護する必要性は依然ある。デュエルガードの使用を義務付け、召喚可能なモンスターの範囲にも制限を』……」
 散らかった部屋をぐるりと見渡す。モンスター・カード、モンスター・カード、ネジ、クッション、モンスター、モンスター、モンスター。唯一の味方が喚ばれるのを待っていた。
「いつか子供は大人になる。あいつらに勝つには変わるしかない。ぼくの腐腕(うで)を怪物に変えるんだ。今からやり込まないと間に合わない。組んで。投げて。ぼくは勝つ!」

 デッキに《レアル・ジェネクス・クロキシアン》を入れる。

 そうすると《ジェネクス・コントローラー》が自動的に入る。

 そうなると下級が弱くなる。 やめるか? やる! やるしかない!

 自分の殻をぶっ壊す。ジェネコンの価値を上げるには? シンクロのレパートリーを増やせばいい。調律師の相方は? 《キラー・トマト》、《クリッター》……そうだ。このデッキは妙に偏っている。ならそれを利用する。《カードガンナー》やライトロードで墓地を肥やして《ネクロ・ガードナー》でブロックショット。次の課題は? 対策への対策……問題は山積みだった。それでも最悪には程遠い。

 気が遠くなるような作業の間、パルムは笑みを浮かべていた。

 後日。同期の1人である権兵衛(スクラッパー)との間にいざこざを起こし、パルムはジュニアデュエルを後にする。華々しいデュエルステージの裏側を転々としながら少年は闘うことをやめなかった。使い古しの決闘盤を1日も休まず投げ続ける。

 愛してしまった者達(モンスター・カード)と共に。

「レベル3の《クリッター》にレベル5の《スポーア》をチューニング!」
 大きく決闘盤を振りかぶる。慣れ親しんだ決闘盤に込めているのは腕力よりも精神力。全身全霊を 決闘孤盤(ソリタリオ)に載せた瞬間、ゴミ捨て場の上を龍が征く。
「シンクロ召喚!」

                 ―― ターミナル・ワールド ――

 いつまでも。どこまでも。真っ白な雪原が見渡す限り広がっていた。哀しく殺風景な真冬の世界……突然、衝突音が鳴り響く。白銀の大地に真っ赤な火炎弾が降り注ぎ、守りを固めていた《岩石の巨兵》が木っ端微塵に粉砕炎上。一面に土煙が巻き上がり、真っ白な雪景色をあれよあれよと塗り替える……突如、爆煙の中から何かが "ぶわり" と首を出す。屑鉄によって造られた龍の咆哮。火炎を吐き出すドラゴン・ネック。
「ス、《スクラップ・ドラゴン》!!」
 立ち竦むギャラリー。その視界を圧倒する巨大な龍。それこそが屑鉄仕立ての廃炎龍《スクラップ・ドラゴン》。絶え間ない吹雪を物ともせず、陸戦型の龍が大地を踏んだ。

スクラップ・ドラゴン(2800/2000)
1ターンに1度、自分及び相手フィールド上に存在するカードを
1枚ずつ選択して発動⇒選択したカードを破壊する(以下略)
[同調] [8] [地] [ドラゴン]


 龍の身体は屑鉄と廃品でできていた。全身を覆う鋼鉄の皮膚は大砲の直撃さえも耐え抜き、バネ仕掛けの筋肉は両足の負担を緩和する。そして何より人目を惹くのは長い長い龍の首。吹雪と火炎が入り乱れるデュエルフィールド上のド真ん中、巨大なドラゴン・ネックを振り上げ吠える。雪原に鳴り響くのは鉄の咆哮。荒れ狂う吹雪さえも軽々はじく。
「今日も頼むぞ、《スクラップ・ドラゴン》」
 鉄の龍を操るのは16歳。左腕に決闘盤 ―― メカニカル・ギミック・デュエルディスク 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) を装備した決闘男子。腐腕の少年パルム・アフィニスが古参の愛機と共に征く。

Turn 7(メインフェイズ)
□パルム
Hand 4
Monster 1(《スクラップ・ドラゴン》
Magic・Trap 0
Counter 3
Life 8000
■シェル
Hand 6
Moster 0
Magic・Trap 2(《凡骨の意地》/セット)
Counter 7
Life 5600

「地属性の癖に火なんか吐いて」
 雪原の向こう側にはもう1人が立っていた。長い髪と鋭い瞳。小型水車を模した円盤型デュエルディスク ―― 決闘掻盤(ストラグル) を左腕に装備し、紫紺の眼鏡を掛けたダーク・パープル・スタイルの15歳。シェル・アリーナが唇を噛む。
「そのだらしない首の骨、今すぐ ―― 」
 悪態を付く暇もあらばこそ。シェルが前方をうかがったその矢先、見渡す限りの真っ白な雪原が真っ赤に燃えた。灼熱の除雪機が白銀の雪道を削り取り、轟々と燃え盛る火柱が少女目掛けて一直線。躱せない。守れない。少女の身体を一気に呑み込む。

パルム:8000LP
シェル:5800⇒2800LP(7⇒6)

「シェル!」 「シェルちゃん!」
 OZONEの迫力は最新機器によって強化されていた。衝撃を緩和するデュエルガード越しではあるものの、視覚の暴力は遠慮を知らない。ゴウゴウと燃え盛る火炎の映像に押し込まれ、堪らずひざを付いてしまう。ふとももを覆っていたダーク・パープルのスカートを地面スレスレで泳がせながら、大きな瞳をぐぃっと上げる。その瞳に映るもの ――
 1つは朗報。OZONEに浮かび上がる "Turn End" の文字列。そしてもう1つ。陰気な少女が唇を噛み締める。 "攻撃力2800" "レベル8" "万能除去" 西部決闘界のトップモデルは衝撃波も一流か。火炎弾型の衝撃波をぶつけられデュエル・ガードが粉砕炎上。OZONE空間内に "Guard Crash" の文字がくっきりと浮かび上がり、上級召喚への道が遠のく。
「中途半端で忌々しい規定。西部の行政はいつもそう」
 言い捨てるシェルの対岸では《スクラップ・ドラゴン》が吠えていた。何もかも焼き尽くす廃炎龍の猛威をその身に受けて。ぼそりと一言。
「中途半端がもう1つ」

「《スクラップ・ドラゴン》、ヤバすぎじゃん」
 廃炎龍から一定の距離を間に挟み、雪原の末端部には石造りの家屋が建っていた。吹雪を遮る石の屋根のすぐ真下、次女のコロナが険しい表情で立っている。青いヘアバンドの上に右手を添えると、ショートの髪の毛をガシガシと。
( "床の男爵" シライ・バロンのエースカード。あたしと同い年なのに) 
「シェルちゃんがんばってー」
 すぐ隣では末っ娘のティアが絶え間ない声援を送っている。
 しかし盤面はパルム優勢。軽く息を吐いてコロナがつぶやく。
「案の定、後半勝負。こういう展開ならパルムくんが強すぎる」

