「デオシュタイン。帰ってきてそうそうだが1つ聞きたい」
 そこは世界の中心部。巨大な電柱のように聳え立つ大きな岩の頂上で、中央十傑の1人がデオシュタインに聞いた。 「世界のどこかで、極めて厚かましい決闘が弾けたように思えるが」
「知リ合イダ」
 ボルト仕掛けの抜札神器は確かに聞き取っていた。世界の西側にて、世界に喧嘩を売った決闘の新たな萌芽を。 「西ノ方角デ "時" ガ動イタ。激突ノ中カラ 我々ヲ倒ス者ガ生マレルカモシレン」
「それはいい。それでこそ僕らは闘える」

ゼクト&バイソン:12600⇒0LP
リード&ラウンド:1100LP

 激流が西部に雪崩れ込む。背後にそびえる透明な壁さえ飛び越え決闘(デュエル)がバースト。ほとばしるエナジーが四方八方に飛び散った瞬間、全てがゆっくりになったように感じられた。過ぎ去る筈の時間が抑え込まれたかのようにゆっくりと。抑えて、抑えて、凝縮された時間が一気に解き放たれ……
 リードが右腕を突き上げる。
「いよぉっしゃああああああああああ!」
 誰よりも大きな声が一帯に響きわたる。
 腕を突き出し胸を反り上げリード・ホッパーの魂がフィールド上で爆発した。
『夜の激戦、遂に決着! 勝ったのはTeam FULLBURST!』
 オーロラビジョンにVictoryの文字が浮かんだ瞬間、観客達が一斉に声を振り絞る。最後まで帰らなかった奇特な連中が思い思いに声を上げる中、
「相棒……」 ドレッドヘアの黒魔術師が沈黙していた。静かに現実を受け入れると、激流に呑み込まれた相棒の安否を確認する。
 ゼクトは哀しげに微笑んでいた。
「私を超えていったか。美しい決闘だった」

「やったぜ! 勝ったぞ! おれたちが勝ったんだ!」
 リードが走るひた走る。突っ込んだ先にはラウがいた。 「勝ったぞ! ラウ!」 射程距離に入った瞬間、あらん限りの余力を込めてリードが飛びつく。瞬間、ラウは鋭利なバックステップでひらりと躱し、行き場を失ったリードの両手が虚空を彷徨う。このままでは……自爆……
 アフターケアは万全だった。後ろに退がったラウがアッパー気味に平手を放ちリードの右手に無理矢理ハイタッチ。パチンという音をフィールドに響かせ、崩れた体勢を立て直す。
「男に抱きつかれる趣味はない」
 バッサリと切り捨てられるがリードは気にしなかった。
 無意味に右腕をグルグル回すと全身で喜びを表現する。
「……ったく、おめえはよぉっ! ま、それはそれでいいけどよ!」
「そう思うなら後ろの連中のところにいってこい。おれよりは気の利いたリアクションをしてくれる」
「おうっ! そんじゃいってくるぜ。鉄は熱いうちに打てってな!」
 その場でリードがくるりと反転。帰還を心待ちするチームメイトのもとへ全力ダッシュ……ラウが突然呼び止める。 「ちょっと待て。確認したいことがある」
「……なんだ?」
「《女神の加護》 は《サイコ・チャージ》で引いたのか」
「早めにチャージしといた方が良かったか? そうすりゃ……」
「それは構わん。聞きたいのはもうひとつの方だ。《エンシェント・ホーリー・ワイバーン》が向かってきた時、なぜ《ブレインハザード》でブロックしなかった。その気になればどうにかなった筈だ」
 ラウからの指摘を受けて振り向くと、リードの表情が試合中のそれに変わっていた。
 数秒考えてから答えを告げる。
「うまくいかない気がしたんだよ、あの瞬間」
「《エフェクト・ヴェーラー》を読んでいたのか」
「全く気づかなかった。 『え、マジ、そんなのあんの』 って思った」
「……? セットカードはあらかじめ潰した。警戒するなら手札誘発ぐらいのもの。なら、前にミツルが使った《バトルフェーダー》を読んでカードを温存……」
「デッキの性質上そういうカードは積まない。《ガード・ブロック》と違って手札が減っちまう」
「おまえの考えがまるでわからん。なら何を警戒してたんだ」
「おれはゼクトを警戒してた」
「?? 何を言ってるんだ、おまえは」
「なんだかよくわからんがあん時のゼクトは半端なかった。だからさ。あそこで単なるブロックに《ブレインハザード》を使ったら負けちまう気がしたんだ。とにかく理屈で説明するとそういうことになる」
「それを理屈と言い張るおまえの神経がおれには信じられない」
「なんか……すまん。まあ、反省会は後でやるから……なっ」
「ああ、いってこい」
 投げやり気味に送り出すと視線を落として溜息を付く。ああだこうだ雑多な思考を巡らし、いくつか諦めて顔を上げるが、当のリードは未だ目の前に立っていた。
「なんだ。早く向こうにいってこい」
 適当にあしらおうとしたが、リードの表情は真剣だった。
「半端に守ったら勝てない気がした。最後まで胸を張って闘えたのは、おまえがビームをぶっ放して……全力で追っかけてくれたからだ。礼を言っていいか?」
「必要ないな。パートナーとして当然の仕事をしただけだ」
「そんならあれだ。崖の上ツアーその他諸々は当然か?」
「当然と言うには手がかかり過ぎる」
「ありがとよ!」
 それだけ言うとリードは勢い良くベンチに向かって駆け出した。その後ろ姿をポカンと一通り眺めると、ラウは夜空を仰ぎ見る。
「10年を受け継ぎ10年を投げ飛ばす。なんなら両方やっていい……か。腹立たしいほどあいつらしいが、あまりにらしくて腹も立たん」
 そのまま観客席に首を曲げると、燃え盛る決闘集団Team FrameGearを視界に入れる。ターゲットはその1人。寡黙な葬儀屋チェネーレ・スラストーニがそこにいた。
(腹立たしい奴らと決着をつける。おれのことなど正味どうでもいいかもしれんが、この際知ったことではない。嫌でもおれの喧嘩を買ってもらう)

