―― 新しい世界に踏み込もうとすると、今いる世界があっという間に崩れていく。

 OZONEの起動と共に、《太陽龍インティ》のサンシャインフェイスが徐々に薄まる。決闘の主役達を迎え入れる真夏のデュエルフィールド。南の正面玄関を地図の最上部と見立てた場合、下部に1つ、右上に1つ、左上に1つ、そしてド真ん中に1つ、Y字を描くようにデュエルフィールドが存在する。今現在、ミィが立っているのはド真ん中のフィールド。BURSTではなく、Galaxyの実績による配置。特殊重力下の遊園地の中、ミィは緊張していた。決闘が始まるのは勿論、決闘の始まり方に対しても。
(ミツルさんって、案外お茶目かも)
 夏季大会にのみ存在するスターティング・ディスク・スローイングの特則。東・西・南・北それぞれのフィールドに入った決闘者達が、中央のデュエルサークルに向かって一斉に投げる。 『折角広いフィールドを使うのだからそうした方が見栄えもいい』 ミツル・アマギリが提唱して始まったルール。
(合わせないと、弾かれる) 圧倒するのはフェリックスの巨体とリュウコウの右腕、のみならず、
(怖い) 歓声が無遠慮に響き渡り、視線が容赦なく突き刺さる。喧噪の中、ミィは一旦考えることを止めた。 "まずは練習通りに" "考えるのはそれから" 4人が構えて十字を描く。
『Team FULL BURST VS Team NeoGalaxy! First Duel……始めていこうかっ!』

                 蘇我劉抗[北]


   フェリックス[西]                  パルム[東]


                    ミィ[南]


Starting Disc Throwing Standby――

Three――

Two――

One――

Go! Cross Spiral Chain Duel!



「強豪を示せ、決闘強盤(パワー・プレート) !」 「喰らえ、決闘杭盤(パイルバンカー) !」
「勝ってこい、 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) !」 「ぶつけるよ、 決闘小盤(パルーム) !」
 四方から決闘盤が激突する……と同時に、観客達が一斉にざわめいた。小さな2つの円盤が抜群の連携でデュエルサークルに入り込み、強豪の刺客を弾き出す。
『先攻権を取ったのは……Team FULL BURST!』

Turn 1
Life 16000
Life 16000
■パルム
 Hand 5
 Moster 0
 Magic・Trap 0
□フェリックス
 Hand 5
 Monster 0
 Magic・Trap 0
■ミィ
 Hand 5
 Moster 0
 Magic・Trap 0
□蘇我劉抗
 Hand 5
 Monster 0
 Magic・Trap 0

『決闘の口火を切るのはパルム・アフィニス選手! 初っぱなから会場を湧かせます!』
(練習通り。何も驚くことじゃない) パルムは左腕に決闘盤を戻し、デッキにゆっくり手を添える。
「ファーストターン、ドロー!」 引いた6枚をじっと眺める。使用可能なモンスター2枚と、使用不能なマジック4枚。 「まあまあってところか」 円盤型の 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) をぎゅっと掴むと、青紫の腕で投げ入れる。 「《カードカー・D》を通常召喚」

カードカー・D(800/400)
@特殊召喚できない
Aリリース+特殊召喚放棄+攻撃権放棄⇒デッキからカードを2枚引く
[効果] [2] [地] [機械]


「マジック・トラップを1枚セット」
(バイソンがいる。あいつの記憶装置がポンコツでないなら、マジック・トラップを使えないのはバレてる。折角、ハッタリがてら奮発してきたのに牽制にもならない。……怖いな、見られてる)
 地下決闘での死闘が脳裏に浮かぶ。序盤の開示、中盤の反転、終盤の洞察…… (あいつの視線より怖いものなんてそうそうないだろ。よしんば怖いとしても) 西部決闘界に焦点を合わせ、一歩を踏み出す。 (向かい合う為に、踏み越える為にここに来た)
「いくよ」 40枚のデッキと共に、腐腕の少年が札を引く。
「《カードカー・D》をリリース…… "カード・トルネード"!」
 宣言した瞬間、右端のデュエル・カーが急加速。モンスターゾーンのド真ん中でスピンを始める。レベル2の、軽量車の限界を超えるほどの高速回転がもたらすもの、それは!
『フィールド上に竜巻が発生したぁっ! さあ今日も《カードカー・D》が回ります!』
 後続の召喚は勿論、戦闘も不可能になるほどの竜巻を起こし、その引力を持ってデッキから2枚のカードを引き出す。引いたのは下級、《カードガンナー》と《魔装機関車 デコイチ》。
(まだまだ引けってことか。いいさ。ひっくり返るまで幾らでも引いてやる)
『限界を超えた《カードカー・D》が爆発四散、パルム選手はターンエンド!』

『さあ、続いてカードを引くのはTeam NeoGalaxy不動のエース、その名は……』
「強豪!」 「強豪!」 「強豪!」 「強豪!」 「フェリックスさん、引いてくれぇっ!」
『言わずと知れた龍髪の偉丈夫、ギャラクシィィィィィィ・フェリィィィックス!』
「ドロー」 微動だにしない太い眉。先行権の確保失敗を怒るでもなく、悔しがるでもなく、 決闘強盤(パワー・プレート) を静かに構えていた。大観衆が、一般構成員達が、元レギュラーの3人が、そしてあの、ゼクト・プラズマロックが見守る中、ゆっくりと、じっくりと、不動の姿勢で光を貯める。
「《サンダー・シーホース》を手札から捨て効果発動。デッキから《サンダー・シーホース》の2枚目と3枚目を手札に加える。マジック・トラップを2枚セットし……」

サンダー・シーホース(1600/1200)
このカードを手札から捨てて発動⇒デッキから攻撃力1600以下の雷族・光属性・レベル4の
同名モンスター2体を手札に加える(「サンダー・シーホース」の効果は1ターンに1度しか使用
できず、この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない)
[効果] [4] [光] [雷]


「《カードカー・D》をサモン&リリース」
『フェリックスおまえもか! 得意のパワー・チャージで光を貯める!』
  決闘強盤(パワー・プレート) を滑走路にして《カードカー・D》が急加速。レベル2の限界を超え、残留衝波を放ちながらフィールドとデッキの境界線を突破する。エンドフェイズ、ボロボロになった《カードカー・D》が2枚のカードと共に帰還。戦果を伝えて墓地に散る。

「ダッシュにスピン」 テイルが頬杖を付きながら言った。
「無駄に絵面が豊富だからな、あの車。にしてもお見合いか」
「想定の範囲内」 ベンチのラウが静かに言った。 「タッグデュエルの特性も踏まえると、前の2人が露骨にチャージするのは目に見えていた。この一巡目で注視すべきは」
「後ろ2人の立ち回りだ」
 
(本当にここにいるんだ、わたし) ミィはふと思う。
(ここに来る理由。いっぱいある。いっぱいあるけど、)
 一旦閉ざした思考が徐々に開いていく。町外れの一軒家。1人部屋に備え付けられた鉄の箱。食い入るように覗き込み、映っていたのは決闘者……ゆっくりとデッキに手を触れ、そして、
「ドロー!」 ミィがデッキからカードを引いた。思考回路を再起動。 決闘小盤(パルーム) に挿さった6つの選択肢を一通り頭に叩き込む。……ミィの左手がふわりと光り、得意の魔法が光を放つ。
「1枚目、《異界の棘紫竜》」 「2枚目、《死者転生》」 「3枚目、《八汰烏の骸》」
 3つの供物を捧げることで、境界を超えて味方を喚び寄せる魔法。その名は、「《光の援軍》を発動。デッキから、レベル4以下の "ライトロード" を手札に呼びます」 そのまますっと腰を落とす。赤いプリーツスカートがふわりと揺れた。 (大丈夫。さっきみたいに投げれば) 左手で円盤をぐっと掴むと、一投入魂サイドスローで決闘に臨む。 「《ライトロード・マジシャン ライラ》を通常召喚!」

光の援軍(通常魔法)(制限カード)
デッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動
⇒デッキからレベル4以下の「ライトロード」と
名のついたモンスター1体を手札に加える。
  
ライトロード・マジシャン ライラ(1700/200)
@2ターンの間守備表示に変更
⇒相手のマジック・トラップを1枚破壊
Aエンドフェイズ、デッキトップから3枚を墓地に送る
[効果] [4] [光] [魔法使い]