「ちょっと違うかも」
 ミィが出し抜けにつぶやく。その真意を聞かれると少し考え、
「んーっと、攻めの構築が嵌まってチャージが順調で、序盤からダメージ与えてて、全然ライフが減ってなくて、手札差も凡骨だから見た目ほどじゃなくて……あれ???」
「違わないじゃん。シェルが劣勢で見たまんま」
「なんだろう。なんか……いつもと違うような……」
「ミィちゃん、それってホントにホント?」
 知らぬ間にティアが寄り添っていた。サイドテールが肩に触れるほど気安い距離。ティアが何事かを考え込んでいる。しばらく待っていると妙な意見が飛んできた。
「何か起こるかも。……シェルちゃんは怖いから」
 怖い。その言葉にピンと来たのかミィは遠方の様子をうかがった。観察対象となるのは招待者にして挑戦者。廃屋の前に立つ決闘少女、シェル・アリーナをジッと見る。
(同じ学年とは全然まったく全然思えない)
 シェルは落ち着いていた。雪で火が消えると片膝を伸ばして立ち上がる。ゆっくりと。
(わたしが3月生まれなことを差し引いても何かがおかしい)
 胸元から腰元にかけてのボディラインは勿論のこと、それ以前に服装からしてミィとは違っていた。ふと自分の服装を確認する。Tシャツ、スパッツ、ハイ終わり。 
(わたしの方が動きやすい。わたしの方が決闘者っぽい)

「私のターン、ドロー! この瞬間、永続魔法《凡骨の意地》を起動!」

凡骨の意地(永続魔法)
ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、
そのカードを相手に見せる事で、もう1枚ドローする事ができる。


「ドロー・カードは《千年の盾》。通常モンスターを引いたことでデッキからもう1枚、」
 《凡骨の意地》の効果発動。シェルの身体がじんわりとしたオーラに包まれる。さらに、
「《トーク・ワールド》の誘発効果。質問カウンターを 『7』 までチャージ。メインフェイズ。モンスター、マジック・トラップを1枚ずつセット。ターンエンド」

パルム:4
シェル:7

(何か聞きたがってる。そう思うからパルくんもトークデュエルを提案した。なのに……。パルくんはモンスター専門の決闘者で……ならシェルは……)
「……っ!?」
 突然の錯覚。腰まで伸びる美しい髪。ハリのあるブラウス。暗色のストッキング。妖しく揺らめくスカート。それらが1つに混ざり合い、ミィの瞳にあるものを映し出す。
( "魔法使い"? だからジャージから着替えて……)
 得体の知れない不安。にわかに鼓動が高まっていく。
(シェルの呪文? 気をつけて、パルくん)


DUEL EPISODE 41

その瞳に映るもの


Turn 9
□パルム
Hand 4
Monster 1(《スクラップ・ドラゴン》)
Magic・Trap 0
Counter 4
Life 8000
■シェル
Hand 5
Moster 1(セット)
Magic・Trap 3(《凡骨の意地》/セット/セット)
Counter 7
Life 2800

(さてどうしたものか)

☆ぱるむくんのここまでのしつもん☆

Q:プロフィールを教えて欲しい
A:いつから生きてる15歳(以下略)

Q:いつから決闘を始めたの?
A:3年ぐらい前、変質者に決闘盤を押し付けられた

Q:変質者?
A:思い出そうとするといたいけな心が乱される。いきなり現れたと思ったら私の身体を無遠慮に弄り回して一生消えない(以下略)

Q:てゆーか、ミィといいきみといいなんで決闘中にスカートを?
A:空気の抵抗を読み取るレーダー、それがスカート

(……もっと的を絞ろう)
 一回、軽く深呼吸。154センチの身体にくまなく酸素を注入すると、吹雪の中から女性を2人探し出す。長い黒髪と鋭い双眸。シェルの実像、そして、アリアの虚像が瞳に映る。
(ここまでの経緯を考えればアリアについて質問すべき。あいつは強い。テイルやアブソルも注目してるし、大会でやり合う可能性もある。なんなら1つでも情報が欲しい)

 "デッキのメインは何か"

 両腕でぶん殴る戦士族。観たことあるから知ってる。

 "エースカードは何か"

 真っ黒な《ギガンテック・ファイター》。それも知ってる。なら、

 "秘密兵器は何か"

(答えてくれるわけがない。回答を拒否されれば1枚引けるが、同じことを聞かれれば泥仕合。そもそもそこまでして聞く必要があるのか。……何を気にしている)
 そうこうする内に吹雪が強まり、目の前のノイズが増えていく。シェルの実像が見る見るうちに霞んでいき……突然、大きな電子音が鳴った。鋼鉄の龍が大きく吠える。
「《スクラップ・ドラゴン》?」
 視界の悪化を条件としてビジュアル・エフェクトが誘発。赤い瞳はサーチライトにもなっていた。くら〜い雪道に照準を合わせ、円形状の光がシェルの肢体を照らし出す。
(……わかったよ。おまえの言う通りにやってみる)

「ぼくのターン、ドロー! スタンバイフェイズ!」
(何の為にやり合うのか、それを知るまでの決闘なら、)
 質問フェイズが始まった。遥か上空に浮かぶ情報吸収体Another ―― 上半身のみの供給装置からトーク・エネルギーを受け取ると、メインフェイズへと即座に移行。パルムはシェルの瞳をジッと凝視する。見つめ合った状態のまま宣戦布告を突きつけた。
「異文化交流。大会が始まってるのに呑気なもんだ。その上、黙ってるんじゃ始まらない」
 だから始める。そう言わんばかりに質問弾をディスクに装填。さあこれから質問だ!

@スタンバイフェイズ、お互いにカウンターを 『1つ』 得る

A質問に回答がなかった場合、質問者は1枚ドローする

B回答者が嘘を吐いた場合、質問者は1枚ドローする

C大雑把過ぎるor同じ質問は不可(揉めたら多数決)

Dダイレクトアタックを喰らった場合は 『1つ』 減少する

(シェルとアリアを紐付けしてさかのぼる。そうすれば何かが、)
「きみらは……おねえさんが決闘者だと知らなかった」
「案外、うちのことに詳しいじゃない。ミィから?」
「話題欠乏症にかかったミィが2回ほど言っていた」
「2回? 慎ましい数字になったわ。それで?」
「メインフェイズ! 《スクラップ・ドラゴン》の効果発動!」
 背中にあるハッチがグワっと開く。大きく開いた背中の穴に《火炎地獄》を投入すると、体内の溶鉱炉がフル稼働。いざ精製するのは必殺必中の火炎弾。銃口となるのは龍の口。
 同時に、パルムの口もきびきび動く
「質問カウンターを1つ取り除いて効果発動。きみらは、おねえさんが決闘者であることをちょっと前まで全く知らなかった…… 『それは本当か!』 」

パルム:4
シェル:7

「スクラップ・ヘル・ファイア!」
 効果と質問の二連撃。火炎弾と質問弾がシェル・アリーナの布陣を荒らす。轟々と燃え盛る火炎弾 ―― スクラップ・ヘル・ファイアが《凡骨の意地》を焼き尽くす、が、
「答えはNO。気づかないわけないじゃない」
(案外、あっさりしてるな。もう少し揺さぶってみるか)
「ならバトルフェイズ。いけっ、《スクラップ・ドラゴン》!」
 体内の焼却炉で炎を焚くと、廃炎龍の両眼が真っ赤に発光。さらにそこから長い首を真っ直ぐ伸ばす。鉄の口を大きく開き、狙いを定めたままでパルムも聞いた。
「質問カウンターをもう1つ取り除いて効果発動。 『きみらに対し、あのおねえさんは何をしたのか』 あの異常な空気。何もないとは言わせない」