「リード!」 「リードさん!」
「勝ったぞ! 流石は俺だろ!」
「流石かどうかはともかく最高だった」
「流石かどうかはわかりませんが! 最高!」
「テイルの影響受けやがって! 教育に悪いんだよあいつは!」
 パルム・ミィに出迎えられるとリードのテンションがぐぐっと上がる。2人の頭をぐしゃぐしゃ揺らすと、なんだかよくわからないポーズを続けて決める。それを見ながらパルムが言った。
「なんでもかんでもやってみる。だから、一気に駆け上がろう」

 ベンチが沸き上がる一方、選手と観客を隔てる為の金網が赤く染まっていた。染めたのはTeam Arenaのエース、アリア・アリーナ。 "元" 決闘仮面が血まみれの手で解答を受け取っていた。周囲から顰蹙をドローされるが本人の耳には聞こえていない。
「混じろうとして、広がろうとして、新しい(デッキ)を開きたがっていた。決闘者が駆け抜けることで完成する道がある。それをあいつらが教えてくれた」
 指先に力を込めると血が滲む。金網が切断されるほどの膂力が自然と籠るが 「うぎゃ」 鞭状の何かでケツを叩かれる。 「テイル、いきなり何するの? 今のって尻尾?」
「会場の備品を壊すんじゃねえよ」 「はえ?」
 キョトンとするアリアの前方ではリードがベンチでみなぎっていた。両手を大きく広げてパルム・ミィとハイタッチを交わしていくが、それを見たアリアがふと気づく。
「そんなことよりハイタッチ……いいの?」
「おれはなんもしてないからな」
「ラウンドくんとのトレード中に世間話したの。『何かと世話を焼いてくれる』って言ってた」
「焼くゲームじゃなくて引くゲームだ。おれはなんもしてない」
「勝ったぜ!」 「テイル!」 「テイルさん!」
 喜色満面の3人が駆け寄るのを見て取ると、テイルが金網の前から颯爽と飛び出した。フロントステップからミィと1回、サイドステップからパルムで2回、ターンステップからリードと3回ハイタッチ。
「やるんじゃん」
 呆れるアリアを尻目に4人でワイワイ盛り上がる。一通りドンチャン騒いだところで、リードがアリアを視界に入れる。 「懐かしい顔がいたもんだ。1年ぶりか。あんたも大会に?」
「おめでとう。見事な踏み倒しっぷりだったよ」
 金網から手を出し握手を交わすと、互いの健闘を祈って離散。
 なにやら嬉しそうにするアリアだったが、テイルが呆れ気味に水を差す。
「なにが見事なもんか。全部ギリギリじゃねーか。デビフラ1枚に依存しなくなったのはまあ偉い。逆境に弱いのを反省したのもまあ偉い。しかしだ。なんであいつはハイリスク・ハイリターンを反省しないんだ。 "付き合わされるおれの身にもなってみろ" ってラウ先生も……っておい」
 テイルが思わず目を細める。
 アリアの身体からはぎょっとするほどの闘気が漏れ出していた。
「血がたぎってるの。決闘がしたい。今すぐにでも決闘がしたい」
「コテコテの戦士族使いはこれだから。戦うことしか知らないんだ」
「悔しいの。あいつらに先を越されて、決闘してると悔しいことがあるって思い出せたから、だから……あ、テイル、ハンカチ貸して。手から血が出てるっていうか拭いた方がいいっぽいんだけど」
「うるせえバーカ転んで死ね! そんなんだから妹に愛想を……げっ」
 ハッとしたテイルが振り向くとそこにはアリーナ家の3人娘が立っていた。気まずそうに口をつぐむとアリアもようやくハッとする。血の付いた手の平を後ろに回しコロ・ シェル・ティアを出迎えた。
「おねえちゃん、向こうにいないと思ったらこんなとこにいたんだ」
 ハチマキ代わりの青いヘアバンドがトレードマーク。アリーナ家の元気な次女、コロナ・アリーナが平板な口調で言った。手の平の血には敢えて言及せず、一定の距離感を保とうとする。
「今日はこれからどうする? 一緒に……帰る?」
 ほんの一瞬2人の間に緊張が走る。察したテイルは何もしなかった。極めて自然に目を逸らし 「うげ」 露骨に顔をしかめる。逸らした先にいたのは陰気な三女、シェル・アリーナ。
「 "久しぶり" 」
 パープルフレームの眼鏡から刺すような瞳が覗いていた。
「なんで試合に出ないの?」
「姉とおんなじことを聞くんだな」
 テイルの視界に映る少女は、若干15才とは思えないほど辛辣な瞳を広げていた。胸元が少し膨らんだ白いブラウスに紫色のスカート。鋭く大きい2つの眼が容赦なくテイルを追い詰める。
「私のご機嫌取ってるつもり?」
「睨むなよ。チーム事情だよチーム事情。期待でもしてたのか?」
 適当におどけるテイルだが、シェルは無言でじっと見る。軽く顎を動かしかすかに、しかしはっきりとうなずいた。返す言葉に詰まった結果、尻尾野郎は即座にふざける。
「あんま期待に胸を膨らませるともっとでかくなっちまうぞ」
「……」
 シェルの瞳は鋭く大きい。言ったそばからじっとりと睨まれしばし沈黙。太陽光線を虫眼鏡で集めたかのような、身を焦がすような視線を受け続け、先に音を上げたのはテイルだった。
「悪かったよ。明後日には出番も回ってくる。それでいいだろ」