『落ち着いた投盤から破魔の女魔術師を展開。ここからの動きに注目です』
 改めて敵の場を眺める。前衛……空っぽの空間。後衛……セットが2枚。一度伸ばした視線は止まらない。いる。更にその先、ギャラクシー・フェリックスがいる。
(TVの向こうに決闘が届く? 家で見た時よりずっとずっとおっきく見える)
 何かを出さずとも、何かを言わずとも、醸し出される威圧感に手がぷるぷると震え始める。 (怖い人なら他にも) ミィは咄嗟にラウの顔を思い出し、相殺。眼前の問題への集中力を高める。
(あれが攻撃用なら殴ってから破壊。けど、防御用なら殴らず破壊?)
 ミィの脳裏に浮かぶ声。 『初見の相手には仕掛けてから学べ。今のおまえならそのくらいで丁度良い』 ジャック・A・ラウンドの教えが過ぎる。 (あの時は何もかもが真っ白。だからラウンドさんもああ言った。今は違う。そんな理由で殴っちゃいけない) 呼吸と思考を整える。身体の震えは、まだ完全には止まっていない。その間にも教えが響く。 『1度に崩せないなら少しずつ切り崩せ。くたばる前に間に合えばそれでいい』 『自分が足りないものを意識しろ。自分が欲しいものを意識しろ』 『ちゃんと考えて納得した上での判断と胸を張って言えるのか』 (ディスカードしないよう適当なマジック・カードを伏せただけかも。防御札とは限らない、けど、2枚もセットがあるなら) もう一度フェリックスの様子を伺う。不動。巨大な石像のように。 (全っっ然読み取れない。なら、ここは……) ぎゅっと歯を食いしばり、腕を振ってそこから、「 "ライトニング・ビート" !」 手元のロッドに雷を纏わせ、強豪の土手っ腹に向かって思い切り投げつける。着弾……本当に? ミィは首を回すと、スクリーンに映ったライフゲージを仰ぎ見る。そこには、

パルム・ミィ:16000LP
フェリックス・蘇我劉抗:14300LP

『ファーストアタックを決めたのはミィ選手! 若干14歳ながらもその動きに乱れなし!』
 攻撃が成功すると同時にミィの震えが止まる。少しずつ、少しずつ身体が馴染む。
(良かった。ちゃんと通った) ミィはふと気付く。手汗がびっしょり濡れてることに。
(暑さだけじゃ、ない。違う。地縛館とも地下とも。これが、西で一番おっきな大会)
「えっと、ターン……じゃない!」 慌てて背筋を伸ばすと、一旦軽く息を吐く。
 メインフェイズ2。一撃入れたライラに十八番の追撃を命じる。端に結び付けておいた釣り糸でロッドを手元に戻すと、全身全霊の魔力を破魔の光杖に注ぎ込む。極めて高度な魔術的電気分解、 
「 "ライトニング・スタッフ"!」 左端のセットカードを……
「……っ!?」 "調子に乗るな" そう釘を刺すように。フェリックスが右腕を突き出し、手の平から光弾を発射。炸裂した光弾が女魔術師を凡夫に変える。通常トラップ、《ブレイクスルー・スキル》。
「積極果敢は若さの現れ」 フェリックスが呟く。 「新鋭か。ならば強豪を示すのみ」
(そうだ) ミィはふと気付く。 (わたしはあの人を知ってるけど、あの人はわたしを知らない。後ろにいるバイソンさんはパルくんを幾らか知ってる。警戒されるとしたらパルくん。なら、わたしは、)
「永続魔法《強欲なカケラ》を発動。マジック・トラップをもう2枚セット」

  Set Card     強欲なカケラ     Set Card

                ライラ


 強豪を迎え撃つ三角形の布陣。エンドフェイズ、ライラが墓地を肥やそうとするが叶わない。《ブレイクスルー・スキル》の残り香に封じ込められる、が、ミィはそれなりの手応えを掴む。
(ドローで6枚、サーチで1枚、墓地へのドローで3枚。10枚も来てくれた。なら、)
「ターンエンド!」 万全の体勢でターンエンドを宣言。 『さあお次は!』

「ようやくか」 その青年への声援はまばらだった。Team Galaxy側からの戸惑ったような声援。青年は気にしなかった。その両目は寸分たりとも揺らがず、古今の西部を捉え続ける。
(チームデュエルとは難儀なものだ。親父はいつも、その辺のデュエルチンピラを誘って勝ち名乗りを上げていた。……同じだ。味方は相性が良ければそれでいい。目的を阻害しなければそれでいい)
「俺は来たぞ。あんたが昔、栄華を誇ったデュエルフィールドに」
 蘇我劉抗が虚空への呟きと共に始動する。ほのかに赤らんだ眼をギュッと締めると、己の想いをも収束。砲でも盾でもある右腕を、攻防一体の右腕を掲げ、
「全てを……確かめる」
 伸ばした右腕の外側には、一直線の決闘盤が装備されていた。門を貫く破城槌型デュエルディスク 決闘杭盤(パイルバンカー)。 左手を使い、真ん中にあるデッキケースからカードを引いて、手札を一瞥。
「行くぞ!」 一瞬の出来事だった。腰をねじって右腕から杭を外すと、その場に残った 決闘杭盤(パイルバンカー) の端に手の平を叩き込み、飛ばす。 「通常召喚(ノーマル・サモン)!」 掌底一投、キャタピラ付きの小型ロボ。
「まずは小手調べだ。行け、《カードガンナー》」

カードガンナー(400/400)
@1ターンに1度、デッキトップから3枚まで墓地に送って発動⇒送った数×500ポイント攻撃力アップ
Aフィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、デッキからカードを1枚引く
[効果] [3] [地] [機械]


「……の3枚を墓地に送り、《カードガンナー》の効果発動。攻撃力は1900」
  決闘杭盤(パイルバンカー) を戻した右腕は一定の高さに保たれていた。手の平をかざしたまま、予備動作なしで魔法を唱える。 「《強欲で謙虚な壺》を発動。デッキトップから《デモンズ・チェーン》・《魔導戦士 ブレイカー》・《闇の誘惑》を捲り……《デモンズ・チェーン》を手札に!」 3枚掘って3枚捲る。補給の間も、鍛えられた右腕がミィとパルムを威圧していた。バトルフェイズ、蘇我劉抗が攻める。
「《カードガンナー》でライラを攻撃する。 "アーム・キャノン" !」 炸裂。女魔術師が散る。

パルム・ミィ:15800LP
フェリックス・蘇我劉抗:14300LP


「マジック・トラップを1枚セットしてターンエンド。チャージではこちらが、ダメージではそちらが一歩先を行ったか。トータルで言えば五分。白黒を付けるには丁度いい」
「白黒、か」 右腕の威を受けながら、パルムとミィが言葉を返す。
「オセロは得意だよ、デュエルの次ぐらいには」
「オセロは苦手だけど、デュエルはあげません!」


Duel Episode 34

AGD 正閏叛列 Neo Galaxy Boy's Σ


Turn 5
Life 15800
Life 14300
■パルム
 Hand 6
 Moster 0
 Magic・Trap 1(セット)
□フェリックス
 Hand 6
 Monster 0
 Magic・Trap 1(セット)
■ミィ
 Hand 2
 Moster 0
 Magic・Trap 3(セット/《強欲なカケラ》/セット)
□蘇我劉抗
 Hand 4
 Monster 1(《カードガンナー》)
 Magic・Trap 1(セット)

「チャージで先を越されたんなら」 ドローと同時に、少年の声が響く。
「追い付けば良いだけだろ こっちも行ってこい、《カードガンナー》!」
 西部のゴミ捨て場で出会った一機。知っている。投げ入れるのに最も良い角度を知っている。修理から投盤に至るまで、その1枚を知っている。
( "何を引いても" いいんだ。だから) 
 デッキから墓地に向かって、3枚のカードを引き抜く。1枚目:《ライトロード・マジシャン ライラ》、2枚目:《A・ジェネクス・バードマン》、3枚目:《スポーア》。思わず笑みが零れる。
(なんでもいいって言ったのに。わざわざ《スポーア》まで付けるなんて、そんなにぼくのことが頼りなく見えるのかな、おまえは) 無骨な無限軌道をじっと見つめる。 (ありがとう。これで12枚。チャージが終わるまでは大人しくしたいとこだけど)
「おい」 蘇我劉抗がぼそりと釘を刺す。
「そんなんで一喜一憂してたら身が持たないぞ」
「一喜一憂? ぼくが?」 パルムは一瞬、眼をぱちくりさせて驚くが、ストンと腑に落ちたような表情で言い放つ。 「この際だ、終わるまで一喜一憂するよ。バトルフェイズ」
 装甲を犠牲に、火力と費用対効果を限界まで追求。レベル3のカードタンクが両腕の砲を構える。吸い込んだ札を燃料に変えて、敵性戦車の死角を狙う。
「ガンナー同士なら攻める方が有利だよ。アーム・キャノン!」

パルム・ミィ:15800LP
フェリックス・蘇我劉抗:14300LP⇒12800LP

「有利、か」 「仮に五分でも、うちのガンナーの方が強いけど」
「《カードガンナー》の効果発動。デッキから1枚引かせてもらう」
『早くもブルーアイズ一発差! FULL BURSTが本領発揮か』
「んなわけないだろ。本領発揮はこれからさ、ターンエンド」

「中々いい滑り出しなんじゃないの、大将」
 テイルが気楽に言ってのける。 "大将" と呼ばれた男は軽く頷きつつも、その目は笑っていなかった。Team NeoGalaxy陣営を観察。ゼクトがいる、バイソンがいる、蘇我劉抗がいる、そして、
「先に 主導権(ターン) を取った方が有利になるが、ならあいつに一日の長がある。そろそろ来るぞ、強豪が」