パルム:3
シェル:7

「スクラップ・デス・バーナー!」
 攻撃と質問の二重奏。龍の口と一体化した火炎放射器 ―― スクラップ・デス・バーナーが轟音と共にセットモンスターを消し炭へと変える。しかし、
「何もないわ」
「何もない?」
「10年間も隠してきたのに。 『実は決闘者』 その一言で終わってしまった」
「……誰にだって秘密の1つぐらいはある。趣味を秘密にしていたぐらいで」

「私は何も知らなかった」

(気配が……変わった!?)
 シェルが胸元に手を添える。パルムを見ているようで見ていない、見ていないようで見ている……そんな視線と共にぼそりとつぶやく。
「消し飛んだものがある。私は私を許せない」
 シェルの雰囲気が変わった。大きな瞳で雪原を一瞥……火柱が雪道を駆け抜けて、火炎弾の雨が降り注いでも、雪の絨毯は未だ健在。少女は生温さを戒める。
「私は質問の権利を温存中。 "無策での温存はあり得ない" "迂闊に攻めるとバカを見る" "事実さっきは空振った" "地雷を踏まないよう慎重に" そんなタマでもないクセに」
 図星を突かれたパルムが一瞬尻込む。迂闊な火炎弾は火事の種。シェルの油に火を付けたまま、バトルフェイズが無為に終了。ふと気が付くと後退の足跡が付いていた。
質問(こうげき)しているのはぼくなんだ。なんでぼくが退く。異文化交流、違うのか?)
「パルくんが気後れしてる。強豪軍(パワー・マーチ)を受けても大丈夫だったのに」
 ミィは得体の知れない不安に駆られていた。隣ではコロナが 『ぶっちゃけ格下なんだからあんたこそアグレッシブに』 などと発破を掛けている。
「格下? パルくんはいつも……」
 バトルフェイズ。メインフェイズ2。そしてエンドフェイズ。"Turn End" の文字列が浮かぶと同時、シェルを縛っていた "Guard Crash" の文字が霧散する。
「ちんたらシコシコやってる間に回復したわ」

 シェル・アリーナが虚空を睨む。

「異文化交流はこうじゃない。私のターン、ドロー!」
 シェルが架空の空を見上げると、遥か上空にはマントを羽織った不可思議なガイコツがふわりふわりと浮かんでいる。その使命は言葉の観測。その名はAnother。骨が剥き出しになった両手を突き出すと、トーク・エナジーを地上のシェルに向かって照射する。
「スタンバイフェイズ。質問カウンターを 『8』 までチャージ」
 トーク・エナジーを受け取ると、聞き取れないほどの小声で何かをつぶやく。
「クソ食らえ。こんなものはクソ食らえ。吹雪はぬるい。火炎もぬるい。スカート1つ揺れていない。造り物だから? 私は 『違う』 と知っている。本物の強豪が相手なら」

 蘇我劉抗の 『掌』 /ドゥルダークの右腕

 フェリックスの 『龍』 /銀河眼の咆哮

 シェルは目を瞑った。あの日あの時、フェリックスがいた場所に降り立ち妄想の中で蹂躙される。風刃が両腕を斬り裂き、火柱が両足を焼き払い、落雷が全てを終わらせる……。
「私の白昼夢よりぬるいなら。ぬるくしてしまった私の責任」
 まぶたの裏側。暗闇の向こう側に何かが立っている。黒く、硬く、絶対的な威圧感。シェルは無意識に半歩退がる。それから、半歩退がった自分に気付くと一歩前に脚を出す。
「私は……知らないといけない」

Life Point:2800
Question Counter:8

 少女が目を開ける。

 開け放たれた瞳の前に、

 少年の殻が立ち塞がる。

 ―― 核を知りたい

「メインフェイズ。貴方の質問(こうげき)を受けてもこれ以上はわからない。なら私の方から質問(こうげき)する。質問カウンターを1つ取り除き《トーク・ワールド》の効果を発動!」

パルム:4
シェル:7

「貴方のその両腕。 『それが決闘のみなもとか』 」
 シェルが口を開いた瞬間、パルムとの間に緊張が走る。 「……っ! Yesと言えばYesだし、Noと言えばNo」 様子をうかがうような回答に対し、シェルが一気に間合いを詰める。
「それでは何もわからない。もっと詳しく!」
「……ぼくの両腕は文字通りの腐れ縁。マジック・トラップを使えない。それが発奮材料になるのは否定しない。だけどぼくは……決闘をしたいから決闘を始めたんだ」
 パルムの回答に呼応して廃炎龍が吠え猛る ―― その首筋を睨むはシェル。デカイ遮蔽物を前にしてパープルフレームの少女は訝しんでいた。暗く、鋭く、大きな瞳で何かを射貫く。

 ―― あいつの(コア)を知りたい

「視界が悪すぎる」
 緊張状態からの急転直下。シェルの右手が真っ黒なオーラに包まれる。さらにそこから右手を前に突き出した。あたかも門扉(もんぴ)を押すかのように。
「保護者が一緒ではわからない」
(高威力呪文!?)
 シェルの右腕がぐらぐらと揺れていた。左手を使って抑え込み呪文の反動を強引に制御。そこから上半身をぐるりと回す。ねじって、ねじって、限界まで引き絞り ―― シェルの魔法が始まった。ねじった身体をぐるりと戻し、勢いそのまま虚空に手の平を打ち入れる。
「!」
 《スクラップ・ドラゴン》が悲鳴をあげた。鋼鉄の首が球体状の闇に包まれる。
「さようなら」
 "Magic" "Remove" "Hand-Cost" 小規模のダーク・ホールで龍の首筋を包み込み……そのまま一気に掴み殺る!


 Black Core!!