「……」 「……」 「……」 「……」

「コロちゃんシェルちゃんおねえちゃん! 行こっ! お腹空いた!」
 2列に緊張が走る中、救いの手となったのは陽気な四女。髪の左側をサイドテールにした14才。ティア・アリーナがちょこまか動いて急き立てる。無邪気な勢いが功を奏したのか、なにやら有耶無耶になって4人が集合。一家を代表してアリアが言った。
「じゃあねテイル。またここで」
「あんま入れ込みすぎんなよ……ったく」
 アリアが3人娘を引き連れて帰っていく。赤いパーカーに黒いレギンス。両刃剣型デュエルディスク 決闘戦盤(アームズ) を構える赤い瞳の決闘者。アリア・アリーナが揺らぎながらも明日へと向かう。



Team Arena!



 クイラスタジアムを囲む四龍の一角。南側のドラゴンヘッドの上に人らしき何かが立っていた。濃さと淡さが入れ替わり立ち替わり浮き上がる不可思議の住人。両脚を閉じ、両手を広げて龍の上に立っていた。 「ぼくは100年待ったんだ。10年で決算が出るなら恵まれている」
 左腕に取り付けているのは巨大な手の平。パーム型デュエルディスク 決闘掌盤(クロークス)。 指を揃えたつぼみの状態で収納しつつも、花開く瞬間を今か今かと待っている。
「西部がようやく熟してきた。食べたり食べられたり。楽しみだ」
 Team BigEater、アブソル・クロークスが高台から西部を睥睨する。
 『吸収』 店長の背後には3人のデュエルモンスターが立っていた。
「正義……名誉……バルウウウウウウウウウウウトオオオオオオン!」
 黄金の盾剣型デュエルディスク 決闘騎盤(カオス・ブレード) を握りしめながら吠える者。カードショップ 『ハンドレッドハンズ』 の来店者が1人、狂龍騎士サイコマンドックが夜空に吠える。そして、
「モウ ダレモ オレヲ コワサナイ オレハ世界ニ結合シタ……」
 龍の背びれを思わせるモヒカンヘッド。
 機鋼龍《サイバー・ドラゴン》をその手に、狂結のサイコチャンドラが昂ぶる。さらに、
「我ハ無迷。我ハ無謬 我ガ アンティーク・ギア ニ 迷イナド……アル筈ガ ナイ!」
 禿頭の破戒僧。自慢のアンティーク・ギアをさらなる強化。
 狂信のサイコゴードンが古式決闘のポーズを極める。
「正義!」 「結合!」 「確信!」
 三狂士が荒ぶり狂う中、夜風涼しげにアブソルが呟く。
「人は誰しも小さな部屋を持っている。開けばいいんだ、全てを」
 吸収店長の全身からは禍々しいほどのオーラが漏れていた。 「さあ行こう、ぼくらの本拠地へ」 全てを呑み込む怪物、アブソル・クロークスが動き出す。



Team BigEater!