「小競り合いは強豪に非ず」 ギュッと縮んだ瞳が力を定めていた。デカデカと刻まれたのは "Neo Galaxy" の文字列。銀河色のユニフォームを煌めかせながら 決闘強盤(パワー・プレート) に右手を添える。
「私のターン、ドロー! リバース・カード・オープン、《トレード・イン》を発動!」  
 いち早く補給を完了。龍の如き髪を揺らし、ギャラクシー・フェリックスが動き出す。
「強豪の決闘は覇気に溢れるべし。虎が牙を剥くように、龍が空を奔るように。小競り合いでは観客も冷めるというもの。強豪とは……強豪とは……西部にあるべき強豪とは……」
『リュウコウ選手に続きフェリックス選手も構えを取ったあっ。天地上下に両腕を広げ、反り立つ巨体が威圧的に聳え立っている。まさに強豪山脈! パワー・マウンテンここにあり!』
「銀河一刀流の正剣士、《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚!」
「フェリックスさんの」 「主力が」 「今ここにっ」 「強豪をっ!」
「銀河一棍流の重戦士、《フォトン・クラッシャー》を通常召喚!」

フォトン・スラッシャー(2100/0)
@他のモンスターがいない場合、特殊召喚可能
A他のモンスターがいる場合、攻撃宣言不可
[特殊] [4] [光] [戦士] 
フォトン・クラッシャー(2000/0)
攻撃した場合、戦闘終了時に守備表示に変更
[効果] [4] [光] [戦士]
    

「図体はでかくても」 パルムがぼそりと呟く。 「実態は張り子の龍。剣は斬れない、棍は払えない」
「強豪を評論するか」 「TVや観客席で観てたよ」 「私のファンではなさそうだな」 「ああ。ぼくは誰のファンでもない。気に食わなかったから、引き方が」 「残念だ」 「そう思ってるなら」
「ならば示そう。強豪の武器を」 フェリックスが投盤体勢に入る。光子装填、190センチを超える偉丈夫がオーバースローで銀河を啓く。 「 "フォトン" 2体でオーバーレイ! エクシーズ召喚!」
 剣一振りで手札から、剣二振りでデッキから、龍を導く双剣士推参!

輝光帝ギャラクシオン(2000/2100)
@ORUを1つ消費⇒手札の銀河眼の光子竜を特殊召喚
AORUを2つ消費⇒デッキから銀河眼の光子竜を特殊召喚
[効果] [4] [光] [戦士] [フォトン×2]


「ORUを2つ取り除いて効果発動。ツインソード・フラッグ!」 環境の変化は生命への劇薬。
青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)》が銀河を渡航すればどうなるか。銀河的生物実験の末に生まれ、銀河横断の翼(ギャラクシー・ウィング)を備えた光の龍。全身を駆け巡る蒼き光がフィールド上を照らし出す。



銀河の果てより現れ出でよ!

銀 河 眼 の 光 子 竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)




『光ファイバーの如き筋繊維! その名は……《銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)》! 攻撃力3000は強者の証。Team Galaxyの代名詞が2巡目にしてその勇姿を現したぁっ! 《輝光帝ギャラクシオン》と合わせればその総火力はなんと5000! 一気に勝負を仕掛けるか!』

銀 河 眼 の 光 子 竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)(3000/2500)
戦闘を行うバトルステップ時、このカードと相手モンスター1体をバトルフェイズ終了時までゲームから除外する
(除外したモンスターがエクシーズの場合、エクシーズ素材の数×500ポイント攻撃力がアップする)
[効果] [8] [光] [ドラゴン] 


(銀河眼) パルムが心胆から身構える。 ( "あれ" が来る)
「はあああああああああああああああああああああああ……」
 照りつける太陽の庇護の下、光龍は発光し、強豪は発酵する。銀河の無限時間に交わることで強豪が瞬時に発酵。銀河的スケールに裏打ちされた強豪臭が会場中に広がっていく。  「強豪だ」 「強豪が決闘している」 「嗚呼、強豪が」 観客達が口々に騒ぎ出し、遂には会場中から強豪コールが巻き起こる。  「きょーごう! きょーごう! ごー! ごー! きょーごー! だい! きょう! ごう!」

「しかしてそれは! 精神感応系決闘者!」
 観客席。突然、肉塊がアリアの隣に降ってくる。アブソル・クロークスが所見を述べた。
「昨今の現代人は当たり前のように闘気をぶつけ合いながら生きているわけだが、その中でも、内と外の境界を越えるのに長けたものがいる。ある種の人間は特定の状況下でそれを成す」 アブソルは手をひらひらと振りまく。 「想いが重い分野で、ほんの一瞬通り道を作って拡散させる。確か
強豪軍(パワー・マーチ)】と言ったか。現代決闘は対峙の決闘。対戦相手の威圧感を真っ向から受け止めねばならない。OZONE内に発現した《銀河眼の光子竜》を媒介に、強豪散布で圧倒……さあ、どう受ける」

「デッドエンド店長の【全展開決闘(フル・エキスパンション・デュエル)】にちょい似てるか」 リードがぐっと拳を握りしめる。
「ドラゴン族使い特有の威圧感をこの上なく押し付けてる……が、大丈夫だ。パルムに強豪軍は通用しない。冬期大会の観戦中に試してる。あいつに権威主義が効くかよ……あ」
 はたと気付いたリードは、ラウに意見を求める。
「なあ、ミィはどうなんだ。あいつは……」
「親父さんから聞いたよ。あいつはTVに齧り付き、強豪をじっと眺めていた」

『なんという光量! 神々しき光の前にあっては抵抗の意思さえ萎びてしまうというのかぁっ!』
「これが、強豪、」 ミィの腕がだらりと落ちる。強豪の波に煽られ、死後を思わせるほど硬直したミィを襲う更なる追撃。銀河系強豪軍団が迫る。
「ギャラクシオンよ、ギャラクシーアイズよ」
(ミィを集中的に狙う気か?) パルムが眼輪をぎゅっと締める。
(ガードクラッシュとマインド・アドバンテージ。一呑みにするとでも。ミィ、動け)
 バトルフェイズ。ミィは動かない。《輝光帝ギャラクシオン》が双剣を構える。ミィは固まったまま動かない。《銀河眼の光子龍》が口にエネルギーを貯める。ミィがようやく盾を構えた。虎に睨まれた猫が身体を丸めるような挙動。弱者の防御を前にして、銀河の濁流が押し寄せる!



銀 河 流 星 強 豪 群(ギャラクシー・メテオ・ストロング・ストリーム)



パルム・ミィ:15800LP⇒10800LP
フェリックス・蘇我劉抗:12800LP

『喰らってしまったぁっ! 空を走るは粒子の滝か! ダメージ5000! ガードクラッシュ! 次のターンが終わるまで、高位生物の召喚は不可能! 無抵抗の代償はなんとも重い!』
「流石はフェリックス!」 「溢れんばかりの強豪臭!」 「圧倒、まさに圧倒!!」
 観客達が銀河の潮流に巻き込まれる中、 「むぅっ」 フェリックスはフィールド上の違和感を敏感に察知していた。違和感。虎に一蹴された筈の猫が、後退しながらも程良く動く。

 銀河の奔流がぶち当たったその瞬間、

 ミィは、

 既に発動を終えていた。

『吸収している! 四散した粒子を左手で吸収。己の身を癒やしているぅ! そして!』
 光の粒子を闇の波動に変換。ミィの右手から、吸収した攻撃力が実体化する。
「 "レベル1"、 邪精トークンをわたしの場に特殊召喚。攻撃力は3000!」
『ミィ選手既に! リンゴーズを仕込んでいたぁっ!』

フリッグのリンゴ(通常罠)
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、自分が戦闘ダメージを受けた時に発動
⇒戦闘ダメージの数値分だけライフポイントを回復し、「邪精トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守?)
1体を特殊召喚する(このトークンの攻撃力・守備力は、この効果で自分が回復した数値と同じになる)


パルム・ミィ:10800LP⇒13800LP
フェリックス・蘇我劉抗:12800LP

「教えた甲斐があるってもんだ」 テイルがぱんぱんと手を叩く。 「あいつらはぱっと見弱そうだから。見方を変えればそれも武器になる。大技を出す気がないならわざとガードクラッシュするのも一興。盛り上げるだけ盛り上げたところで冷や水を浴びせれば、動揺して崩れるのはあちらの方さ」 「悪い遊びを教える。情操教育に悪い」 「目には目を……ってなもんだ。にしてもいい根性してるよあいつは。道端に吐き捨てられたゲロより嫌ってる癖して、アブソルの技を自分のデッキに組み込むところがイカしてる。サクリファイスは無理でもトラップなら、リンゴならいける。なんせあいつは……」
「おいテイル」 リードが聞いた。 「演技指導は兎も角、そもそもどうやってあれを破ったんだよ」
「要は威圧感の上位互換だろ。気の持ちようで破れるのがハナからわかってんなら気合で破るのが手っ取り早い。発生源の《銀河眼の光子竜》を叩くって手もあるが、そんな悠長なことやってて勝てる相手でもないしな。んでミィにはそれができる」 「なんでだよ」 「そらあ、なんたって……

 ブロートンには文学的マントルピースを築かれ!

 ケルドには大勢の前で地縛神をぶち込まれ!

 跳腕のウエストツイストとの闘いでは軽く死にかけ!

 地下決闘では4人がかりで抑え込まれ人質に!

 決勝戦に至ってはエンドレスで全否定を喰らい!