 突き出した手の平をギュッと握り込んだその瞬間、ギュインという断裂音が雪原に響き渡る。強靭な龍の首、それを囲っていた球体状の闇がゼロまで圧縮。《スクラップ・ドラゴン》の長い首が無残無情に千切れ飛び、頭を失った胴体がズシンと雪原に倒れ込む。

ブラック・コア(通常魔法)
自分の手札を1枚捨てる。フィールド上の表側表示のモンスター1体をゲームから除外する。


(ろくに同調できていない。よくあれで発動を……)
 倒れ込む《スクラップ・ドラゴン》を見送りながらパルムが異変に気付く。対岸に立つシェルは真っ白な息を吐いていた。発動に伴う疲労が早くも身体を蝕む。
(同じ呪文でもミィのそれとはまるで違う……違う、よな)
「障害物はもう消えた。今なら貴方の顔がよく見える」
 妙な迫力に圧されてしまう。来る。もう一度。
「質問カウンターを消費して効果発動」

パルム:4
シェル:6

「決闘者として…… 『貴方が望んでいることは』 」
「煩わしいのが嫌だった。ぼくは純粋でいたかった」
「ジュンスイ?」
「ぼくにも。きみにも。だれにでも。人間事情は色々あるけど……」
 軽く息を吸い込んだ。両脚に力を込めてハッキリと、
「ぼくはぼくの決闘を貫く。こいつらと ―― 」
「 『なんでここに来たの?』 」
「……っ!!!!!!???」
 不意の質問に言葉が消えた。そして同時に吹雪も止んだ。
「改めて質問魔法を発動。 『ならなんでここに来たの?』 」

パルム:4
シェル:5

 ほんの数秒、2人の脳裏を "1回戦突破記念パーティ" が占拠する。パルムの背中に回り、ひたすら肩を揉むティア。遠慮がちに振る舞いつつも、ジリジリと真横からにじり寄るコロナ。そしてもう1人。パルムの右腕を掴み取り、柔らかな胸元で抱きしめるシェル。明日には2回戦が始まるというのに。無意識の内に一歩後退。腐腕の手首をググッと掴む。
「なんでって、それは……ミィに……連れてこられたから」
「中途半端、見つけた」
「……!?」
 次の瞬間、シェルの両手が燦然と輝く。 "Normal" "Magic" "Trap" "Reborn" 死人に口なしされど死体は何かを語る ―― 両の手の平を前方に突き出し、右手からは《黙する死者》を、左手からは《蘇りし魂》を発動。真っ白な雪原がグワッと隆起し、埋葬されていた《岩石の巨兵》×2が大地を砕いて再帰する。

黙する死者(通常魔法)
自分の墓地の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する
(この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できない)


蘇りし魂(永続罠)
自分の墓地の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する(以下略)


岩石の巨兵(1300/2000)
自石の巨人兵。太い腕の攻撃は大地をゆるがす。
[通常] [3] [地] [岩石]


(守備表示が2体! 何をやる!)
 火を吐く龍よりも、月に吠える狼よりも、立ち塞がる岩の方が恐ろしい。そう大きな瞳で訴えながら、ダーク・パープルの正装を鎧に仕立てシェルが征く。
「手札から《馬の骨の対価》を発動!」

馬の骨の対価(通常魔法)
効果モンスター以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
モンスター1体を墓地へ送って発動。デッキからカードを2枚ドローする


(《蘇りし魂》を……緊急退避を捨ててまで戦力を補充。何を使う、何を喚ぶ)
「1体目の《岩石の巨兵》を墓地に送り、デッキからカードを2枚引く。そして、」
 シェルの瞳に殺気が満ちる。するどく尖った右手を伸ばすや、掴み取るは決闘盤。水車型デュエルディスク 決闘掻盤(ストラグル) を手に取ると、
「2体目の《岩石の巨兵》をリリース!」
 投盤と同時に《岩石の巨兵》がバラバラに飛び散る。岩の兵士も、雪の雨も、鉄の龍ももういない。空っぽになったモンスター・ゾーンの真っ只中で水車がグルグル高速スピン! 岩石の破片が水車の中に巻き込まれ、より大きな岩石体へと決闘置換! すなわち、



千年岩人(サウザンド・ゴーレム)上位召喚(アドバンス・サモン)



(どこで拾ったそんなもん!)
 岩である! そして人である! 人の形をした大きな大きな岩の巨人。その頭に耳はない。鼻もない。なんということ口もない。無骨極まる正方形の石頭(キューブ・ヘッド)には1つだけ、千年に渡って監視を続ける異様な単眼だけがある。岩石製のサイクロプスが雪原の上に立っていた。

千年ゴーレム(2000/2200)
千年もの間、財宝を守りつづけてきたゴーレム。
[通常] [6] [地] [岩石]


「貴方は女子が苦手、教えてくれたはずなのに」
 向かい側に立つシェルは水車の回転をジッと見つめていた。決闘盤から岩の巨人が飛び出す一方、召喚を終えた決闘盤はそれなりの勢いで帰還する。
「ん……っ」
  決闘掻盤(ストラグル) をバシッと受け止めるが軽くよろける。OZONEと直結する決闘盤は安心設計。素手でのキャッチを容易にするがいくらかの注意はなおも必要。紫紺の魔法使いはグラグラと前後に揺れていた。無骨な巨人に精神を寄り掛け……すぐさま自立。一気に加速。
「質問魔法を発動!」

パルム:4
シェル:4

「 『守りの手札誘発、その手にあるか!』 」
「このタイミングで駆け引きか。答えは 『YES』 だ。さあどうする」
「バトル ―― フェイズ! 《千年ゴーレム》でダイレクトアタック!」
 千年特有のバトルエフェクトが始まった。ズシンとズシンと重厚な足音を響かせながら雪原を一歩ずつ攻略していく。しかしてその主人、シェル・アリーナの両眼は険しかった。濃紺の瞳に映り込むのは硬い硬い屑鉄の殻。Life Point:8000。ハンド5枚。手札誘発の防波堤。受身も万全……

 ―― 反転世界(あいつ)(コア)を知りたい。

「質問魔法を発動!!」

パルム:4
シェル:3



千 年 剛 拳(サウザンド・ナックル)



「……っ!?」
 なにかが弾ける! 防御不能。受身不可。パルムの身体が無抵抗のまま吹っ飛んだ。岩で固めた無骨な拳が ―― 少年の殻をぶち破る!

パルム:8000⇒6000LP(4⇒3)
シェル:2800LP

(何が起こった!?)
 パルムは雪の絨毯の上を転がっていた。 『パルくん!』 『パルくん!』 とミィが叫んでいるが何が何だかわからない。懸命に思考を巻き直す。
(《千年ゴーレム》、ダイレクトアタック、直前に質問、それで……)
 一瞬の記憶がありありと。あの一瞬、《千年ゴーレム》の直撃に合わせてシェルが質問魔法を発動。ほんの一瞬、釣られたパルムがシェルの様子をうかがう。うかがってしまう。
(揺らされた? ぼくが? あんなことで?)
 手札誘発の発動は任意。そして、何かと何かの間に別の効果処理が挟まればタイミングを逃すのが遊戯王の基本原則。そう、《千年ゴーレム》が殴りかかったあの一瞬、
(シェル。シェル・アリーナ……あいつは……)

 ていうかあんた何歳? 年上から年下に至るまで、シェル・アリーナはそういうようなことを幾度となく聞かれている。なぜか。凹凸のある身体と大人びた雰囲気。そして何より修羅場を好む鋭い視線。美しく長い髪と相まって、近寄りがたい雰囲気を醸す15歳。

「ちゃんと集中しないからゴーズの1つも喚べない」
 言葉の矢が降りそそぐ一方、 "無意識の中から記憶が蘇る" "無意識に身体を起こす" それらの反射はほぼ同時に行われた。前を向いたパルムの瞳に "それ" が映り込み、即座に目を反らしてしまう。言語化不能の羞恥心。身体が燃えるように熱かった。
「なんで目を反らす。覗けばいいじゃない。欲しかったんでしょ?」
 バクバクと高鳴る心臓。身体を締め付ける羞恥。前方に立つ対戦相手を直視することができない。ほんの数秒、パルムの視線を釘付けにしたのは剥き出しになった下半身。薄手のストッキング越しに "それ" をぶつけられ……パルムの瞳が壊される。
(軽くさばけ。そんなことあるものか。なぜ言えない)