「魅洲斗芭麗に風が吹いている」
 アブソルの向かい側。北側のドラゴンヘッドには優男が立っていた。目に優しい緑の髪に薄い薄い黄の瞳。年齢にそぐわぬ童顔を浮かべた、華奢な身体の決闘者。
「フェリックスさんには残念だが、良い決闘だった」
 ショート・ブレード型デュエルディスク 決闘風盤(フーガ)決闘雷盤(サンガ) を両腕に装着し、それらと印象を重ねるように長いもみあげを垂らした決闘者。ライアル・スプリットが相棒に促す。
「ジャムナード、君が学べる部分も多かった筈だ」
「俺は俺の決闘をするだけだ」
 褐色の豪傑ジャムナード・アックスがにべもなく言い返す。全長2メートルオーバーの両刃斧型デュエルディスク 決闘斧盤(グレイトアックス) をかたわらに、強固な自我を確立させていた。
「試合観戦の有効性を説くなら "あいつら" はどうした」
「君の目は節穴かジャムナード。電柱兄妹ならあそこにいる」
 ライアルが 決闘風盤(フーガ)決闘雷盤(サンガ) を西と東に向けると、そこには2人の男女が立っていた。西側のドラゴンヘッドには電柱兄妹の兄が、東側のドラゴンヘッドには電柱兄妹の妹が。共に両腕を真横に広げ電柱オブキングダムアースのポーズを取っていた。呼応するようにライアルも魅洲斗芭麗特有の構えを取り、デュエルフィールドを睥睨する。
「フェリックスさん、私は貴方ほど強く生きていない。しかし……」
 ドラゴンヘッドの上からふわりと飛んだ。空中で縦に一回転、勢いそのまま観客席の上段に。魅洲斗芭麗に風が吹く。 「電柱兄妹と合流する。行くぞ、ジャムナード」



Team MistValley!



 観客席が燃えていた。火に火を掛ける炎の集団が燃えていた。
「来るか! 新しい時代!」
 薪を焚べるのは赤い髪の決闘女傑。
 『火打』 店長ファロ・メエラ(本人曰く20代後半)が燃え盛る。
「光と闇をうんたらかんたらとは考えたもんさ。ただあいつらは肝心なことをわかっちゃいない。そうさ! 火属性を超えた炎属性こそ……TCG最強ってことをね!」
 ファロが後ろを振り返り、愛弟子達に発破を掛ける。
「こういう時代には激突が付きもの。おまえら! 遅れを取るんじゃないよ!」
「ヴォォルカッカ! こいつはお祭りだ。それなら俺達の独壇場!」
 名乗りをあげるのは陽気な花火師。垂直に伸びる怒髪に加え、オレンジ色のつなぎが目を惹く特攻隊長。エルチオーネ・ガンザが噴火する。
「なあ相棒、おまえが拘る理由もじんわりことことわかってきたぜ!」
「ラウのアシストがなければあそこで負けていた」
 束ねられた長髪がまるで燃えているかのように。灰色装束の葬儀屋が静かに燃えていた。
 デッキに手を添えると、《真炎の爆発》をその手に掴む。
「脇目を振らずに強くなる。今はそれが重要だ」
「その意気だよおまえら。さあフーモ "ら" と合流するよ」
 陽気な花火師と寡黙な葬儀屋を引き連れファロ・メエラが歩き出す。
(デッドエンド、あんたの弟子の引き様とくと拝ませてもらったさ。だけど簡単には認めてあげないよ。上に行くのはうちの子供達。新しい時代の引き手はこいつらなんだ)
 一歩一歩が火打石。 決闘炎盤(フレイムギア) は今こそ燃える!



Team FlameGear!