 アブソルには脳味噌の皺の数まで数えられ!

 そして! 大会前の2ヶ月間、

 特訓と称してやられたい放題!」

「半分ぐらいはおまえの所為じゃねえか!」
「何回死ぬような目に遭わせたと思ってる。肝は据わってんだよ!」

「今まで色々あったんだ」 ミィは立つ。強豪の渦の中で。
「本当に色々……今更、強豪なんかにびびってたまるかっ!」
「……っ!」 『ミィ選手が啖呵を切ったぁ! フェリックス選手は、マジック・トラップを1枚セットしてターンエンドを宣言。さあここからはミィ選手のターンです!』

「ドローフェイズ、デッキから1枚ドロー。スタンバイフェイズ、《強欲なカケラ》にカウンターを1つ載せます。メインフェイズ、」 (頭の中に……部屋をもう3つ) 東側のパルム、北側のリュウコウ、そして西側のフェリックス。三方向に意識を飛ばす。 (今一番の問題は、) 《銀河眼の光子竜》を心の中で一瞥。一瞬の躊躇いを経て打って出る。 「手札から《クリッター》を通常召喚。バトルフェイズ。邪精トークンで……」 ミィの眼に映るもの。全力で来いと言わんばかりの ――
「蘇我劉抗さんにダイレクトアタック」
(よし) パルムが心の内から背中を押した。 ( 銀河歪曲航法(ギャラクシー・ワープ) があるから光子竜は倒せない、けど、その代わりダイレクトコースが空いてる。邪聖には効果がないからデモチェンは効かない)
 《サクリファイス》を彷彿とさせる、一つ目の炎がその場で回転。回る、回る、回る。まるでドリルのように高速回転した邪精がその場で飛び上がり、蘇我劉抗の土手っ腹を狙う。
「 "フリッグ・スパイラル"!」
『ミィ選手持ち直したぁっ! ガードクラッシュも関係なし!』
(このまま ―― ) (いける ―― )



なに闇属性晒してんだよ



「……っ!?」
『右腕が止めているぅっ! 《デモンズ・チェーン》ではない! これはぁっ!』
 藍色の決闘着と緋色の双眸。蘇我劉抗の右腕がフリッグ・スパイラルを押し返す。より正確には、大地に突き刺さった 決闘杭盤(パイルバンカー) の後押しを受け、蘇我劉抗と同期した機械人形の右手が押し返す。
『パイルバンカーで大地を発掘! 墓地から……あの一機が戻ってきたぁっ!』
 かつての英雄が使っていた内の一機。レベル4、闇属性、機械族、攻撃力1800……闘技場の記憶を揺り起こす魂の投盤。真っ赤な仮面に群青色の四肢。幅の広い足でしっかりと大地を踏みしめ、
 右の手の平で障壁を成す。
「邪精トークン 攻撃宣言時 ピンポイント・ガード 発動 ドゥルダークを 墓地から 特殊召喚 このターン ドゥルダークは 戦闘でも 効果でも 破壊されることは ない」 まるで死刑宣告のように淡々と事実を読み上げる。一旦、蘇我劉抗側に攻め込んだ邪精は身動きが取れず《クリッター》共々沈黙。メインフェイズ2。ミィは手札から1枚を置くが僅かに指が乱れる。エンドフェイズ。ミィはターンエンドを宣言するがほんの少し声が上擦る。有り触れた下級の1800族が、レッドマスクのリベンジャーが、OZONEの中で同期した右腕の威が、絶え間なく2人を威圧する。

「やぁってるなぁっ!」 右端の席に座る1人の男。ミツルの横から低い声が響く。ノーフレーム、オールバック、ダークスーツの抜札者。ミツルは振り向かずに応える。
「久しぶりだな、バルートン」
「懐かしいもんだ。ベンチの下にいるのはリミッツか? 3人仲良く昔話といきたいが、試合の方が気になるか」 「試合の方も、俺達にとっては昔話の延長だ」 「蘇我劉抗とは面白い刺客が来たもんだ。あいつの親父には俺等みんなが世話になってる。闇属性機械族……うちの連中なんてもろに影響を受けてるし、俺とて十字陣形の組み方を習ったようなものだ。……ヒーローだったからな」

「なぜ、時代は変わってしまったのか」
 蘇我劉抗のターンランプが点灯。ドローフェイズ、スタンバイフェイズ、メインフェイズ……何が来るかはわかっている。わかっているのに。ミィが唾を飲み込む一方、蘇我劉抗が鬨の声を上げる。
「父・蘇我劉邦の獄中死から一年。我が父は無類の演説好きであり、いかなる死地からも生還する不屈の闘志の持ち主だった。なのに死んだ。かつて栄光をほしいままにしてきた西の英雄が、死地を求めるかのような凶行に及び、新たな英雄に敗れてくたばった。惨めな負け犬としてくたばった」
 デュエルフィールドに闘気が張り詰める。蘇我劉抗の右腕を中心に。ドゥルダークの右腕を砲身に。自らはどっしりと腰を据え、宙ぶらりんになった邪精に照準を合わせる。動力源の闇を同胞殺しの毒素に変えて、かの右腕が少年少女を威圧する。
「あの日以来、目の前に壁が生まれた。ならどうする。答えは1つだ」
(来る) ミィが身構えたその瞬間 ―― 蘇我劉抗の右腕が吠える!



十年の壁をぶち抜け!
 
 
破 魔 空 掌 対 消 滅 拳(ドゥル・ダークネス・バースト)



『一点集中《ピンポイント・ガード》に一点突破のドゥルダーク。これがこの男の戦型かぁっ!』
 右腕からの黒線一条。邪精が跡形もなく消し飛び、その余波でミィは後退る。群青色の四肢に真紅の仮面。完全同期の右腕を掲げ、絶技の構えでそこにいる。

A・ジェネクス・ドゥルダーク(1800/200)
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動⇒このカードと同じ属性を持つ、
相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して破壊。
(この効果を発動するターン、このカードは攻撃する事ができない)
[効果] [4] [闇] [機械] 


「《A・ジェネクス・ドゥルダーク》の右腕はあらゆる闇属性を葬る。ヴァースキだろうが地縛神だろうが、さっきまででかい顔してたチンケな邪精だろうが等しく」
 尚も膨れあがっていく闘気。それがある一点に達した時、蘇我骰Rが名乗りを挙げる。
「なぜこの世は思いのままにならぬのか! 走路を塞がれて当たり前! 悪路を敷かれて当たり前! 人生という壁はいつであろうと分厚い。故に人は閉じこもる。しかし、敢えて歓迎しようではないか! 攻略される為に生まれてきた愛しき障害の数々を! ゴールの時を迎える為に!」
『こ、この沸き上がるような演説は! まるで、まるであの男の生き写し!』
「笑わば笑え。この俺こそ……西で最も愚かな男、蘇我劉邦の息子だ!」

 ―― 12年前、俺が8歳の時、親父の格好いい姿が焼き付いた

 ―― 11年前、俺が9歳の時、親父がズタボロになって帰ってきた

 ―― 10年前、俺が10歳の時、親父はミツルに追い落とされた

 ―― 1年前、俺が19歳の時、ミツルに敗れた親父は死んだ

(この衝撃波) ミィが身体で感じ取る。右腕の、その意味を。
「お父さんがいた決闘、お父さんがいなくなった決闘、それが」
「過去の最強を超え、現在の最強を倒す。その為の右腕だ! 全身全霊、効果を発動したドゥルダークは攻撃宣言を行えない。しかし!」 蘇我劉抗が 決闘杭盤(パイルバンカー) を浮かせる。「一周一度の通常召喚権を行使し、《A・ジェネクス・ドゥルダーク》をリリース」
(籠もってる。あの右腕には、) 闇殺しの闇がもう1つ。悪魔族の証明たる二本の角、闇属性の証明たる一色の鎧。即ち、 「《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚!」

邪帝ガイウス(2400/1000)
アドバンス召喚に成功⇒フィールドのカード1枚を除外
(除外したカードが闇属性の場合、相手に1000ダメージ)
[効果] [6] [闇] [悪魔] 


「 "グラビティ・バニッシュ"!」 漆黒の邪帝が両手の中に重力球を生み出し、闇属性の《クリッター》を、召喚師のミィを狙う。 (あの右腕にはおっきな想いが籠もってる) 「だから!」
 目一杯広げられた小さな両手。膝を付いて腰を落とし、地べたに手の平を押し付ける。重力を受け止めるのは大地の仕事。一気呵成、重力への抵抗勢力が大地から捲り上がり、発動寸前のガイウスを逆に押し潰す。 「カウンター・トラップ、《畳返し》を発動!」
『岩の畳が邪帝を砕く! 重力波を打ち払い! ガイウスを叩き潰したぁっ!』
「地雷、踏みましたね」 ミィの言葉に蘇我劉抗が舌を巻く。
「1発目が通ったもんでちょいと油断した。《畳返し》とは味な真似を」
「《邪帝ガイウス》。ミツルさんの十八番を、敢えて……?」
「世の闇とやらを暴くなら、自分もそうなるのが手っ取り早い。おまえが言った通りだ。親父がいた頃の決闘と、ミツルがいる目下の決闘。それが、」
「テロくんがいた決闘と、テロくんがいなくなった決闘」
「……?」 「ぶつけるものならわたしにだってあります。だから、」
「ああ、そうかい。マジック・トラップを2枚セット。ターンエンド」