 ―― 『私のスカートの中は何色か』

 膝立ちのパルムを蔑むように立っていた。妖しげに揺らめくスカートを腰の上までたくしあげ……ダーク・パープルの妖しい少女、シェル・アリーナがにべもなく言い放つ。
「本当にイヤなことはイヤと言い自分の道を貫く。貴方はそんな強さを持っている。その気になればここに来るのも断れた。興味しんしん局部びんびん、そんなに見たかった?」
「早く……早くスカートを戻すんだ。こんなことは間違っている」
「今大事なのは真実。貴方は何の為にここに来たのか。全てはそこから」
(何の為? ミィに連れてこられ……違う。明日の為に敵情視察を……違う。違う違う違う違う違う違う。ぼくは……ぼくは……)
「純粋でいたい? なら未練が浮かばないよう、カチカチのキンタマを喰い千切って心底不味そうに吐き出してあげようか? そうすればあんたはお好きな決闘に集中できるし、私も恥ずかしい思いをせずに済む。迂闊な交際(デュエル)は余計な混乱(プレミ)を生むだけよ」
 パルムが、コロナが、ティアが、そしてミィが硬直していた。何もかもを凍らせたのは絶対零度の視線。暗く、鋭く、大きな瞳でシェル・アリーナがパルムを見降ろす。
「中途半端はキライ」
 シェルがパッと手を離し、たくし上げたスカートがふわりと戻る。
(ぼくは何をしている。明日は2回戦。油を売ってる暇はない。情報収集が……Team Arenaとは当分当たらない。違う、違う、違う違う違う)
 扉を開かれ、中を荒らされ、火を放たれ、脳内会議室がグチャグチャになっていた。違う違う違う。違う違う違う。違う違う違う違う違う ――

 "プツン" という音がした。

「 『黒』 !」

「……?」
 異変? 激変? 何かが違う。得体の知れない気配をぶつけられ、シェルは持ち前の警戒心を露わにしていた。妙に快活な少年の声が間合いの外から少女を揺らす。
「今……なんて言ったの?」
「質問の答えに決まってるだろ。違うかもしんないけど嘘は付いてない」
 ふらりと立ち上がるが何かが違う。外野のミィさえも何かを言っていた。
「さっさと謝った方がいいよ。 "いつものパルくん" ……通り越してるから」
 何かが違う。何かが。少年の身体からゆらゆらと。デュエルオーラが立ち上る。
「ぼくは純粋でいたかった。自由気ままに引きたかったんだ。だけどさ……決闘ってのは煩わしくて気が散って掻き立てられて、だから楽しくて……だからぼくは大会に出た。ぼくの欠陥が西部中に広まってしまう。それで構わなかった。自分に嘘をつきたくなかった」
「……」 「パルくん……」
「1回戦突破で浮ついていたんだ。そんな中でチヤホヤされるのは嬉しくて、怖かった」
 "怖い" シェルがわずかに眉毛を上げる。止まらない。パルムが徐々に定まっていく。
「大会に出て力の限り闘うのが当面の目標。Team NeoGalaxyのお陰でそれが叶った。……昨日は完全に怠けてたんだ。何があろうと自分の引き様を貫かないといけないのに。こんなんで明日もがんばれるんだろうか。不安を埋めて欲しい、だからここに来た」
「 『ミィに連れてこられたから』。 あれが嘘だと自白する」
「不純異性決闘の罰金。授業料代わりにくれてやる、引けよ」
 シェルはデッキから1枚カードをドロー。そしてそのままバトルフェイズを終了。雪原の上に2枚目3枚目のマジック・トラップをセット。それからぼそりと。
「私が欲しいのは……授業料なんかじゃ ―― 」
 突然、身体が凍り付く。同時に吹雪が降り始める。厳然たる凍気が存在していた。端末世界(ターミナル・ワールド)が生み出す作り物の映像に過ぎない。そう頭ではわかっているのに。身体が凍りつくほどの何かが……何か。背筋が凍るほどの殺気の正体、そんなものは1つだけ。
「 『ならなんでここに来たのか』。 そっちから誘っておいてよくもまあショージキにさぁ。お陰様でいい経験をさせてもらったし、今からやるべきこともようくわかった」
 笑った。パルムがこの決闘中初めての笑みを衆目に晒す。その辺歩いてる不審者曰く、開き直った男子は何より怖い。少しやんちゃな笑顔と共にパルム・アフィニスが牙を剥く。
「シェル・アリーナ! おまえを今からぶっ倒す!」

Turn 11
□パルム
Hand 5
Monster 0
Magic・Trap 0
Counter 3
Life 6000
■シェル
Hand 2
Moster 1(《千年ゴーレム》)
Magic・Trap 3(セット/セット/セット)
Counter 3
Life 2800

「ぼくのデッキは挑戦するデッキ」
 "巻き込まれただけ" "ちょっと気になっただけ" "そうじゃない"
「きみが見抜いた通り、ぼくはスゲー中途半端だ。本当は興味津々なのに」
 決闘中盤、シェルを照らしたサーチライトを思い出す。 "《スクラップ・ドラゴン》はそれを伝えようと?" 誘発効果による単なる偶然。だとしても、
「あの部屋で右往左往してる自分を認めてしまったら、自分が自分でなくなる気がした。……違ったんだ。ぼくはハナから禁欲志向(ストイック)なんかじゃない。遮二無二欲しがってその度にしくじって……ここに来たいからここに来た。きみと闘りたいからきみと闘る。クソみたいに浮かれながら 『次の決闘』 を欲しがってるクソガキが1人。それだけだった」
 自らの腐腕をグッと前に突き出す。武者震いと共に。
「ぼくの向こう側にあるものをバカほど知りたい」
「中途半端なものは虚しいわ。貴方は ―― 」
「ぼくの決闘を見たいんだろ」
「……っ!!」
 決闘者の殺気が大地を揺らす。対岸に立つ少年は一直線に殺気を放っていた。知る為の。闘う為の。そして何より勝つ為の。踏み込んでくる、パルムが。
「きみの正体も見えてきた。中途半端じゃない、そんな決闘を見たがってる」
 指摘を受けたシェルは無意識に半歩後退。その瞳には少年の右手が映り込んでいた。ありったけのオーラが右手からほとばしり……全力全開! 反転抜札(リバーサル・ドロー)が雪原に煌めく。
「ぼくらのターン、ドロー!」
 スタンバイフェイズ。空に浮かんでいる質問兵器Anotherの両腕 ―― サテライト・キャノンからトーク・エナジーをディスクに注入。この時、少年の瞳には先日の決闘風景が重なっていた。西部の壁を突き抜けた【クレイジー・サイコ・デビル】の情景が。
「目を逸らしたくないから大会に出た。だから! 中途半端ではいられない! 質問カウンターを消費して効果を発動! 3枚のセットカード、 『その中身を教えろ!』 」