「バル兄ぃもよく仕上げたもんだ、あんなもん」
 楕円型デュエルディスク 決闘両盤(ツインラビット) は流儀の証。女性的な雰囲気を選り分けた左右非対称の決闘者がそこにいる。肩にかかるほど左側の髪を長く、耳にも届かぬほど右側の髪を短く。 "一挙両得" のボーラ・ボラートンがやや呆れ気味に訪ねる。
「あのバカっぽそうなハチマキ、そんなに有望だったの?」
「控えめに言って頭は悪いが、今は頭の悪さが才能だ」
 フレームを廃したメガネの奥。鋭い瞳がぶれない真実を捉えていた。ダークスーツを着こなす侵食的な黒の決闘者。 "二者択一" のバルートンがリードを語る。ウキウキで。それはもうウキウキで。
「おれがどうこうじゃない。あいつの世界観が広がったんだ。西部ではなく世界。《デビル・フランケン》ではなく【生命拡大戦略(ライフ・エキスパンション・デュエル)】。デュエル・パラダイム・シフトだ」
「バル兄ぃの言ってること全然わかんねえ。もうちょいさー」
「以前のあいつは急いでいた。隙や揺らぎを利用して刺し込むスタイル……それ自体は悪くない。本気で上を目指すならそれも要る。だがあいつにはそれしかなかった。それしかないから脆かった」
「ああ、なーるなーる。今のあいつはあれか。ハナから限界ぶっちぎるのを覚悟している……と。バル兄ぃ好みなのも頷けるね。【クレイジー・サイコ・デビル】とはぶち上げたもんだ」
「いいネーミングだろ?」
「あれ? ひょっとしてバル兄ぃが付けたのか?」               「兄貴……」
「あいつは【サイコ・デビル】と名付けた。らしさが足りない」          「兄貴!」
「そらそうだ。バル兄ぃといると退屈しないで済むよ、ホント」         「兄貴!!」
 3度目の 『兄貴』 を無視された瞬間、発言者が激昂する。
「なんでさっきから返事をしない! 私を論壇から排除する気か!」
 自称文学的デュエルディスク 決闘文盤(プレイズ) を装備した欲望一家の第三男。 "一唱三嘆" のブロートンが文句を付ける……2人の兄は気にしない。不肖の末弟が首を振る。
「無理矢理入れておいてこの仕打ち。入れるなら入れるで扱いというものがあるではないか。なぜこのブロートンが、空前絶後の文学性に彩られたこのブロートン・リタラルがあんなのの補欠に……」
 文学的反駁はそこまでだった。首元に突きつけられたのは2つの凶器。チェーンソー型デュエルディスク 決闘鋸盤(ジェイソン) を振り上げるホッケーマスクのネオガスタークと、ブレード型デュエルディスク 決闘軍盤(グラディウス) を振り下ろすマスカレードマスクの真ゼッペス。
 ブロートンが竦んでいた。ブルブルと。それはもうブルブルと。
 バルートンが笑っていた。ゲラゲラと。それはもうゲラゲラと。
「あんなのとはご挨拶だなブロン。まあ確かに数合わせは否めないが」
「ネオガスタークを侮っては困る。今の私にはテイル・ティルモットさえ相手にならぬ」
「真ゼッペスは最早ゼッペスに非ず。ジャック・A・ラウンドをものの5ターンで瞬殺してみせよう」
「とまあ完全なる自己申告なのはあれなんだが、幾らか腕を上げたのも事実らしいし、そこそこアテにはしている。なあ兄弟。ここは一つ楽しくやってみようじゃないか。折角の……10年目なんだ」
 事典型デュエルディスク 決闘書盤(ヴァルワール・リーブル) を片手に持った何者か。バルートンの両眼は西部そのものを捉えていた。視線の照準は10メートル先の観客席。ミツルが座るその席へ。
(おまえなら蘇我劉抗を倒せただろうが、今のおまえにはそれだけだ)
「さあおまえら撤収だ。さっさと帰るぞ」
「バル兄ぃ、あいつらと話さなくていいのか」
「今日はこのくらいでいい。楽しかったからな」



Team BelialCross!



 数多の決闘者達が立ち上がる一方、西部の英雄ミツル・アマギリは動かない。アリアが離れ、アブソルが離れ、そしてバルートンが離れ、それでもミツルは行儀よくその場に座っていた。視線をフィールド上に固定したまま、椅子の下のリミッツに話し掛ける。
「新型のデッキに技術の提供、バルートンは何を考えている」
「尾行でもするか」
「徒労に終わるのがオチだ。そんなことより、おまえもそろそろ顔を出せ。あそこのカメラマンが集合図を撮りたがっている」
 ミツルの命を受け、EarthBoundの潜行者リミッツ・ギアルマが椅子の前に出現する。それだけではなかった。ミツル・リミッツ・レザールの3人が立ち上がるや否や、後ろに立つのはもう2人。
「ゼクトくんも変わったね〜うるさいのはすえおきだけど〜」
「それを言ったら姐さんの変わりようも相当なもんっしょ」
「レザール〜、終わったんだからいっしょにごはんたべましょ〜」
 熱射病で3時間ほど倒れていたフェルティーヌと、チェアー・シンドローム(椅子に長々座ってると死んでしまう症候群)をこじらせていたケルドが合流。
 Earthboundの5人が一堂に会し、新たなフェイズを迎え撃つ。
「ミィのやつマジで勝ちやがった。あいつはやっぱガキじゃねえ」
「ケルド、次の相手はTeam BlackCanonだ。帰ったら記録を読んでおけ」
「おい姉貴、飯もいいけどちゃんと試合は観たのか。フェリックスさんに蘇我劉抗。ちょっと前よりも格段に強くなってた。俺だって……俺だって負けらんねえ」
「だいじょうぶ。レザールはきっと勝てるから。きっとだいじょうぶだから……」
 新型の 決闘絆盤(ファイブバウンド) を装備したブラックジャンパー(♂)とロングスカート(♀)の精鋭部隊。猛進のケルド・アバンス、影の潜行者リミッツ・ギアルマ、堅固なる腹筋使いレザール・オースにフェルティーヌ・オース、そして西部の英雄ミツル・アマギリ。
(あいつらといいこいつらといい、どいつもこいつも椅子に座れんやつばかり。 『それがスタンディングデュエルというものだ』 あいつならそう言うのだろうか)
 激動を始める西部の中でミツルは立ったまま聴いていた。決闘者の音を、観客達の音を、ひいては西部の音を聴いていた。ほんの一瞬やわらいだ表情を浮かべるが、すぐさまリミッツが釘を刺す。
「ミツル・アマギリがいればいい」
「……勝ち続ける。それだけだ」