「大丈夫なのかよ、あいつ」 Team Galaxy側の観客席がにわかに騒がしくなる。 「闇属性使いなどアテにすべきじゃない」 「やっぱりアイゼンマインさんが出るべきだったんじゃ」 口々に騒ぎだし隊列が乱れる中、参謀ゴック・アイゼンマインが一喝する。
「雑音が多いぞ! 今送るべきは声援は一種で十分!」
 瞬間、バーベルとガックが気遣うような視線を送るがアイゼンマインは首を振った。
「蘇我劉抗は、闇属性使いを倒す為に生まれた闇属性使い。対ミツルへの刺客として、私とあいつはこの2ヶ月切磋琢磨した」 「アイゼンマイン……」 「悔しいかな、差は開いたよ……ならば! フェリックスの決断を私は依然支持する!」

Turn 9
Life 13800
Life 12800
■パルム
 Hand 6
 Moster 1(《カードガンナー》)
 Magic・Trap 1(セット)
□フェリックス
 Hand 5
 Monster 2(《銀河眼の光子竜》/《輝光帝ギャラクシオン》)
 Magic・Trap 1(セット)
■ミィ
 Hand 1
 Moster 1(《クリッター》)
 Magic・Trap 2(《強欲なカケラ》/セット)
□蘇我劉抗
 Hand 3
 Monster 0
 Magic・Trap 2(セット/セット)

「ドロー」 パルムが西北を一瞥。銀河渦巻く眼前のフィールドを分析する。
銀河眼(あっち)のターンはまだ続いてる。ぼくの仕事は? 蘇我劉抗の芸風を考えると迂闊に闇属性を晒せない、が、セットにしておけば向こうも踏みづらい。今やるべきは"晒さない" こと。バイソンからぼくの地雷ぶりを聞いてるなら初見殺しは効かない。けれどその分、二の足を踏むってこともある)
「デッキトップから3枚墓地に送って《カードガンナー》の効果発動」
(これで "16"。 あと少し) 1枚目:《召喚僧サモンプリースト》、2枚目:《終末の騎士》、3枚目:《オオアリクイクイアリ》。己の異変にふと気付く。 (何が落ちても肥やしになるよう組んだ筈なのに) 知らず知らずの内に拳を握っていた。 (サモプリが落ちなければ、サモプリでサモプリを喚べたとか考えてる。我が侭になる) ゆっくりと手を開き、シャツの端で手汗を拭いながらバルートンとの一戦を思い出す。 (あん時も、手に汗握ったっけ) 横目でミィを一瞥。 (あん時以上かも)
『三巡目の攻防が始まった! 総火力5000の軍勢相手にいかなる決闘を見せるのか』
「バトルフェイズ、《カードガンナー》で……蘇我劉抗に直接攻撃。 "アーム・キャノン" 」
『銀河系軍団をスルー! ダメージを取りに行ったぁっ!』
「やらせん!」 フェリックスが横着を咎める。両手を合わせ、両手を開き、走らせるのは次元の裂け目。戦車の騒音を沈黙の牢が閉じ込める。 「《次元幽閉》か。もう1枚ぐらい引きたかったのに」 後続を射出する暇もなく、《カードガンナー》が異次元に消える。 (貯めて、削って、また貯める。それがぼくの仕事) 「ならメインフェイズ2。モンスターを1体セットしてターンエンド」

(わたしが、やる) ミィが水面下で牙を研ぐ。一旦蘇我劉抗のマークを外し、今にも引かんとするギャラクシー・フェリックスを凝視する。 (来るなら、いつでも) 迎え撃つべき2つの光。青白い光を発する《銀河眼の光子竜》と、双剣を構える《輝光帝ギャラクシオン》。
 ドローを終えたフェリックスが指令をくだす。
「《輝光帝ギャラクシオン》を守備表示に変更」
(ミラフォ警戒? 銀河歪曲航法(ギャラクシー・ワープ) で躱す? そっちが後ろに退がるなら)
 フェリックスが《銀河眼の光子竜》に単体攻撃を命じる。 『滅びの爆裂疾風弾』 と同等の威力を持つ粒子の奔流。 (そっちが後ろに退がるなら) 標的にされた "攻撃表示" の《クリッター》を一瞥。
「わたしの方から前に行く!」
 粒子の奔流に巻き込まれながらミィが一歩を踏み出した。着弾の瞬間《クリッター》が、機雷生命体《クリボー》一族の末裔とも言われる三ツ目の毛玉が分裂。霊体となって光子龍と双剣士に取り憑く。 "Bounce" "Deck" "Double" ……救助という概念は、前進を促す為にある。 「 自由 解放 」
『完璧な受身からの逆襲! 【銀河的拒否権(パワー・ビート)】を攻略し2体纏めて吹っ飛ばしたぁっ!』

自由解放(通常罠)
自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動。
フィールド上に表側表示で存在するモンスター2体を選択して持ち主のデッキに戻す。


パルム・ミィ:13800LP⇒11800LP
フェリックス・蘇我劉抗:12800LP

 一度目は、【強豪軍(パワー・マーチ)】からの銀河流星強豪群を凌ぐ

 二度目は、西部の名産品こと邪帝ガイウスを阻む

 そして三度目。少女が、銀河系軍団を跡形もなく消し去る

(すごい ―― ) ミィは噛みしめる。跳腕戦以上の成果を。
(いっぱい考えて、現実になって、ゴールに近づいて……楽しい)
「《クリッター》の効果で、デッキから《カードガンナー》を引っ張ります」
(考えて、組んで、投げて、撃って、本番で繋がるのって、こんなに楽しいことだったの?)
『銀河系軍団がまさかの全滅っ! 十重二十重の攻勢をミィ選手が受け返したぁっ!』
「《フリッグのリンゴ》、《畳返し》、そして《自由解放》。デッキそのものが地雷原」 フェリックスは意外なほど淡々と述べる。 「一の罠が十の面で牙を剥く。十面埋伏というわけか」
『おぉーっと! ミィ選手は牙を持っていた! トラップという名の鋭い牙を!』
 ミィの、二ヶ月の成果。喰らうだけ喰らい、覚えるだけ覚え、それらを片っ端から試せるだけ試す。辿り着いた先が激突着火の地雷原。迂闊な踏み込みは死に繋がる。
「 『地雷、踏みましたね』 か。両方地雷とは良い度胸。虫も殺さぬ顔をして」
「テイルさんに教えてもらいました。あの人、人は善いけど根性悪いから」
「《クリッター》の攻撃表示は、ダイレクトアタックを狙うばかりではない。こちらの攻撃を惹き付ける狙いも兼ねていた。そうすることで《自由解放》のトリガーに……避雷針の如き立ち回りか」

「おい、まただ」 「また強豪が凌がれた」
「今年こそ強豪だと思ったのに。あーあ」
「まぁたフェリックスの強豪詐欺かよ」
「10年間飽きずによくもまあ……」
「名前負けしてるんだよ、あいつは」
「図体がデカイだけで中身がない」

「……」 失望の声が上がる中、フェリックスは沈黙していた。小型の人工太陽を両手から生み出すと墓地の深部に光を当てる。 「《銀河零式(ギャラクシー・ゼロ)》を発動。銀河一刀流の剣士《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚。更に手札から(たつ)の光り子《サンダー・シーホース》を通常召喚。この2体を装填し、《竜魔人 クィーンドラグーン》をエクシーズ召喚。効果発動。 "ドラゴニック・ソウル"」
 下半身を龍の四肢に変えた女王龍。全身から噴き出す赤い炎で焚き付け、墓地から青い光を喚び戻す。 「2巡目の《トレード・イン》により、墓地に送っておいた "1枚目" 」
『早い! 一巡を待たぬ再召喚! 再び光子龍が飛翔するっ!』
「《銀河眼の光子竜》を特殊召喚。ターンエンド」

竜魔人 クィーンドラグーン(2200/1200)
@他のドラゴン族が戦闘で破壊されることを防ぐ
A墓地のドラゴン族を制約付きで特殊召喚できる
[装填] [4] [闇] [ドラゴン]


「あれは冬期でも使った龍」 ミツルが呟く。
「初めて観た時から気にはなっていた。女王龍は闇属性」
「偶々じゃないすか」 レザールがすげなく言った。 「あん時も思ったけど、あれじゃあ借りてきた猫もいいところ。張り子の虎の強豪は案外脆い。見栄を切り返せば崩れるっていうか、実際それで冬期は勝てた。あの人が取りこぼすいつものパターンっすよ。見栄を張るだけ失望もデカイ」
「……本当に、そうだろうか」