パルム:3
シェル:4

「大雑把すぎる」
 シェルがいち早く文句を付ける。その質問は 『全て教えろ』 と変わらない。毅然とした態度で撥ね付けるがパルムは全く怯まない。悪戯っぽくニヤリと笑う。
「ああそうだ。そういえばそうだった忘れてた。なら 『右端のセットカードを教えろ!』 」

パルム:2
シェル:4

「……っ! ……セットしたのは《凡人の施し》」
「もう一度効果を発動! 今度は左端のセットを教えろ!」

パルム:1
シェル:4

「……っ!! 対象が違えど同じ質問。そんなものは無効よ!」
「なんてこったいそういやそうだ。全然全く1ミリたりとも気付かなかった」
「さっきから乱暴な質問ばかり。なんのつもり?」
「リクエストに答えた上でぶっ倒す。なら余裕ぶっこいてる場合じゃない」
 パルムが睨む。あらん限りの眼力を込めてシェルを睨む。それから円盤型の 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) を右手で掴むと振りかぶる。全てを薙ぎ払うほどの勢いで ――
「質問魔法を発動!」
 パルムではない。堪らず口を出したのはシェル。 「……っ」 自らの発言に戸惑うも一度なされた発動は絶対。5秒ほど考えてから質問を、
「貴方のプロフィールを教えて、詳細に」 
 パルムの回答は早かった。
「ぼくの名前はパルム・アフィニス。決闘を始めたのは10歳。初めて入手したレアカードは《幻凰鳥−トリック・トランス・トルネード》。当時の主力は、両親からもらったスクラップ・モンスター……プロフィールを聞くのは勿体ないんじゃなかったのか」
「……もっと詳しく。それでは何も」
「ハナからそのつもりだ!」 「!?」
「ぼくの専門はモンスター。具体的な得意分野は列挙した方が手っ取り早い。《スクラップ・ドラゴン》を筆頭として破壊効果は基本中の基本。今更言うまでもないけれどそれだけお世話になっている。えーっと、それから……いわゆる十八番と言えるのは、相手のパワーを逆手に取るビッグアイやアトモスフィアだが、使えるものはなんだって使っていく。秘密兵器をガンガン仕込めるのがぼくのデッキだ。奪取や吸収の他にも除外や補給……《カオス・ソーサラー》や《ラヴァルバル・チェイン》は何かと重宝するし……ああそうだ。最近は《ギガンテス》を突っ込ませるのチョー楽しい。他には……そうだな。バウンスは前に試したけどぼくのデッキにはイマイチ……ああでもバードマンは面白い。出して戻して何かと便利でジェネコン同様あいつも喚べる……時間稼ぎに付き合うのはこれぐらいでいい? なんならもっと話そうか」
 気力みなぎるパルムに対しシェルの目元がググッと歪む。対照的な2人を見比べながら、ミィは気づき始めていた。ここからの決闘、その意味に。
「パルくんが元気に(おかしく)なってる。シェルをぐちゃぐちゃにする気だ」
「ぼくらの【反転世界(リバーサル・ワールド)】で、今度はきみをひっくり返す。さぁいくぞ!」
  決闘集盤(ウエスト・ピッカー) から3つの光が溢れ出す。大の字を描く5つのモンスター・ゾーンの内から3つが発光。一瞬、プレートに映り込む《カードガンナー》、《スポーア》、《THE トリッキー》。自作の愛機を右手で掴むとパルムが回る。
「探る決闘なんかもうやめだ。ぶつけてこい!」
 小さな身体を大きく使いダイナミックにブン投げた。回転する 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) が雪原を斬り裂き、白銀の大地が激しく振動……土の柱が隆起する。それだけではない。二つの風が巻き付き決闘交差。舞い上がる砂塵の中から古参の魔精が現れる。



デザート・ツイスター、特殊召喚(スペシャル・サモン)



  "地属性の肉体" "風属性の竜巻" 砂塵の魔精が吹雪さえも斬り刻む。

デザート・ツイスター(2300/2000)
通常召喚できない。自分の墓地の風属性2体と地属性1体を除外する事でのみ特殊召喚できる。
手札を1枚捨てる事でフィールド上のマジック・トラップ1枚を破壊する(1ターンに1度しか使用できない)。
[特殊] [6] [風] [悪魔]


「《ツイスター》をコストに《デザート・ツイスター》の効果発動。さっき教えてくれた《凡人の施し》……でもなく、さっきから置きっぱなしで牽制に使っていたカード……でもなく、真ん中の防御札を狙う!」
「鵜呑みにして良いの? 私が嘘を付いてるかも」
「それはない!」 「!」 「西部五店長アブソル・クロークス曰く、トークデュエルは単なる質問大会じゃない。ぶつけ合いの中で直に本質を知り合える。シェル、きみは嘘を見抜くのがホントに上手い。なのにきみは……嘘を付くのが下手すぎる!」
「……っ!!!!」
「一事が万事率直すぎる。バカが付くほど正直者だ!」
 シェルの急所を穿つべく砂塵の魔精が飛び立った。風を操り空高くまで跳ね上がる。
「ぼくの決闘を見たいんだろ。ぼくの決闘は……いつだってモンスター(こいつら)と共にある!」

 TCGの 『風』 は2つの側面を持っている。1つはバウンス。風で煽って跳ね返す技ありの効果。そして、もう1つはマジック・トラップゾーンへの干渉。風を直接叩き込み、小細工を吹きばす力の効果。何を隠そう、《デザート・ツイスター》は力の風で押し通る。

「吹っ飛ばせ! パーフェクト・ツイスター!」
 定点爆撃が始まった。砂塵の魔精が竜巻そのものへと吹き変わり、遥か上空からミサイルのように降り注ぐ。重力を味方にぐいぐい加速。あと1メートルで竜巻が、

「モンスターとの絆、それが貴方のみなもと」 「!!」

 突如、シェルから揺らぎが消える。代わりに、ダーク・パープルのスカートが前後にバサバサと揺れていた。パルムによって喚ばれた風が現実さながらデュエルフィールドを掻き混ぜる。そう、今まさに、吹き荒れる決闘風を味わいながら、
「勝利を喚ぶ本物の風、私はそれを待っていた」
 シェル・アリーナが構えに入る。決戦の構図は地対空。大空からは竜巻の槍が降り注ぐ一方、大地の上では剥き出しの闘志が満ちていた。挑発でもなく、非難でもなく、ありったけの闘志と共にシェル・アリーナが身体をねじる。
(あの眼はなんだ。あの娘は何を見ている)
 異様な光景が広がっていた。女子の可動範囲を度外視した異様な捻転。ガニ股になるほど両脚を広げ、骨が軋むほど腹部を捻転! 右腕を大きく振りかぶり ―― 少女が吠える!
「私は、それを待っていたっっ!」
 必殺の右手が弧を描く。ねじり込まれた腰部をぐるりと回し右手を薙いだその瞬間、三日月状の次元波が指から飛んだ。竜巻を斬り裂き、吹雪を斬り裂き、《デザート・ツイスター》を真っ二つ。空間さえも一気に斬り裂き、次元の裂け目に砂塵を吸い込む。すなわち、
「《因果切断》!!」
 シェルが右手を握り込んだ瞬間、パックリと開いた空間がギュインと閉じる。過去も、現在(いま)も、俗世の因果をぶった斬る必殺の高等呪文(ハンドコストスペル)。《因果切断》が何もかもをぶった斬る。