Team Earthbound!



 立ち上がらない者もいる。決闘者達が喧噪をお供に散っていく中、10年闘い続けた1人の決闘者が静かに座っていた。力を込めるでもなく、力を抜くでもなく、龍髪の偉丈夫ギャラクシー・フェリックスがそこにいる。"NeoGalaxy" と刻まれたユニフォームに哀愁が漂う一方、その瞳は依然前を向いていた。目の前の決闘風景を焼き付けるかのように、全身を強張らせたまま一部始終を見続ける。
「素晴らしい決闘だった。ゼクトも、バイソンも、そして彼らも……」
 哀しげな賛辞を送るフェリックスのかたわら、隣に座るリュウコウは近づくことも離れることもできなかった。銀河色のユニフォームと藍色の決闘着の間にある、椅子1つ分の距離がどうしても縮まらない。強固に鍛え上げた右腕も今は萎れていた。絶対的な距離を前にしてリュウコウが怯む。怯んで怯んで、そしてそこから前に出た。かすれた声を振り絞る。
「あのさ……その……えっと……」
「リュウコウ、あの時おまえは我々の為に闘ってくれた。なぜだ」
「……!」
 先手を取られてしばし呆然とするが、少し考えてからリュウコウが答える。
「応えてくれたからだ。過ぎ去ったものの為に。来てくれないものの為に。同じじゃないか。ギャラクシー・フェリックスは全てを受け止めてくれた。そう思うと身体が勝手に……それだけなんだ」
 次の瞬間、観客席から拍手が降り注ぐ。バーベルが、ゴックが、ガクが、NeoGalaxyの一般構成員達が言葉なき拍手を次々に送り出していた。その音を聞きながらリュウコウが呟く。
「人望が……あるんだな」
「優しい者も厳しい者もいた。残った者も消えた者もいた」
 フェリックスはそこにいた。強豪と呼ばれた男が天を見上げる。
「その全てが報いたかった者達だ。それでも、そうであっても、おまえとの決闘に悔いはない。あれは……あの時喚んだあの龍は……いい決闘だった」
 フェリックスのもとへゼクトとバイソンが帰還する。 「……」 「……」 リーダーとエースの瞳がかち合った。睨み合うでも慰め合うでもなく、数秒、視線を交換するとゼクトが言った。
「手札を使い切るというのも難しいものだな」
「ああ。決闘というものはいつだって難しい」
 うなずいたゼクトが首を上げる。観客席に座る一般構成員達を視界に入れると、じっと見渡し粛々と告げた。 「折角の応援、期待に応えられなくてすまなかった」
 観客席がざわつく中、白魔導師がなおも言う。
「私が及んでいればこんなことには。もしもあそこで」
「あ〜あ。やっちまったわ」
 出し抜けに割り込んだのはバイソン。大きな声で空気を切り裂く。
「《カオス・ソーサラー》も一緒に投げてりゃ、今頃ファンファーレが鳴ってるってもんだ」
「それは違うぞバイソン。あそこで残存戦力まで割けばいいというのは終わりし者の言葉でしかない。全てのバトルフェイズを活かすという、我々の初志を貫徹した結果。そこに後悔は微塵も……」
「悪いなおまえら! ちんたらしてたら負けちまったわ! だがな! おまえらも見た筈だ。Team NeoGalaxyのエースの姿を! 脚を引っ張る奴がいなけりゃ、こいつはミツル・アマギリにだって勝つぜ。バーベル、ゴック、ガク…… "ゼクト" を助けてやってくれ」
 一般構成員達がざわめき戸惑う中、言うだけ言うとくるりと反転。
 夜の黒魔術師がそのまま退場を開始する。
 ゼクトが思わず呼び止めた。
「バイソン! ……夜に、戻るのか」
 問われたバイソンは振り返らず、背中越しに答える。
「これからいろんなことが変わっていくんだろうさ。そういう時、俺が居たい場所はあそこなんだ。捨てられないものもある……ここの連中とやり合ってたら尚更そう思った。夜が明けたんだよ、俺達は」
「……そうか……寂しくなるな……」
「この半年間は今までで一番楽しかった。そこに後悔はない……だろ」
「あるとすれば……」
 決闘美学の視界に絵が浮かんでいた。初めて出会った真っ暗な夜。2人で駆け抜けた路上の夜、決闘仮面と遭遇した月下の夜、共に闘い抜いた最後の夜……
「この場所で……おまえのカオス・ソーサラーに勝利を返したかった」
 腹の底から絞り出したゼクトの言葉を聞き届けると、バイソンはもう1つの相棒 ―― 決闘黒盤(ブラック・スタッフ) に手を添えた。デッキから1枚のカードを取り出し、振り向きざまに投げ渡す。