「わったしのターン、ドロー! 《強欲なカケラ》を完成させて墓地に送ります。デッキからもう2枚!」
『ミィ選手絶好調! 多種多様な罠を使いこなし、試合の主導権をぐぃっと一気に引き寄せたぁっ!』
「わたしも《カードガンナー》を通常召喚。デッキトップから《カードカー・D》、《煉獄の落とし穴》、《死者蘇生》を墓地に送って攻撃力を1900まで上げます。バトルフェイズ」
 高火力・高燃費・低装甲の三拍子、 "アームキャノン" でがら空きの蘇我劉抗を狙う。爆発……ライフポイントは変わっていなかった。爆発を起こしたのは境界線、相殺したのはアームキャノン。
「2枚目の《ピンポイント・ガード》を発動。ガンナー同士は攻める方が有利……とは限らない」
『なんとか凌いでいる! しかし、ミィ選手はまるで動じていません! ここからが真骨頂か!』
(防御してくれるなら万々歳。それだけパルくんのアタック・チャンスができる。後は、ここから)
 ミィのデュエルオーブが鮮やかな光を発した。台座から放たれた3本の剣がフェリックスの火力を封じ込める。通常マジック、《光の護封剣》。

光の護封剣(通常魔法)
@相手フィールド上のモンスターを全て表側表示にする。
A相手のターンで数えて3ターンの間、フィールド上に残り続ける。
Bこのカードが存在する限り、相手フィールド上のモンスターは攻撃宣言できない。


「更に! マジック・トラップを2枚セットしてターンエンド」

 Set Card     光の護封剣     Set Card

           カードガンナー


「おい、また地雷が置かれたぞ」 「今度は一体何を伏せたんだ」
「そろそろミラフォか?」 「《硫酸のたまった落とし穴》かもしれないぞ」
「あの子、本当に中学生?」 「あっちの方が余程強豪じゃないか」
 少しずつ、少しずつ、ミィを観客達が認知する。フィールドのド真ん中で踊るように札を繰りだす決闘少女。綺麗な受身と地雷の発動、その1つ1つが観客達の興味を煽る。
『完全に、完全にミィ選手が主導権を掴んでいる!』

 獲物を前にした猫のように、ミィが正面をじっと見つめる。蘇我劉抗は依然として右腕を掲げ、付属の 決闘杭盤(パイルバンカー) から1枚を左手で引き抜いた。ミィは2枚のセットカードに心の導火線を伸ばし、いつでも両手を動かせるよう臨戦態勢を取る。投盤? 発動? 右腕から何が来ようと。
「《カードガンナー》起動。デッキから《終末の騎士》、《激流葬》、《カゲトカゲ》を……」
 墓地が少し肥える。何か来るかも知れない。右腕の威が一層強まったように感じられる、そんな矢先の出来事。手の平が光ると同時に、右腕から渾身の威が放たる。
「調子に乗るのもここまでだ、《DNA移植手術》を発動!」

DNA移植手術(永続罠)
発動時に1種類の属性を宣言する。このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上の全ての表側表示モンスターは自分が宣言した属性になる。


「属性を、 『闇』 に変更!」
 生まれながらのコンボカード。この時、ミィは自分が流れに乗っていることを確信した。身体の内側に戦意を高揚させ、コンボ発動の瞬間を待つ。 「ミィ、がんばれ!」 横合いからコロナが声援を送るが聞こえていない。それほどの集中力。
(砂塵がある。防御もある。ここから、何が来たって)



黒 華 黒 曜 全 消 滅 拳(ドゥル・ダークネス・ブラスト)



『ミィ選手のフィールドが、4枚纏めて吹っ飛んだぁーっ!』
「えっ?」 強豪軍の次は強行軍。ミィは目の前は一瞬真っ黒になり、すぐに真っ白に変わる。見渡す一面焼け野原。何もできなかった現実を徐々に受け入れ、受け入れる度に顔の蒼みが増した。
「なになに!? 何が起こったの!?」 ティアが素っ頓狂な声を出す。
「見てなかったの? 今」 「あ、えっと向こうに、長い棒に乗ってる変な人が……じゃなくて! ミィちゃんなんでああなったの? 《DNA移植手術》で何かしたの?」
「なんも」 シェルはぶっきらぼうに淡々と言い連ねた。
「《DNA移植手術》に《マジック・プランター》を打ってフィールドからカードを引き上げて、《ブラック・ボンバー》でドゥルダークを釣ったの。それだけ。たった1枚で全部ひっくり返った」
焼夷弾(ブラック・ローズ・ドラゴン)」 コロナが沈痛な表情で言った。 「あんなに頑張ってたのに」

ブラック・ボンバー(100/1100)
召喚成功時 墓地からレベル4・闇属性・機械族
モンスター1体を効果を無効にして特殊召喚
[調律] [3] [闇] [機械]
ブラック・ローズ・ドラゴン(2400/1800)
シンクロ召喚に成功した時、フィールド上の
カードを全て破壊できる
[同調] [7] [炎] [ドラゴン]

「闇属性は穿つ。それ以外は払う」 蘇我劉抗は尚も右腕を掲げていた。
「地雷罠の陳列所なんだ。何を伏せてるかは読めなかった。ならそれでいい」

「ミィの戦法は、相手も怖いけど自分も怖いの」 "アリィさん" が淡々と言った。
「地雷は刺さる範囲が狭いから。ミィもそれはわかってた。わかっていたから、デッキそのものを地雷原にすることで対応した。置けば置くほど……弱点もある」
「脆弱性か」 ミツルの言葉に、アリアは静かに頷く。
「馬鹿の一つ覚えは動きを読まれやすいけど、その分出会い頭を防ぎやすい。ミィのは違う」
「布陣で守れても布陣を守れない。地雷原からの対空砲火は知れている。このタッグ大会、《大嵐》や《ブラック・ホール》は禁止されているがマス・デストラクションなら他にもある……来る時は来る」
「さっき使った《畳返し》ならブラボンも止まる、けど、墓地に行ってる。死角がチラ付いたところに力をねじ込む姿勢。愚直な一点突破がドゥルダークの決闘」
「黒爆弾経由の絨毯爆撃……。愚直を否定せず、強引にねじ込むのが正解ということもある」
「戦闘破壊をトリガーに発動する《自由解放》。直接攻撃をトリガーに発動する《フリッグのリンゴ》。わたしやアブソルを参考にしたんだろうけど、受身を前提に発動するスタイルはミィに合ってる。合ってるけど、1発喰らうのが致命傷になることもあるから」

 ミィの額から数滴の汗が滴り落ちる。軽快に動いていた身体が、沈みかけの夕日のようにぐぐっと重い。汗が滲んだスクールシャツとスパッツが、首筋まで伸ばしたセミショートが、全身にへばりつくのを感じずにはいられない。抵抗力が下がったところに蘇我劉抗の言葉が刺さる。
「コカライア使いから学んだ一発だ。マジック・トラップを2枚セットしてターンエンド。そうそう何度も刺さりはしない。一度で駄目なら二度三度。一発通れば致命傷。そういうもんだろ」

Turn 13
Life 11800
Life 12800
■パルム
 Hand 6
 Moster 1(セット)
 Magic・Trap 1(セット)
□フェリックス
 Hand 4
 Monster 2(《銀河眼の光子竜》/《竜魔人 クィーンドラグーン》)
 Magic・Trap 0
■ミィ
 Hand 2
 Moster 0
 Magic・Trap 0
□蘇我劉抗
 Hand 3
 Monster 0
 Magic・Trap 2(セット/セット)

 青い空が徐々に赤く染まっていた。夕方の静寂。焼夷弾が落っこちた後の、焼け野原特有の静寂。目の前の光景は然程変わっていない。光子龍を喚び出す双剣士が、光子龍を生き返らせる女王龍と入れ替わった程度。対照的に、ミィのいる南側の空白が嫌でも目に付いた。
「ドロー。《魔装機関車 デコイチ》を反転召喚。リバース効果を発動、デッキから1枚」
( "18"。 微妙なライン。タッグで勝つなら、2人分反転させるならあと一声欲しい。けど)
 パルムは前方の様子を伺う。青い光子龍と赤い女王龍が夫婦のように並び、威圧する。
(総火力5200。ミィの防御が吹っ飛んだ今、放っておくと10000ぐらいは平気で積まれる)
 ライフポイントを確認。危険区域に踏み込んだことを認識し、頭の中で対策を練る。
(ディスパーチ。ミィの場に壁を……) 一瞬目が泳いだパルムは……次の一瞬で航路を決める。
「やるしか、ない」 パルムが 決闘集盤(ウエスト・ピッカー) をその手に掴む。十八番の1枚を挿し込むと意を決したように投盤。真っ向から勝負を挑む。 「召喚僧、サモンプリーストを通常召喚」

魔装機関車 デコイチ(1400/1000)
リバース⇒デッキから1枚ドロー
[効果] [4] [闇] [機械]
 
 
召喚僧サモンプリースト(800/1600)
1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動
⇒デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚
(このターン、そのモンスターは攻撃できない)
[効果] [4] [闇] [魔法使い族]  