因果切断(通常罠)
手札を1枚捨てて発動⇒相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を除外する(この効果によって除外したモンスターと同名のカードが相手の墓地に存在する場合、その同名カードを全て除外する)


「パルくんの《デザート・ツイスター》が!」
「シェルのデッキは 『解決力』 重視」
 空を仰いでコロナがつぶやく。哀しげであり、悔しげでもある表情で。
「逆流に激流をぶつけるのがシェルのやり方。二束三文のカードを掻き集めて、ああいうのを無理矢理ぶつける無茶な構築。ホントに不器用で……ああでもしないと発動しないから」

 因果切断で雲散霧消。風のやんだフィールド上ではシェルが呼吸を整えていた。ゆっくり。ゆっくり。ねじり過ぎた腹部を右手で抑えながら。
「私が止めた? 本当に?」
 小声で偏執狂的につぶやくと、パルムに向かって声を出す。
「半端な関係なら、半端な想いなら、あっけないほど簡単に断ち切れてしまう。貴方と決闘の間にある、腐れ縁の強さは ―― 」

 !!!?

 シェルの肢体を風刃が斬り裂く。不測の事態に狼狽するが、それ自体は白昼の錯覚。両腕もある。両脚もある。しかし少女は事実に気づく。《因果切断》と刺し違え、道を残した《デザート・ツイスター》の生き様に。存在が消えても軌跡は残る。目の前の雪原を確認すると、雪という雪が残風によってえぐられていた。そしてその先にはやつが立つ。
「簡単に……思うなよ……」
 無骨に生きた16年。櫛を入れない無造作な髪。ユニオンで買った安い服。パルムの身体からありったけ。剥き身のデュエルオーラがほとばしる。

―― こいつの第一印象は良くなかった

―― みんながくたばってから出るのが気に食わない

―― 1体復活させる為にもう1体除外するのも気に喰わない

(幻凰鳥をミィに渡したのは何の為だ。今更 "おまえ" をデッキに入れたのは何の為だ)

幻凰鳥 ― トリック・トランス・トルネード(100/2100)
自分の墓地に同名のトラップが2枚以上存在しない場合、裏向きにして5種類除外することで特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚に成功した場合、裏向きで除外されたトラップの中から1枚を自分フィールド上にセットする。
自分の手札・墓地から「幻凰鳥−トリック・トランス・トルネード」を3枚除外⇒デッキからマジック1枚を手札に加える。
[特殊] [5] [風] [鳥獣]


「ぼくらのデッキ、簡単に断ち斬れると思うな!」
 メインフェイズ続行! 手札から1枚のカード・ユニットを取り出すと、 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) の中心部に勢い良くディスク・イン! アーンド、サモンスタンバイOK!
「なんなの? その決闘盤……」
「決闘規約はクリアしている!」
 円盤型デュエルディスク 決闘孤盤(ソリタリオ) を基盤に据えたパルムの創作。生物偏重型のギミック・デュエルディスク 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) が雄々しく発光。中心から五方向に光が走る。
(幻凰鳥に挫折した現実……半端に似てるのが怖かった。上塗りされるのが怖かった。認めたくないから目を反らす。そんなんじゃ全てが嘘になる)
  決闘集盤(ウエスト・ピッカー) には "ささやかな" ギミックが仕掛けられていた。オフィシャルの決闘規約を上から下まで読み尽くし、西部の決闘機関にも確認完了 ―― 『何の意味があるのか全くわからないが、特に違反じゃないので構わない』。 試行錯誤を繰り返し遂に完成!
「中心から五方向への光。それに一体何の意味が」
「特に、

 意味は、

 ないっっっ!!!!」
 決闘の進行上、なんの意味もないギミックがパワフル&メカニカルに起動する。ある種のモンスター・カードを墓地の天辺に "仮置き" するや、5つのゾーンが煌めき、そして、
「闇属性が5体と……ぼくの場が 『空なこと』 を条件に召喚可能。……きみのおかげだ」
「私の《因果切断》を……《デザート・ツイスター》が逝くのを読んで……?」
「中途半端が嫌いなきみなら……《デモンズ・チェーン》は有り得ない!」
 決闘盤を右手で持つと身体を捻る。その際、コロナとティアが瞳に映る。
「ぼくの召喚を見たいんだろ。ぼくが喚びたいのは……」
 小さな身体を大きく使いパルムが召喚を開始した。シェルの闘技場(アリーナ)に土足で踏み入り《千年ゴーレム》を倒すべく。 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) を投げ入れる!
「ぼくが欲しいのは創造(みらい)だ!」

 雪原が爆発した。

 雪が! 土が! 勢いよくあたりに飛び散り、巨大な構築物が大地の下から迫り上がる。そう! それは人型の巨人! オレンジ色のゴーグル・アイがまばゆく光り、黒鉄の創雷巨人が名乗りをあげる!



ダーク・クリエイター、特殊召喚(スペシャル・サモン)



「かっこいいだろ、こいつらが!」
 荒れ狂う猛吹雪の中、黒鉄の巨人は圧倒的な存在感を放っていた。オレンジ色の翼は飛ぶ為に非ず。アビスパネルによる闇力発電。命の発電施設が唸りを上げる。

ダーク・クリエイター(2300/3000)
1ターンに1度、自分の墓地の闇属性モンスター1体を除外する事で、
自分の墓地の闇属性モンスター1体を選択して特殊召喚する。
[特殊] [8] [闇] [雷]


「貴方の歴史上では新しいカード、それで貴方を見せるというの?」
「ぼくはすぐ "大丈夫" と言いたくなる。 本当は創造し(かわり)たいのに。 "今のままでいい" "ぼくは変わらない" って守りに入ってしまう。それじゃあぼくの地層が嘘になる」
 パルム・アフィニス曰く 『決闘は地層のぶつけ合い』。 黒鉄の創雷巨人《ダーク・クリエイター》はそれを誰よりも知っていた。埋もれてしまった地層を蘇らせる一方、もう1つの地層を遙か彼方へと終わらせる。その覚悟は残酷にして崇高。地層を受け継ぐ者、《ダーク・クリエイター》はそれを誰よりも知っていた。
「こいつはうちの地層をわかってくれる。効果発動。ダーク・オルタナティブ!」
 墓地主催の錬闇術(れんあんじゅつ)が始まった。墓地に堆積していたギガサイバーを闇エネルギーへと決闘置換! ウイング型のアビスパネルで創電決行! あいつが墓地からやってくる!
「剥き身の男子力を魅せてやる! 来い!」

 デカイ!

 カタイ!

 クロイ!

 巨大で、真っ黒な、鉄の塊が持ち上がり、

 ぐわんぐわんと真冬の大地を震わせる。

 真っ白な雪原がズシンと減り込み、

 黒鉄の巨人が聳え立つ!