 受け取ったゼクトは困惑しつつも、そのカード名を読み上げる。
「Different Dimension Revival……」
「受け取ってくれ」
「おまえほどには使えんぞ。なぜ……」
 顔を上げると初めてのバイソンがそこにいた。優しく微笑むバイソンが。
「俺は蘇ったんだ。最高の時間をもらった。それだけあれば闘える」
「そうか。そうなのだな。我々とは……そういうものなのだ」
 渡されたカードをギュッと握りしめ、覚悟を決めてゼクトが言った。
「私とて同じだ。決して忘れんぞ」
「いつかどこかのデュエルフィールドで会おうや」
「ふっ、なんなら夜の連中を連れて挑みに来い」
「はっ、そりゃいいな。ボコボコにしてやるよ」
 会話を終えたバイソンが真横を向くとフェリックスとリュウコウが立っていた。
 迷いなき瞳を見るやニヤリと笑い、フェリックスに問いかける。
「世話になったなミスター。そんで、あんたはどうすんだ」
「闘い続ける。今回の敗戦で支持者が離れるやもしれん。自分の体にもそろそろガタがくるやもしれん。いつかは現役を退く日も来よう。それでも何らかの形で闘い続ける。それが私の、いや、我々の解答だ。我らがターンは今もある」
「楽しみにしてるぜ。いつでもな」
 今度はリュウコウをじっと見る。
「おまえはどうする、蘇我劉抗」
「俺は……自分の決闘を誰かに投げていた。俺さ、やっぱり思うんだ。本当に全てが消えたわけじゃなかった。何十年後か知らないが、本当にくたばったら地獄に行って親父を決闘でぶん殴ってやりたい。蘇我劉邦でもなく、ドゥルダークでもなく、このおれのデッキで……新しいデッキを組むよ」
 蘇我劉抗は姿勢を正すと、フェリックスに向けて言った。
「そしたらまた……組んでくれますか」
「ありがたい」 龍髪の偉丈夫、ギャラクシー・フェリックスが大きくうなずく。
「おまえは誰よりも覚えていてくれた。この決闘も覚えていて欲しい。そして……NeoGalaxyに新たな宇宙をもたらしてくれ」
 言葉を受け取った瞬間、リュウコウが勢いよく立ち上がる。他の誰でもないリュウコウが猛烈な勢いで駆けだした。 (俺はようやく親父と、西部と、決闘と向き合える)
 虚空に消えた父親の肖像が浮かび上がる。面長のパワー・フェイスにギラギラとした眼光。クラシック・スタイルの 決闘我盤(ザ・ドリーム) を装備し、闇属性・機械族を自在に操る決闘の追求者。
 走って、走って、フィールドを跨ぐ。向かった先にはミィとパルムが立っていた。
 ぜぇぜぇはぁはぁ息を切らしながらも想いを告げる。
「おまえらと、おまえらのカードの勝ちだ。今日はな」
「リュウコウさん」 「言ってくれるね。嫌いじゃないけど」
「あの時ドゥルダークは成仏しちまった。けどおれはまだ生きてる。勝利は消えたが決闘は見つかった。一度で駄目なら二度三度。ミィ・パルム、おれは必ず戻ってくる」
 リュウコウの右腕は魂を取り戻していた。優しい瞳を2人に向けると右腕で握手を求める。ミィが真っ先に握りしめるが、パルムはハッと気づいて動きを止めた。自分の腐腕が今の今までむき出しに
「うわっ」
 パルムが素っ頓狂な声を上げた。テイルがパルムの右手を掴んでグィっと引っ張る。蘇我劉抗の右手に無理矢理重ねて一言告げた。
「今日のここにはバカしかいない」 「テイル……」
 その間、リュウコウはじっと2人の手を見ていた。
「この手に俺は負けた。失ったものを取り戻せた気がする」
 ギュッと手を握りしめると、ミィとパルムはそれぞれ言った。
「今日の決闘は絶対忘れないし忘れられない。絶対、絶対!」
「あんたたちに会えて良かった。今は本当にそう思ってる」
 握手を終えると、リュウコウはリードの前に立つ。出所不明のハチマキを外し、決闘用の特攻服を脱いでもさほど印象は変わらなかった。太い眉と大きな瞳が未だエネルギッシュに輝いている。
「懐かしい気持ちになれた。フェリックスの分まで言わせてくれ」
(俺の演説は魂が小声だった。今度は大声で)
 観ていた。ミィやパルム、ラウやテイルだけではない。フェリックス、ゼクト、バイソン、そして他の一般構成員も観ていた。両チームの視線を一身に集めると、答えを探していた男が大声で言った。
「ミツルをびっくりさせてやれ!」
「たいそうびっくりさせてやる!」