『遂に業を煮やしたか、パルム選手が動きます!』
 《火の粉》から《真炎の爆発》に至るまで、あらゆる魔術を置換する偏執狂的召喚師。パルムは手札から《火炎地獄》を取り出し、召喚魔法への交換を試みる、が、
『悪魔の鎖が召喚師を絡め取る! 今を去ること1巡目、強欲謙虚で引き当てた1枚。虎の子の《デモンズ・チェーン》をなんとここまで温存していたぁっ!』
(やってくれる。いくらここ一番で止めたいからって)
 パルムはふと気づく。違和感が頭の中で連鎖していた。
(1巡目の強謙……《デモンズ・チェーン》と《ピンポイント・ガード》の入れ替えにまるで気づかなかったのはなぜだ。《ブラック・ローズ・ドラゴン》の気配、まるで感じ取れなかったのはなぜだ)
 パルムは1回額の汗を拭おうとする。その際、腐腕の業がチラ付いた。
(……あの右腕) 蘇我劉抗の右腕は尚も掲げられたままそこにある。
(壁のような威圧感。波のようなフェリックスとはまた違う。自分と他人の境界にこれでもかと言わんばかりの線を引いているタイプ。その線があまりにはっきり見えすぎる。……不自然なほどに)
 何千何万と、飽きることなく掌底を打ち込んできた右腕。指の第二関節は勿論、筋の1つ1つにまで意思が通う右腕。それが何を意味するか、記憶の底から探り出す。
「 『手は口ほどに物を言う』 吸収店長の口癖か」
「流石に気付くか。腕に覚えがあるらしい」
「遊園地でのレザール戦、右腕から出る不用意な殺気を読み取られてあんたは敗北した。その結果から学習したんだ。 "右腕から読まれるならむしろ読ませればいい"。 黒薔薇で吹っ飛ばされたセットカードの中には《砂塵の大竜巻》もあった。あれを使えば《DNA移植手術》を割れたけどそうはならなかった。あんたの手の平が 『今からこのカードで仕掛けるぞ』 と言わんばかりの殺気を放っていた所為で、ミィの反応が無意識の内に遅らされたんだ。属性変更を使ったコンボ、冷静に考えればあの場で何やるんだって話だけどまんまと釣られてしまった。その結果があれだ」
「何事も一点に収束すれば活路が見える。おまえたちの煩雑さは、俺には甘い」
「強謙で入手した《デモンズ・チェーン》の時もそう。右腕に注意が行きすぎて、左手を使ったカードの入れ替えに気付けなかった。余計な殺気をそぎ落として一点集中、精度を上げる。
【Doulldark Shooter】……あんたらしい伸び方だよ、蘇我劉抗」
「言った筈だ。俺はまだまだ強くなれると。おまえはどうなんだ、パルム・アフィニス」
「……《魔装機関車 デコイチ》と《召喚僧サモンプリースト》でオーバーレイ、《ラヴァルバル・チェイン》をエクシーズ召喚。効果発動。ORUを1つ取り除き、デッキから墓地に1枚落とす」
「《キラー・トマト》を落とし《スポーア》をスタンバイ。それで終わりか」
「冗談。墓地から《カードガンナー》を除外して《ギガンテス》を特殊召喚。ここから!」
 《大嵐》を呼ぶと言われる、中盤のファンタジスタ《ギガンテス》を起点に描かれた三角形。フィールド上の《ギガンテス》と《ラヴァルバル・チェイン》、及び、墓地の《カードカー・D》がトライアングルを描く。あらゆる生物を吸い込むと言われる魔の三角海域、その渦が引き込む夏の嵐(テンペスト)。それが、



もう一度流れを吸い寄せろ!

The アトモスフィア、特殊召喚(スペシャル・サモン)




『パルム選手が遂に大駒をぶち込んだぁっ! 天鎧鳥(てんがいちょう)の水晶玉が勝利を映してみせるのか!』
 射程範囲は戦場三面。ビッグ・アイ、クロキシアンと並ぶパルムの反転兵器が天を飛ぶ。
「効果発動! "テンペスト・サンクションズ" 」 両脚に掴んだ水晶玉で《銀河眼の光子竜》を吸い込むと空高く飛翔。音速を超え、銀河を跨ぎ、衝撃波そのものとなって襲いかかる。即ち、
「《竜魔人 クィーンドラグーン》を攻撃。 "ギャラクシー・テンペスト"!」
『攻撃力4000の暴風雨! 女王龍が吹き飛んだぁっ!』

パルム&ミィ:11800LP
フェリックス&蘇我骰R:12800LP⇒11000LP

The アトモスフィア(1000/800)
@1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターをこのカードに1体のみ装備できる
Aこのカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値分アップする。
[特殊] [8] [風] [鳥獣] 


(暑いからかな。いつもより、疲れる)
 パルムはもう一度汗を拭うとターンエンドを宣言。なんとか一息付こうとするが、その瞬間びくりと肩を震わせる。見た。確かに見た。ずっしり構えるフェリックスの双眸を。
(腑に落ちない。冬期のフェリックスは躁鬱の激しい虚栄家だった。これまでの印象と食い違ってる。序盤から何度も出し抜かれるのにまるで動じず、山のように聳え立ったまま。何かがおかしい)
 パルムの違和感に応えるかのように、フェリックスが重い口を開く。
「自慢の【反転世界】も、万全でなければ威を失う」
「……光子龍と女王龍は、不発狙いの撒き餌か」

「フェリックスさんはあれで結構相手(メタ)に合わせる」 ミツルが同胞の決闘を語る。
「序盤は【強豪軍(パワー・マーチ)】で大胆に仕掛け、マインド・アドバンテージを狙った。しかしそれで通用しないとわかれば、ミィ・パルム両名の反撃に細心を持って応える」

16歳と14歳。随分と低年齢化したものだ」 フェリックスが静かに言った。 
「不満があるの?」 パルムの言葉に一瞬自嘲気味な笑みを浮かべる。そして、

「【強豪軍(パワー・マーチ)】を物ともしない。……虚心坦懐を持ってあたろう、パルム・ミィ」
 重厚なるフェリックスの雰囲気を感じ取り、観客達もまた騒ぎ始める。
「名前を呼んだ」 「あの1つ1つの落ち着いた所作……」 「ひょっとして、強豪?」
「この雰囲気、まさか、」 会場全域に散布した強豪を熟成。更にもう一度吸い込むことで、
(【強豪循環(パワー・サーキュレーション)】? 違う。肌に吸い付けたような強豪じゃない。身体の芯から強豪を)

「強豪!」 「強豪!」 「強豪!」 「強豪!」
 Team NeoGalaxyのベンチの上から数多の強豪コールが響き渡る。【強豪演舞(パワー・エンブ)】。Team Galaxy 『参謀』 ゴック・アイゼンマインが着想し、Team Galaxy 『工兵』 バーベル・クラプトンが仕込み、『歩兵』 ガックブルー・ハラハーラが確保した空間。Team Galaxyが一丸となり、スターティング・メンバーにエールを送る。 「強豪!」 「強豪!」 「強豪!」 「強豪!」

「ドロー」 フェリックスの眼前には、露わになったパルムの主力がいた。
「セットモンスターも、セットトラップも、隠された地雷は確かに恐ろしい。《レプティレス・ナージャ》1枚で戦況が変わることもある。……ならば我々は、日の下に晒して雌雄を決する」
 今を去ること一巡目。既にフェリックスは晒していた。真っ向勝負で踏み越えていく為の構築。確信を持って発動されたそれは、ある種の二面性を持ってTeam FULL BURSTに襲いかかる。

 戦地での発動は主に防衛を務める。手の平から光弾を発射し、脅威を掻き消す

 墓地での発動は反撃の狼煙を上げる。手の平から闇霧を放射し、急所を炙り出す

「墓地から《ブレイクスルー・スキル》を発動」

ブレイクスルー・スキル(通常罠)
@相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動
⇒ターン終了時までその効果を無効にする。
A自分ターンに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動
⇒ターン終了時までその効果を無効にする(このカードが墓地へ送られたターンには発動できない)


 フェリックスが放出した暗霧が天鎧鳥の水晶玉を曇らせた。堪らず《銀河眼の光子竜》を放出した《The アトモスフィア》は下級同然の本体を晒す……パルムは気づき始めていた。
(【強豪軍(パワー・マーチ)】も【強豪循環(パワー・サーキュレーション)】も虚の技に過ぎない。なのに……この威圧感は冬とは違う。来る!)
「パルム・アフィニスに《召喚僧サモンプリースト》あるならば、我が手には《銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)》あり! サモン&リリース! ギャラクシー・カードを我が手に!」

銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)(0/1800)
@1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動⇒このカードのレベルをエンドフェイズ時まで4つ上げる
Aこのカードをリリースして発動⇒デッキから「銀河の魔導師」以外の「ギャラクシー」カード1枚を手札に加える。
[効果] [4] [光] [魔法使い] 


『銀河から援軍が飛んできた! 《銀河騎士(ギャラクシー・ナイト)》が天から降り注ぎ、そのまま土葬でチェックイン!』
「2枚目の《トレード・イン》を発動! 《銀河騎士》を墓地に捨て、デッキから2枚ドロー!」
 引き当てたのは光の剣。フェリックスが "斬り続ける為の剣" をその手に宿す。
「モンスターも、マジックも、トラップも、真っ向勝負で全てを暴く。チャージは完了した!」


 銀河一刀流の剣士 ―― フォトン・スラッシャー


 銀河一棍流の戦士 ―― フォトン・クラッシャー


 銀河の伝道師 ―― ギャラクシー・ウィザード


 銀河赤道最強の騎士 ―― ギャラクシー・ナイト


 銀河跳躍の光子龍 ―― ギャラクシー・アイズ



5つの光が新たな光を喚び起こす!