レアル・ジェネクス・クロキシアン、

特殊召喚(スペシャル・サモン)




 嗚呼なんと! 黒鉄の巨人はもう1種類存在していた。《ダーク・クリエイター》に匹敵する質量を持った黒鉄の機関巨人。脚は太く、腕も太く、重量級のボディはそれでも機動力を失わない。その証拠は胸部にあった。機関車を模した装甲こそが、今なお走り続ける動かぬ証拠。蒸気を吹かす暴走機関 ―― 《レアル・ジェネクス・クロキシアン》が吹雪さえも雄々しくはじき、2つの巨人が聳え立つ!

レアル・ジェネクス・クロキシアン(2500/2000)
「ジェネクス」と名のついたチューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上
シンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のレベルが一番高いモンスター1体のコントロールを得る。
[同調] [9] [闇] [機械]


 シェルがブラウスの布をギュギュッと掴む。少女の前に立ち塞がるのは、左右に立ち並ぶ2体の巨人。そして! 真ん中に立つのは16歳の少年か。
「さっきのお礼だ。きみの中身を引きずり出してぶっ叩く」
「質問するならすればいい。私は答えきってみせる」
「今回で1つわかった。いちいち質問するなんて面倒臭い」
「!? 自分で提案しておいて。今更なにを」
「ええい面倒! ここからは 『断言』 だ!」
 ふざけたことを言い出した。ああもう質問するの面倒臭い。誰だこんなルールを提案したのはぼくじゃないかまあいいや。Another? 知るか。パルム・アフィニスが攻め立てる。
「きみと違ってぼくは決闘で読み取る。まず1つ」
 断言。自軍の《千年ゴーレム》に指を差す。
「きみは……2000打点より上を投げられない!」
 図星。虚を突かれるやシェルがたじろぐ。
「低速型でぼくのデッキと張り合うだけの出力。デッキの大半を軽くて投げやすい通常モンスターにして、いくつかの強力な呪文をぶつけていく。その為にきみは無理をしている」
 条件反射で一歩後退。にわかに心臓が高鳴り始める。
「1発1発、全身を使って発動するのは……そうしないとデュエルオーブが光らないから。《ブラック・コア》に《因果切断》。バイソンやゼクト並の威力で超イカしてるけど……未熟なきみが人力(じんりき)でやろうと思えば、デッキにも身体にも大きな負担がかかる」
「たかだか10ターン程度で。私が知るよりも早く?」
「本来、きみが《因果切断》を使った後は、呪文の連発に備えて可及的速やかにコンディションを整える必要があった。なのにきみはそうしなかった」
 シェルの背中に寒気が走る。長袖のブラウスも、両脚のストッキングも役には立たない。現実と化した吹雪に煽られ足下が雪で重くなる。
「きみがそうしなかったのは、そうする必要がないからだ。残るセットカードは2枚。その内1枚は《凡人の施し》。そんでもう1枚は……ぼくらを倒せるカードじゃない!」
 左端にセットしていたカードは《補充要員》。言葉の衝撃波にシェルがよろめく一方、外野のコロナは気づき始めていた。その意味、その価値、その決闘。
「コレがパルムくんの決闘。シェルと闘う上で一番大事なポイントを見抜いて、最高のタイミングで最高のモンスターを召喚する。パルムくんにはそれができる」
「ぱるぱるが喚んでくれた。あたしたちに教えてくれてるんだ」
「ナイトメア・シャークをあんな風に? そうしろって言ってるの?」
 出し惜しみのない怒濤の決闘。唯一点に狙いを定め、一直線に突っ走る。
「ぼくは負けない。きみが何を質問しようと全部答えきってそのまま勝つ!」

 Battle Phase!

 開戦の瞬間、シェルの瞳には前進を始める巨人の姿が映っていた。来る。黒鉄の創雷巨人《ダーク・クリエイター》が雪原を踏みしめやってくる。 
「本当の貴方がそこにいるなら。いって、《千年ゴーレム》!」
 巨躯を持って立ち塞がるのは岩石の単眼巨人。鬩ぎ合いは熾烈を極めていた。鉄の巨人と岩の巨人が雪原の上で向かい合い、両手を伸ばして互いに指を絡ませる。
 がっぷり四つの力比べが始まった。
「トークワールドの効果発動。そのデッキが貴方の答えか」

パルム:0
シェル:2

「1枚1枚向かい合ってきた。ぼくの現実(デッキ)はここにある!」
 パルムのカードはシェルを遙かに凌駕する。黒鉄の創雷巨人《ダーク・クリエイター》が両腕で押し込む恐怖の時間。……残像が映る。シェルの瞳にうっすらと。

 真っ黒な両腕を突き出した、戦士族の残像が。

「効果発動! デッキのカードは変わっていく! それが!」

パルム:0
シェル:1

「変わらない! 変わっていってもぼくのデッキだ!」
「雪原の足跡は上書きされて消える。なのに貴方は!」

パルム:0
シェル:0

「いつだっていつかは別れるんだ。それでも……思い出は残る!」
 響き渡る断裂音。《ダーク・クリエイター》が膂力を振り絞り、《千年ゴーレム》の両腕が千切られる。それだけは終わらない。《ダーク・クリエイター》の生き様は残酷にして崇高。オレンジ色の両眼が燦然と輝き、トドメのサンダー・ビームを発射する。
「《千年ゴーレム》!」
 シェルの悲鳴も虚しく超高温の熱光線が異形の単眼を貫いていく。完全なる粉砕。職歴千年の用心棒を失いがら空きの胴を晒すシェル。
「これが本当の……決闘者の 『力』 ……」
「最後の質問効果を発動。きみは嘘を好まないが本当のことも言ってない。ぼくの話を聞きたがるなら、その奥にはきっと何かがあるはずだ」
 パルムの追求は終わらない。何かが来る。もう1つの脅威が異様な速度でやってくる。それもまた巨人であった。脚は太く、腕も太く、重量級のボディはそれでも機動力を失わない。蒸気(ブースト)を吹かして接近を果たし、黒鉄の機関巨人が猛威を振るう。
 核心を貫く言葉と共に。
「 『きみの目的は何か』 」

 ―― 決闘者(おねえちゃん)(コア)を知りたい

 《レアル・ジェネクス・クロキシアン》が殴りかかったその刹那、少女の瞳には別種の巨人が映り込んでいた。身体は深黒。種族は戦士。百戦錬磨を地で行く闘技場(アリーナ)の申し子、《ギガンテック・ファイター》が視界を塞ぐ。
決闘者(おねえちゃん)……」
 必殺の黒腕(ブラック・アームズ)が眼前に迫るが、少女の時間は死んだように凍り付いていた。小刻みに揺れる身体。狂ったように鳴り響く心臓。何もできない。何も……。ガクガクと震えるシェルの目の前、黒い腕の暴力装置が加速した。ハンマーと化した右腕を振り上げ、
「レイジング・アーム・インパクト!」

 大きな音が、鳴った。



【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
読了有り難うございました。ちょろっとはみ出して、1話分にならなかったので続きます
↓匿名でもOK/「読んだ」「面白かった」等、一言からでも、こちらには狂喜乱舞する準備が出来ております。


□前話 □表紙 □次話











































































































































































































































































































































































































































































































































































































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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