Technological Card Game ――

Chain Duel ――

Complete ――

Winner ――

Team FULLBURST !

――
―――
――――

 大会初日終了後、デュエルフィールドの真ん前に学生服姿の女の子が立っていた。もうほとんど人はいない。薄明かりの下、 決闘小盤(パルーム) を付けたままミィがそこに立っていた。フィールドをじっと見つめるばかりで一向に動こうとしない。見かねたパルムが呼び止めた。
「テイルが頬杖付いて待ってるよ。ぼくらはまだ子供だから。さ、早く……」
 振り向いたミィを見てパルムが驚く。知らない表情だった。
「ここは真剣勝負で、なのにお祭り騒ぎで、不思議な場所」
「今期は特にそうみたい。闇鍋みたいな大会になるのかも」
 ミィは胸元に手を添えると、小刻みに打ち震えていた。
「どうしたの?」
「あんなにTVでいっぱい見てたのに、ド節穴だったんだなって。わたし、何もわかってなかった。決闘中もおんなじで、決闘中は無我夢中で、目の前のこと以外全然見えてなくて」
 "それでおまえは何を得た?" テイルからもらった言葉が頭の中で弾ける。
「心の底から勝ちたいと思った決闘。それは本当に重たくて、だからリードさんは辛いの。夢がおっきいから。嘘はつけないから。それは相手も、フェリックスさんもリュウコウさんもゼクトさんもバイソンさんもみんなそう。想いをカードに載せて、本気で引いてるからあんなに凄くて。こんな景色知らなかった! 憧れるばかりで全然知らなかった!」
「……けど今は違う。Second Duelでのきみは沢山のことを見ていた」
「アブロオロスのことがあったから、デッキやプレイングをいつもよりいっぱい考えて……。あの日があるから、あの日があったから、前よりいっぱい」

―― 決闘者だからだ!

「アブロオロスとは別れないといけない。だから、あの部屋でいっぱいお世話になったから、アブロオロスに何かしてあげたいと思った……違った。何かしてもらったのは最後までわたしの方だった」
 ミィの声が夜風と交わった瞬間、2人の間からほんの一瞬距離が消える。パルムは自分の 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) を一瞥すると、震える声でミィに告げた。
「ミィ……それは……ぼくらはいつだってそうなんだ」
「決闘者になったからアブロオロスを飛ばせたんじゃない。アブロオロスがわたしの前で飛んだから……ここで決闘者になれた。大事なものがわたしの中に残ってる。遠くに飛んでも、ずっと」
「きみは……これからどうしたい?」
「もっともっと、決闘がしたい!」
 ひとりぼっちだったミィにとって、決闘は破城槌だった。広大な世界への入り口は扉で閉ざされ隙間から外を窺うことしかできない。そんな閉塞を打ち破る唯一無二のマジカルアイテム。ミィにとってカードを引くことは、重たい扉を押すことと同じだった。カードがミィの前で具現化したとき、ミィの世界が激しく揺れた。もう止まらない。ミィの世界が激震を始めていた。
 闘い続ける。勝者も敗者もその一点においては変わらない。決闘者とは闘いを決める者。散っていく。Team Earthboundが、Team FlameGearが、Team Arenaが、Team BelialCrossが、Team Big Eaterが、Team Mistvalleyが、Team AGD正閏叛列Neo Galaxy Boy's Σが、そしてTeam FULLBURSTが次の闘いを求めて散っていく。そんな中、
「パルくん、受け取ってください」
 ミィが激震のアブロオロスを差し出す。パルムは無言のまま静かにうなずき受け取った。レベル7と書かれた予備のデッキケースを取り出すと一番前に差し入れる。それが2人の約束だから。
 最後に言うことは決まっていた。
「ありがとう、アブロオロス」


Duel Episode 39

激震する世界



【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
読了有り難うございました。六章終了
↓匿名でもOK/「読んだ」「面白かった」等、一言からでも、こちらには狂喜乱舞する準備が出来ております。


□前話 □表紙 □次話



























































































































































































































































































































































































































































































































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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