ライトレイ ギア・フリード、特殊召喚(スペシャル・サモン)




『光輝なる騎士降臨! 戦闘でモンスターを斬り裂き、効果でマジック・トラップを斬り裂く光の剣。Team FULL BURSTへの解答が光の中より現れたぁっ!』

ライトレイ ギア・フリード(2800/2200)
自分フィールド上に表側表示で存在するのが戦士族のみの場合、
自分の墓地の戦士族1体を除外する事で、マジック・トラップ
の発動を無効にし破壊する(1ターンに1度しか使用できない)
[特殊] [8] [光] [戦士] 


「見ろよ相棒」 バイソンが傍らのゼクトに言った。
「おまえとお揃いの 『ライトレイ』。 あの投盤、どうよ」
「ふんっ。物に釣られる私ではない。フェリックスよ」
 高位の白魔導士ゼクト・プラズマロックのそれは、
 一喝であり発破であり自問であった。
「強豪としての、魂を示せ」

「バトルフェイズ」 白騎士が剣を振り上げた。銀河眼を彷彿とさせる青い光と共に、丸腰の天鎧鳥を斬り裂く。 「《ライトレイ ギア・フリード》でアトモスフィアを攻撃。 "ライトレイ・ギガ・スラッシュ" !」

パルム&ミィ:11800LP⇒10000LP
フェリックス&蘇我骰R:11000LP

「やるっ! けど、単騎攻撃なら」 「光の剣は1本とは限らん」
「もう1本、おまけでも?」 「3本だ!」 「……っ!?」
 《トレード・イン》で引き当てた光の剣。供給源となる台座から放たれ、時間軸を斬り裂く光の剣がパルムの反転を閉じ込める。通常マジック、《光の護封剣》。斬る為ではなく、斬り続ける為の剣。
「ぼくの反撃を封じて……こっちがくたばるまで斬る為の」
 《デモンズ・チェーン》、《光の護封剣》……北から、西から、パルムを圧力が襲う。
『徐々に徐々に本領発揮。一点封鎖の《デモンズ・チェーン》に四刀封殺の護光剣! 主導権争いもこれにて幕か。Team NeoGalaxyが……迫り来る波の壁となって圧し潰すっ!』

「流石フェリックスさん」 ミツルが感慨深く言った。
「盛り上げ所を分かっている。こうなると強い」
「なんすか、それ」 不安げに聞き返すレザールに対し、少し考えてからミツルは言った
「吐き出すばかりが強豪ではない……おまえとの決闘でそう悟ったのかも知れない。1つ1つの、地道な作業を経たその成果。既に強豪は循環していた」
 言葉の1つ1つが腹筋に刺さる。 「旦那といい、蘇我劉抗といい、あいつら……」 ふと生まれた焦りから、レザールは拳を握りしめ呻くように呟く。 「あん時よりも、遙かに強くなってるってのか」
「《光の護封剣》が堂に入ってる」 横から言ったのはバルートン。 「うちのボーラが習得に苦労した魔法だが、光の魔法なら向こうに一日の長がある。あのガキもそうだ。短い期間で良く覚えたがまだ足りん。《光の護封剣》は引き籠もって守る為のカードじゃない。守る護封剣は弱い。仮にも剣だぞ。攻撃宣言を視野に入れず守るだけなら他でもいい。《光の護封剣》は、攻めてる時のが強い」
「それほどの光属性使いが敢えて異物を取り込んだ。上級多用戦闘主体の光属性使い、下級多用効果主体の闇属性使い。異なる技の使い手だが共通項もある。晒すことによる威圧感、暴くことによる決定力。強豪ならではの威圧感を決闘の戦果にまで及ぼしていく。フェリックスさんは強豪により、蘇我劉抗は右腕により常時プレッシャーを掛けているんだ。一度や二度払いのけたところで、圧力そのものが消えるわけではない」 聞いたレザールがパンッと膝を叩く。 「プレッシャーを掛けられれば掛けられるほど弱味を晒す。窮鼠が飛んできたところを狙い澄ましてぶっ潰す……か」
(本当にそれだけか?) ミツルの頭にふとよぎる。 「……おまえはどう読む、バルートン」
「そのページが捲られるかどうかは……あいつら次第だ」

「こんなことで……」 パルムは顔を伏せない。汗だくの身体を奮わせ、西部をじっと睨み付ける。
「思うなよ……。こんなことで、ぼくの【反転世界(リバーサル・ワールド)】を止められると……っ!」
 目の端から、ほのかにデュエルオーラが漏れ出すほどの殺気。 「二重の威に抗うか」 蘇我劉抗が威を高める。 「退がるまで押し込み、そのまま貫く」
「ターンエンド」 フェリックスの言葉にはズシンとした重みが加わっていた。会場を取り囲む4つのドラゴンヘッドが視線を交えるド真ん中。光輝の剣と右腕の盾が少年の前に立ち塞がる。

 そんな中、

 じっと見ていた。ぽつんと1人、何もない空間の中で少女はじっと見ていた。ふと思い出す。町外れにあるこぢんまりとした家、1人ぼっちの小さな部屋、電波を受信する四角い箱。
(あの時も、見ているだけだった)
 ぽつんと1人取り残されたフィールドでミィは実況の声を聞いた。 『次はミィ選手のターンです』 "ターン" という言葉に然程の響きはなかった。 「良くやったよ」 「強豪相手に良くやった」 観客の温情。 「がんばれ!」 「ピンチはチャンス!」 コロナとティアの激励。その全てが、どこか空々しい響きを隠しきれていなかった。目の前では、蘇我劉抗が尚も右腕を突き出している。
「多少、驚かされたがそれだけだ。受身に回った左腕……そんなものでは貫けん」
 強豪、右腕、視線、歓声……四方八方から乱れ飛ぶ中 ―― ミィの瞳にははっきりと映っていた。
(人と人の間にはいつだって壁がある。ここにいるのはみんな違う人達。全然違う人達が、自分の箱を限界まで高めて、ぶつけ合う) 軽く深呼吸してデッキからドロー、ホルダーにセット……
 "手の平サイズの小さな部屋(パルーム)" を掲げて言い放つ。 「わたしにも……ある」

 ―― 思い入れを思い出に変える。本当はわかってた。みんなそうなのに。わたしだってそうなのに。《ツイスター》を《砂塵の大竜巻》に変えた時から分かってた……決闘者のデッキは、いつだって変わっていく。弱いのに、変わるのを拒絶したら駄目なんだって、本当は最初からわかってた。

 ―― このカードはぼくが、何もしてやれなかったエースカードなんだ。トラップを使えないぼくには、サモプリで五枚規制を凌ぐしかないぼくには、このカードの性能を引き出すことはできなかった。いつしかぼくは、相性の悪さを理由にして投げ込むことすら諦めてしまった


「おい! このまま終わるつもりかよ!」 3人娘が思わず耳を塞ぐほどの大声。Team Earthboundのルーキー、ケルド・アバンスが吠えた。 「負けてんじゃねえぞ! 必殺の《ライトニング・ボルテックス》はどうした!」 「いや、撃てないから」 小声で呟くシェルのことなど露知らず、大声で捲し立てる。
「ケルドさん……」 ミィは思い出す。 (あの時も、テイルさんに発破を掛けられたっけ)
「大丈夫」 殊更言い張る必要はなかった。パルムもそれを知っていた。
「同じだった。地下で足搔いてる時のミィはあの頃のぼくと同じだった」
「ないな」 バルートンが地上の席で笑う。 「あいつが認めるパートナーに負けの美学などない」
「同じだった。前へと進む為にミィは手を伸ばした。この程度、最悪なんかであるものか」
メインフェイズ」

 わたしが入れたモンスターは居場所を作る為に

 わたしが入れたマジックは時計の針を進める為に

 わたしが入れたトラップは……未来を勝ち取る為に

「墓地から、

 畳返し、

 自由解放、

 砂塵の大竜巻、 

 煉獄の落とし穴、

 フリッグのリンゴを、

 裏向きにして除外!」

 ミィが、ありったけの想いを込めて 決闘小盤(パルーム) を投げる。淡色の翼は弱々しいようで、しっかりとした実体を持っていた。不可視の爪は無害なようで、何よりも危険な武器だった。一見して儚げにもみえるその体躯は、泥を啜ってでも闘い続ける強固な意思を秘めていた。
「幻凰鳥 ―― 」


トリック・トランス・トルネード、幻影召喚(ミラージュ・サモン)



 TCG歴82年、夏。ミィという名の少女が西で行われる大規模大会を観戦すべく裏道を走っていた。ミィが立ち止った隣の、低い塀を超えた所には 『ヘブンズアッパー』 なる私営のカードショップが建っている。塀を越えた少女は、襲われ、救われ、放たれ、そして……TCG歴83年、夏。ミィという名の少女が大規模大会の戦場で決闘に臨む。これは、決闘者(デュエリスト)とTCGを巡る飽くなき闘いの物語である。
「ここは、わたしが来たかった場所だから!」



【こんな決闘小説は紙面の無駄だ!】
読了有り難うございました。
↓匿名でもOK/「読んだ」「面白かった」等、一言からでも、こちらには狂喜乱舞する準備が出来ております。




□前話 □表紙 □次話































































































































































































































































































































































































































































































































































































































 

 

 











 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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